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(原則)
ハンセン病補償法は その対象を、第五条より らい予防法の廃止法(平成8年制定)により らい予防法(昭和28年制定)が廃止されるまでの間に、国立ハンセン病療養所等に入所していた者としている。
条文を素直に読めば らい予防法(昭和28年制定)による被害に対する補償であるから 昭和28年以降入所せず 昭和28年以前にのみ 日本国立ハンセン病療養所等に入所していた者は対象外である。
とすれば 戦前の旧日本国(台湾・韓国)の患者は 当然 ハンセン病補償法の対象外である。
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しかし 国会でのハンセン病補償法の審議過程では 条文にかかれていない者も補償の対象になる旨の答弁がなされている。
すなわち
@復帰前の沖縄の療養所に入所していた者や
A昭和6年(1934)法適用時のみの入所者
B琉球政府時代のみの入所者
C私立療養所の入所者
も補償の対象になる旨の答弁がなされている。
(ハンセン病補償法の例外にあたるような答弁)
国会においては このような答弁を了とした上で ハンセン病補償法を可決成立させており 同法は 上記のような施設に入所していた者に対しても補償を行うことを当然の前提として成立したものと裁判所は判断した。
そして このような審議過程から鑑み ハンセン病補償法は 少なくとも 同法制定時において 我が国の領域内に含まれる地域(沖縄のように戦後の一時期 米国の施政下にあった地域も含む)に存在し あるいは かつて存在していたハンセン病療養所に入所していた者は 全て補償の対象とすることを予定していたと解することも可能であるとした。
だから 条文を素直に読めば ハンセン病補償法で救済されない者も 例外的に補償の対象なりうることになった。(ハンセン病補償法の「立法趣旨」から補償対象を拡大)
また ハンセン病補償法は、国籍や居住地を問わず、補償対象者を「国立ハンセン病療養所等に入所していた者」と定義していることも 旧日本国(韓国・台湾)の外地療養所の入所者がハンセン病補償法の補償の対象になりうる可能性を高める要因とした。
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台湾訴訟の場合(民事38部の菅野博之裁判長)は 以下を理由として 請求を認めた
@外地療養所(韓国・台湾の療養所)の入所者を除く旨の規定が設けられてない。
A当時 日本国の施政権が及んでいた地域内の施設であること
B他の要件は満たしている
C外地療養所の入所者を除くことは 平等取り扱いの原則上 好ましくない。
そして ハンセン病補償法の「立法趣旨」を 「広く網羅的にハンセン病の救護・療養施設に入所していた者を救済しようとするもの」と解し 救済の範囲を広くとらえた。
したがって 「外地療養所の入所者」は 「国立ハンセン病療養所等に入所していた者」とみなし ハンセン病補償法の補償の対象とした。
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韓国訴訟の場合(民事3部の鶴岡稔彦裁判長)は 以下の理由で 棄却した
(請求を認めなかった)
@国会でのハンセン病補償法の審議過程では 外地療養所(終戦に伴って日本国でなくなった地域の療養所=韓国・台湾の療養所)の入所者を補償の対象とすることを前提とした質疑応答がなされなかった。
A法の審議過程で、予算を約700億円と見込んでいることからも 外地療養所の入所者を補償の対象とみなしていないと思われる。
よって ハンセン病補償法の「立法趣旨」を「日本国内施設入所者に限定した救済」と解した。
したがって 「外地療養所の入所者」は 「国立ハンセン病療養所等に入所していた者」といえず ハンセン病補償法の補償の対象になりえない。
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(世間一般の日本国民の見解)
そもそも 日本政府がハンセン病で和解したのは、 「ハンセン病の治療法が確立した(昭和35年のWHOの外来治療への転換を勧告)後になっても隔離政策を続けたこと」に対しての謝罪であって、 戦前に隔離したことへの謝罪ではなかった。
(ハンセン病補償法の前文にも 明記してある)
米国で新薬プロミンの治らい効果発表したのは 1943年(昭和18年)であり 当時の医学常識からみても 戦前に隔離政策をしたことは間違っていないし、戦前に国外に療養所を作ったことも間違いではない。
すなわち ハンセン病補償法の「立法趣旨」は 「ハンセン病の治療法の確立後も隔離政策を続けたことにより 被害を受けた患者の救済」である。
したがって 条文とおり ハンセン病補償法は1953年(昭和28年)制定の「らい予防法」に基づく隔離政策で苦痛を受けた人を対象とすべきである。
以上から 戦前の外地療養所の入所者を補償の対象と認めた台湾訴訟の菅野博之裁判長の判決はおかしい。補償請求は戦後60年統治してきた本国(この訴訟の場合は台湾政府)にすべきである。
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(まとめ)
今回 結論がわかれた2つの判決は ハンセン病補償法の「立法趣旨」を特定アジア国に配慮して異様に拡大するか(台湾訴訟 菅野博之裁判長) 常識的範囲に限定するか(韓国訴訟 鶴岡稔彦裁判長)の争いであった。
ハンセン病補償法の制定において、「国籍条項」や「居住地条項」の明記すれば 今回のような訴訟はなかったはずである。本法律を作成した官僚・議員は 確信犯的に「国籍条項」を除外したとしか思えない。こうやって 合法的に 日本国民の税金から無駄なお金が支出されていく。 (昔ながらの半島に対する賠償利権のひとつか?)
今回もまた 原告が高齢なのを理由に 政治的配慮を要望し 外地療養所(韓国・台湾の療養所)の入所者にも補償を認めてほしい」と韓国・台湾訴訟団は言ってくるだろう。しかし 安易に認めると 今度は中国訴訟団が形成され 「中国人にも補償を認めろ」といってくるのは 火をみるより明らか。特定アジアにつけこまれる隙を これ以上 わざわざつくるべきではない。
今回の一件からも 「条文」の不備によるデメリットは 嫌というほど 感じさせられたはずである。人権擁護法の「国籍条項」の明記、「立ち入り条項」の削除の必要性をいま改めて再認識させられた。(勿論 人権擁護法自体が採決されない方が良いが・・・)
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(おまけ)
毎日新聞記者による韓国訴訟と台湾訴訟の結論の差異
台湾訴訟→台湾の施設は 1931年に日本本国で施行された旧らい予防法が 1934年に勅令で台湾にも適用されたことから「国立療養所」と判断し 補償請求を認めた。
韓国訴訟→韓国では旧らい予防法の勅令がなく 「国立療養所」といえず 補償請求を認めなかった。(請求棄却)