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■ 『Younghee Ahn の韓国レポート』 第179回
「桜は桜」
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■ 『Younghee Ahn の韓国レポート』 第179回
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「桜は桜」
今年のソウルは3月末まで肌寒くいつまでも衣替えができないでいた。しかし、4月になると、さすがに暖かくなりレンギョウ、ツツジ、木蓮なども一斉に咲き始めた。
そして、南方からは桜前線も徐々に上がってきた。
韓国のお花見は日本のように場所取りをして遊ぶのではなく、桜の下をぞろぞろ歩きながら花を愛でる。ソウルにも桜の名所は何箇所かあるが、最も人が集まるのは国会議事堂のある汝矣島(ヨイド)である。ヨイドは漢江(ハンガン)の中ノ島で、桜はヨイドをぐるっと一周して植えられている。だから、桜のお花見の頃になると、ヨイドでは道路の交通規制を始めるのだ。
今年は、4月5日から16日までヨイドの輪中路(ユンチュンロ)で交通規制があると発表された。ヨイドの周りをぐるっと囲んでいる道路名がユンチュン路である。
しかし、4月4日付けの「世界日報」の記事によって、ソウル市民の楽しみである花見に「待った」がかかった。
それは、ユンチュン路にある桜並木は在日コリアンや日本人が寄贈したもので、アメリカ合衆国の首都、ワシントンD.C.のポトマック河畔の桜並木を真似たという。
ワシントンD.C.のポトマック河畔の桜並木と言えば、世界の名所の一つになっており、毎年3月末から4月のはじめにかけてシーズンには、盛大に「桜まつり」が開催される。
全米から観光客が訪れ、パレードやその年の「桜の女王」が選ばれる。その桜は明治の終わりごろ、アメリカの第27代大統領タフトの夫人の希望により、当時の尾崎行雄東京市長がプレゼントしたものだ。
タフトといえば、歴史教科書に出てくる「桂・タフト密約」の人である。1905年、アメリカ特使として日本の総理大臣桂太郎と共にアメリカのフィリピン支配や日本の朝鮮支配を承認した張本人である。
ということで、韓国人にとっては全く嬉しくない出来事とイメージが重なるというのだ。
問題の世界日報によると、「ヨイドの華やかな桜の裏には……日本の『黒い意図』があったのか」と大見出し。
1960年代中頃から韓国で大々的に繰り広げられた「桜の植樹」には、在日コリアンや日本人が組織的に介入したという。
当時苗木を寄贈した日本人たちは、終戦後韓国に植えた日本軍国主義を象徴する桜が次々に切られてしまったのでそれを補うために贈ったという。
韓国で最も有名な桜の名所である、「ジンジュ(晋州)の軍艦祭」も元は日本の植民地時代に初めて植えられた。
終戦後、桜は日本を象徴するということで一度は切り取られた。が、1960年代韓国の植物学者が斉州島(サイシュウト)に自生しているソメイヨシノを見つけたので、もう一度植えて今に至っている。
しかし、その苗木は在日コリアンや日本人から寄贈されたものだった。
「桜=日本=植民地時代」という図式が残っている限り、苦々しい思いは消えないのだろう。
もちろん、この意見を偏見に満ちているとする人たちもいる。
だから、今韓国では桜の花見に関して熱く議論されている。でも、桜は桜、そこに何か意味を持たせるというのは人の思い上がりだ。
桜はただ、春に花を咲かせているだけなのだ。
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Younghee Ahn(アン・ヨンヒ)
韓国生まれの韓国人。小学4年から高校1年まで、大阪在住。韓国外国語大学同時通訳大学院日本語修士課程卒業。同時通訳からスタートして、現在は会議通訳、及び、韓国梨花女子大で、日本語の講師も務める。著書に『シナブロ(知らぬ間に少しずつ)』(小学館)
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[世界日報]はご存知のとおり、韓国メディアの中では朝鮮日報、中央日報とならぶ親米保守派新聞で「統一教会」の支配下にある事を申し添えます。