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10月28日(ブルームバーグ):経済が過小評価されているアジア諸国のリストを作るとしたら、ベトナムはその上位に掲載されるはずだ。共産党が政権を握るベトナムがすべての投資家にふさわしいというわけではない。共産党が開放・改革を進めるドイモイ(刷新)政策を導入した1986年には、多くの海外資本が流入したが、その後、投資家は逃げ出した。
だが、ベトナムに対して別の見方をする者にとって絶好の機会が訪れた。ベトナム政府は今週、初の海外での起債を実施。今年の経済成長率が8%と見込まれているベトナムは、中国だけがアジアでスターとなる可能性を秘めた国ではないことを示している。
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、ベトナムの信用リスクがインドネシアやフィリピンより低いとみている。投資家の興味をかきたてるのは、政府主導の経済から資本主義への移行がベトナムで進展していることだ。
ベトナムは2006年6月の世界貿易機関(WTO)加盟を目指している。外資と海外旅行者の受け入れをしっかりと進めることが次のステップとなるのは自然の流れだ。1960−70年代にベトナム戦争を戦った米国が、今やベトナムにとって最大の貿易相手国となっている。
ドル建て国債発行
経済の近代化に向けたハードルも多い。政策決定過程のあいまいさや過去4年間で13億ドル(約1500億円)の資本注入が必要だった銀行システム、柔軟性のない金融政策。中央銀行は透明性を欠き、過剰な融資の伸びを管理する中途半端な措置しか取っていない。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は先週、ベトナムに付与している長期格付け「BB−」の見通しを「ポジティブ(強含み)」に引き上げた。シンガポール在勤のS&Pアナリスト、アゴスト・ベナード氏によれば、ベトナムの対外債務は同じ格付けを得ている国々のなかでは最低水準になっている。
S&Pは、ベトナムが「多様で開放的、資源に恵まれた経済」であり、「貿易自由化が活気ある民間部門と力強い潜在的輸出力を支えている」と指摘する。
ベトナムに対し強気になれる理由はもう1つある。債券市場の育成に向けた努力を強化していることだ。ベトナムは初のドル建て国債の起債を10月27日に完了。年限10年のこの国債の起債額は7億5000万ドルだが、投資家需要が46 億ドルに達したことから、当初予定額から50%増額した。ベナード氏は、この起債が「長期にわたる市場経済への移行の重要なステップ」であるとしている。
グローバリゼーション
1980年代の中南米経済危機の際、債務不履行となった国を支援するため、当時のブレイディ米財務長官の提案で、いわゆる「ブレイディ債」が生まれた。ベトナムは債務不履行となった国際銀行団からの融資5億5300万ドルを帳消しにするため、1998年に債権銀行団向けにブレイディ債を発行した。この汚名をベトナムが返上するのは、多くの人々が考えるより早くなるかもしれない。
グローバリゼーションに対するベトナムのアプローチも検討に値する。人口 8200万人のこの国は確かに、貿易と資本や人々の流れが拡大することで得られる恩恵に期待している。単に街角にスターバックスやマクドナルドがあればいいと考えているわけではない。
最近の経験が示すのは、グローバリゼーションが途上国にとっての万能薬ではないということだ。アジアの町中にセブン―イレブンなど欧米風の店は増えた。だが安定的な成長を維持するのは難しく、外国からの投資は依然として逃げ足が速い。
ベトナム政府当局者は過去20年間にほかの多くのアジア諸国が経験してきた好況・不況の波を回避したいと考えている。彼らの戦略はこれまでのところうまく機能している。今後もうまくいけば、早い時期にベトナムに投資した者は、その結果に満足することになるだろう。(ウィリアム・ペセック・ジュニア)
(ウィリアム・ペセック・ジュニア氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Vietnam May Be Leaving `Brady Bunch' Behind: William Pesek Jr. (抜粋) {NXTW NSN IP190H0UQVI9 更新日時 : 2005/10/28 15:24 JST http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003013&sid=a9Ce0Zz_zhkY&refer=jp_us