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【バンコク=林田裕章】共産党独裁のベトナムで、来春の第10回党大会を機に、同党書記長、大統領、首相という首脳3ポストのうち、党書記長が大統領を兼務する形に人事制度を改めようとの動きが出ている。
共産党総書記が国家主席を兼ねる中国の方式に倣うものだが、伝統的な3首脳による集団指導体制が崩れるとして、この動きに反発する声もあるという。
党書記長(序列1位)が大統領(同2位)を兼ねるという構想は、レ・カ・フュー前書記長が2000年に持ち出したことがある。旧宗主国フランスを訪問する際、仏側が国家元首としては処遇しにくいという態度を示したことがきっかけだった。
しかしこの構想は、フュー書記長が秘密の情報組織をつくるなど、権力集中への野心をあからさまにしていたこともあり、葬られた。
今回再び、兼務案が浮上してきたのは、〈1〉ノン・ドク・マイン現書記長が「政敵をつくらず、かつ調整能力に長けた人柄」(消息筋)であること〈2〉指導部トップが国外では“冷遇”される状況では、ベトナムの対外関係の発展を損なうこと――という二つの理由がある。
1986年に市場経済化を柱とするドイモイ(刷新)に着手して以降、ベトナムは政治・経済の両面で、常に中国の改革開放を意識してきた。今回の構想も、党のトップと国家のトップを1人で担う中国の形態を念頭に置いたものであることは間違いない。
問題は、権力の集中が党内の権力闘争、ひいては政治の混乱を招きかねないという懸念だ。消息筋によると、それを防ぐ手段として、トロイカ体制に、新たに国会議長を組み込む方式が検討されているという。
最近のベトナムでは、政治改革の進展を内外にアピールするため、閣僚への議員の質問をテレビ中継するなど、国会の機能が重視されてきている。そのトップを首脳の1人に加えれば、対外イメージがさらに改善されるという思惑だ。
第10回党大会では、マイン書記長は留任、チャン・ドク・ルオン大統領とファン・バン・カイ首相は引退の見通し。兼務構想が実現した場合の人事として、マイン書記長兼大統領以下、首相にグエン・タン・ズン第1副首相、国会議長にチュオン・クアン・ドゥオック国会副議長の名前が取りざたされている。
(2005年10月27日3時1分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051027id01.htm