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イスラエル・シャミールがシオニズムとの闘いを語る(レッ・ボルテール、レベリオン)
●スペイン語インターネット情報誌レベリオンは、中南米から欧州、アフリカの一部に広がる広大なスペイン語圏のオピニオン・リーダーの一つです。ある調査によると、スペイン語圏で最も読まれている新聞エル・パイス(日本でいうと朝日新聞のようなもの)の社説に比べて、同じテーマで扱われたレベリオンの論評が、5倍から6倍も多く読まれているそうです。特に「左翼」的な人々には非常に人気があります。
さて、2005年9月23日付のレベリオンの第1面は、非常に興味深いものでした。
最上段にノーム・チョムスキーの『¿Principios de mercado?(資本の原理?)』と題する、米国の資本主義の歴史とネオ・リベラレズムに関する短い論評(ただし具体的な事例を挙げて述べているのではなく大まかな「感想文」といった感じ)がありました。
次にミシェル・チョスドウスキの『Al-Qaeda y el movimiento de resistencia iraquí(アル・カイダとイラク抵抗勢力)』と題する文章を載せていました。これは先日私が阿修羅紙面でご紹介したカナダの情報誌Global Resarchに掲載された『Al Qaeda and the Iraqi Resistance Movement』のスペイン語翻訳です。
(参照)
http://www.asyura2.com/0505/war74/msg/537.html
アルカイダとイラク抵抗運動:「英国製アルカイダ」事件前日のGlobal Reseach記事
そして3番目に、Silvia Cattoriによるイスラエル・シャミール(Israel Shamir)へのインタビューで、標題は『«La igualdad de derechos en Palestina/Israel no es una utopía»(パレスチナとイスラエルの人権の平等はユートピアではない)』という標題の記事です。
このように、3人の「反イスラエル、反シオニスト」のユダヤ人を並べて表紙の最上段を飾っていました。
●最初のチョムスキーのものは、まあ、信奉者も多い有名人だから、といった程度のものですが、次のチョスドウスキは、先日シオニスト団体から「リヴィジョニスト」として告訴され、9・11や7・7に対しては「内部犯行説」、そしてイラク戦争では「アルカイダ=英米謀略」を主張する、カナダを代表する論客です。
注目すべきは3番目のイスラエル・シャミールに対するインタビュー記事です。これはもう一つのスペイン語圏のオピニオン・リーダーであるレッ・ボルテールに載せられた記事(9月21日付)の転載です。このインタビューは今年7月に英語で行われ、それがフランス語に翻訳されて9月16日にフランス語版ヴォルテール・ネットに載せられ、そしてその訳がスペイン語版に掲載されたものです。
この2つに載った、ということは、さまざまなスペイン語のネット・メディアに載せられてすぐさまスペイン語圏全体に広がるでしょう。スペイン語のネット・メディアの力と信用度は日本のそれとは桁が違いますので。
●このイスラエル・シャミールに対するインタビューを、スペイン語版から全訳しましょう。なお、聞き手のシルヴィア・カットリはスイスの独立ジャーナリストでフランス語の記事を書きますが英語も堪能です。ヴォルテール・ネットではこのインタビューのほかに、フランスのオリビア・セモール(Olivia Zemor)とのインタビュー『イスラエルは嘘を付いている』が彼女の作品です。この二つのインタビューは、英語版ヴォルテール・ネットワークに掲載されています。
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http://www.voltairenet.org/article128748.html
Israel Shamir: “Equal rights in Palestine/Israel is no utopia”
http://www.voltairenet.org/article30568.html
Olivia Zemor: "Israel is Lying!"
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http://www.voltairenet.org/article128331.html?var_recherche=Silvia+Cattori+Israel+Shamir?var_recherche=Silvia%20Cattori%20Israel%20Shamir
および
http://www.rebelion.org/noticia.php?id=20470
作家でジャーナリスト、イスラエル・シャミールとのインタビュー
『パレスチナとイスラエルの人権における平等はユートピアではない』
作家でジャーナリストのイスラエル・シャミールは、イスラエルの人間の中で最も厄介者と見なされる人物の一人である。彼は、イスラエル国家に住むユダヤ人の定義、およびそこから同時に発生するアパルトヘイト・システムと対決しているのである。彼を中傷する者達は、この元MAPAM(イスラエル労働党)のスポークスマンでヘルソック大統領【CHAIM HERZOG:1983年から10年間、第6代イスラエル大統領を務めた:訳注】の元通訳のことを、『自己嫌悪に動かされるユダヤ人』として紹介する。一方でその支持者たちは『イスラエルで最も偉大な知識人の一人』と見なしている。彼の目的に対する誹謗中傷キャンペーンとイスラエル国家の人種主義に反対する闘い方に関する、シルヴィア・カットリの質問に対して、イスラエル・シャミールが答える。
シルヴィア・カットリ レッ・ボルテール
2005年9月21日
【シルヴィア・カットリ:以下■】:あなたが『ユダヤによる世界支配に向けた陰謀』の考え方を広めている、と非難する人たちに対して、どのようにお答えしますか。
【イスラエル・シャミール:以下◎】:言われていることは大したことじゃありません。人々は自分が聞きたいことだけを聞くのですよ! 私の本にはすべて、『陰謀』や『謀略』などは無くユダヤ人好みの政治があるだけだ、ということと、ある種の利益は多くの陰謀家よりもなお強い、ということが示されているのです。貴族階級は陰謀を練らず共通の利益を得ることに専念します。実際にあるものはそのグループの根本的な利益であって、『陰謀』とは何の関係も無いのです。
■同時にまた、極右組織と結び付いた雑誌のインタビューに応じたことであなたが非難されています。これにはどうお答えになりますか。あなたは極右に対してどのようにお考えですか。
◎私は世界中どこにでも行きます。最も近い友人のところだけではありません。なぜなら、さまざまな世界にいる人々に影響を与えたいし、彼らに私の視点に近づいてほしいからです。私はイスラエルで非常に売れている新聞ハアレツにも書きました。まさに『それ相応に』です。その新聞が極端なイスラエル・ナチズムの記事を発表するにも関わらず、です。また私はニューヨーク・タイムズに書くかもしれません。それがイラクに対する戦争を支持しているにも関わらず、です。私の考えでは、どのような新聞社をも排斥する理由は無いのです。
■あなたが左翼と右翼の対立は古臭いとお書きになるとき、それは共通の敵(いわば米合衆国とイスラエル)に対決する闘いのために利用できるあらゆる勢力を糾合することの重要性を語っています。それが悪い連合を作ってしまう心配はないのでしょうか。
◎左翼であっても右翼であっても対話することに私は恐れを抱きません。我々が他の事柄で共通点を持っているのですから。左翼・右翼の対立は、直線的な次元を超えるものを持たない世界をもたらすだけです。しかし我々の世界は少なくとも三次元なのです。直線的な世界から離れているものは、むしろ他の次元に近い位置にあるのです。この世界は単一の次元ではありません。もしあなたが幾何学を勉強してきたのなら私の言いたいことは解るはずです。左翼と右翼が「誰が味方で誰が敵なのか」を知ろうとするときの位置付けを超えるものを、我々は計算に入れなければなりません。天と地の関係で、あるいはもっと日常的な地平で言えば、米国とイスラエルの関係で、グローバリゼーションと我々の民族の関係で、この姿勢を勘定に入れなければならないのです。右翼の世界刷新論者は、左翼の世界主義者とセクト主義者よりも、私の心により近い位置にいるのです。
■あなたはフランスの2002年の大統領選挙と2005年の国民投票の結果を、余りにも強いシオニズムの結果である、と分析する記事をお書きになりました。このご意見は大部分のフランス人にとって驚きであるように思われます。どうしてあなたは、パレスチナ情勢がこれらのフランスの選挙に影響するとお考えなのですか。
◎シオニズムはパレスチナだけに影響を及ぼす問題ではないのです。その問題は、例えば、米国への追随の中にも、フランスの放送メディア内部での親シオニストの声の支配的な影響力の中にも、姿を現します。ユーロ・パレスチナ・リスト【2004年欧州議会選挙で登場し喜劇役者テュードネなどが参加した政治グループ:訳注】は失敗しました。パレスチナ問題を非常に狭い枠に限定しようとしたからです。もしこのグループが、フランスからのシオニズムの排除を、これはNATOや米国との断交にもつながるものでしょうが、要求していたのならばどうだったでしょうか。もしこのグループからの立候補者たちがシオニストの計画の全面的な解体を呼びかけていたらどうだったでしょうか。きっと莫大な数の得票を集めていたことでしょう。
■あなたへの反対者たちは、あなたがユダヤ人へのジェノサイドの重要ポイントであるナチスの絶滅収容所の存在を疑っている、と言うのですが、確かでしょうか。
◎そんな否定論の問題については全く知りません。一体どうしてフランス人が第2次世界大戦のことについてそれほど議論をするのか、それすら理解できません。それははるか昔に終わったことなのです。しかしご質問をされたのだからお答えしましょう。私が厳しく詮索するのはホロコーストに基づいた論調なのであって、その行為自体ではありません。これらの行為は一つの論調にそれをはめ込む瞬間から明確な意味合いを帯びてくるのです。そのホロコーストに基づいた論調は、一人のユダヤ人の生と死がゴイ【非ユダヤ人:訳注】のそれよりもずっと重要であるという考えに連結しています。私に言わせると、ホロコーストは、ヒロシマやドレスデンやあるいはレニングラードでの飢餓状態などの、他の戦争犯罪よりも悪い、と言えるものではありません。それは1939年から1945年までの間に作られた恐ろしい出来事の一つなのです。ホロコースト特有の宗教的・歴史的な意味は、私は拒絶します。私にとってそれは、あの戦争についてもっと平等な視点を持つ他の議論と並び立ちうる一つの思想を構築することなのです。
■あなたへの非難が、ユダヤ極右組織からだけではなく左翼の闘士たちからも同様に来ているのが、分かりづらいところですが。
◎明らかに我々の敵は、確認できる通り、右にも左にもあらゆるところに潜入しているのです。この潜入ぶりは政治ゲームの一種です。古典的な手口です。毛沢東主義者たちは社会民主主義の構造の中に潜入しています。それは知っての通りうまくいっています。『ユダヤ指導者』[極右主義の形成]はリクードの中に、シャロンがその多くから支持を失っている極右派にまで潜入しています。左翼のほうにもその潜入は莫大です。しかし右翼と同様のことが起こっています。潜入はこの世界が始まって以来の古くからある行動です。
■ところで、アムネスティ・インターナショナルが、イスラエルが市民に対する前例の無い軍事行動を行った2000年から20004年まで、沈黙を守ってきたという事実は、この組織がその影響下にあることを意味しているのですか。
◎アムネスティ・インターナショナルは我々の敵の手の内にある思想的武器以外の何物でもありません。もしあなたが彼らの持つ政治犯のリストを調べてみるならば、イスラエルの刑務所にいる政治犯が一人もいないことに気付くでしょう。私のウエッブ・サイトでは『人権の名の元に』というテーマの箇所で、これに関する多くの興味深い記事に出合うことができます。アムネスティ・インターナショナルはバヌーヌを政治犯として認めることを拒否しています。そして彼を良心の囚人などという扱いにしているのです! 彼ら[アムネスティ・インターナショナル]その潜入から逃れることがもはや出来ないほどに潜入を受けているのです。例外的な人物でパレスチナ人の友である国際的な法律家のフランシス・ボイルは、このテーマについて書き著しています。特にアムネスティ・インターナショナルに関連する問題については、彼にこそ聞いてみるべきです。
イスラエル/パレスチナにおけるアパルトヘイトを終わらせる
■パレスチナ人民の抵抗について語りましょう。ハマスは、その目的を『すべてのユダヤ人を殺す』ことであると綱領に書いているようなテロリスト運動であるとして、西側諸国で紹介されます。あなたはどうお考えですか。
◎ハマスは『すべてのユダヤ人』を虐殺することは望んでいません。それは敵のデッチ上げなのです! 私はどれを見ても一度たりともそんな文は読んだことはありません。そんな言葉を書いたような人に合ったことも無いし、そんなことは考えたことすらない。しかし、そのような言葉は、時として各人が考えるよりもずっとかけ離れた意味で使われてしまうかもしれない、ということを我々は意識していなければなりません。ヴォルテールは、最後の国王が最後の司祭の太鼓腹と一緒に絞首刑にされるまでは人類は幸福になれないだろう、と書きました。だからといって我々はヴォルテールを恐れて彼の思想の採用を拒否しなければならないのでしょうか。司祭を全員殺すことはユダヤ人を全員殺すよりましなわけではないでしょう! ヴォルテールは全員を殺すことは望みませんでした。人々は時として注意をひきつけるために大げさに言うのです。言われていることの全部が全部をまともに受け取るようなことは、絶対にしてはならないのです!
■反イスラエル・ボイコットという考えが、特に学術分野ででしたが、欧州で広まりました。ボイコットは南アフリカのアパルトヘイトに対しては有効でしたが、あなたはこれが、イスラエルがアラブ人に対して行うアパルトヘイトに対してもうまくいくとお考えですか。
◎だめだとは言いません。しかし結局は、特にフランスでは、イスラエルを支援する者たちに対するボイコットも必要です。政治や報道に影響を行使するこれらの人物たちと戦うことが重要なのです。Alain Finkielkraut【ユダヤ人の作家、父親はアウシュビッツの生還者:訳注】だとかRoger Cukierman【CRIF(フランス・ユダヤ人協会代表者委員会)の会長:訳注】、またはAlexandre Adler【ユダヤ人でル・フィガロの編集相談役:訳注】など。これは何よりも真っ先にやらねばならないことです。フランスで彼らはイスラエルからの莫大な支援を手にしており、世論に影響を与え、必然的な結果として[フランス]政府の政治選択を左右しています。あなた方がこのようなタイプの『命令伝達人』を追放しない限り筋を正すことは出来ません。彼らは、放送メディアや政府の調査でマスコミを自由に操り、それらを使ってあなた方のやっていることを無効にしてしまうのです。南アフリカでボイコットが有効だったのは、南アフリカの権力者が外国の支援を受けていなかったからなのです! 他の場所ではなくそれぞれの国の中で闘わなければなりません。Alain Finkielkrautや Alexandre Adler、 Bernard Kouchner【ユダヤ人で「国境無き医師団」の共同発起人】、Bernard-Henri Lévy【ユダヤ人の哲学者】とその仲間は、フランスを米国に服従させようとしており、一つの植民地国家に変えてしまおうとしているのです。
■つまりあなたは、西側諸国の政治とメディアの世界が様々な形でイスラエル占領者とその同盟者である米国に協力する者たちの影響下にある限り、どんな連帯活動も交渉も結果を出すことが無いだろう、とお考えなのですか。
◎あなた方は、連帯運動の本部の中に本当の問題が存在することを知らなければなりません。活動に参加する人を間違った論争に導くために非常に意図的にコントロールしブレーキをかける人々がいるのです。彼らはこうやってイスラエルとの闘いの運動を弱めているのです。
■私の理解に間違いが無ければ、パレスチナ人を擁護する者たちが、イスラエルの利益に反対するあらゆる運動を妨害する目的でそれぞれの国と各界で活動しているプロ・イスラエルたちと闘わない限り、パレスチナ人たちは打ち負かされ続けるだろう、とあなたは確信しておられるのですね。
◎若い人たちにとっては、パレスチナに行くことが有益です。善良で勇敢な人々に会うことが出来るからです。知られていない事実と触れ合い始め、帰途に着くまで彼らと忌憚無く語り合うことが出来るのです。このことは同時に外国の若者たちにタブーを打ち破るための助けにもなります。実際には、各人が自分の住む場所で闘わねばなりません。しかし同時にまた、それぞれの場面を結び付ける要素が実際に存在する、ということも自覚していなければなりません。
■あなたがご自身の国で植民地戦争に反対する抵抗運動を行っていることは、あなたの作家としてのお仕事のためなのでしょうか。
◎一人の兵士の両手にあるものは敵に対して向けるべき武器となりえます。そして私は一つの武器を持っています。この兵士【イスラエル・シャミール自身:訳注】にとって剣は重要ではありません。この行為【作家としての活動:訳注】は、それが敵に打撃を与えるための最大の有効性をその兵士に与えるためにあるのです。パレスチナ人たちはオリーブの種を蒔く高い能力を持っています。ですから彼らは私の援助を必要としません。もちろん彼らを援助することは、私の魂にとって(また私の良心に満足を与えるために)非常に美しい良いものです。しかし彼らは闘いを可能にする武器をはるかに多く必要としているのです。私は、彼らの手の中にあるそのような武器なのです!
■たとえばUri Avnery 【イスラエルのジャーナリストで平和活動家、元国会議員:訳注】や Michel Warshawsky【イスラエルの反体制ジャーナリスト:訳注】のような闘士たちは、あなたのように自分自身の党派から攻撃されることはありません。
◎私の敵は『ソフトなシオニスト』やシオニストもどきではありません。しかし私にとってこの人々は時間の無駄なのです。彼らは慈善を行うことで自分の良心を満足させたがる。私が望むことはアパルトヘイトに打ち勝つこと、それを覆すことなのです。そして聖なる地【パレスチナのこと:訳注】で平等な国を持つこと、それを適切な方向に進むようにさせる道を人々に示すことなのです。
■しかし、もしかするとあなたは、別の言葉も交えてですが、彼らと同じことをおっしゃってはいないのですか。
◎我々は同じ事を語ってはいません。彼らはイスラエルの政治を批判しますが、今このように作られている通りのイスラエル国家の存在を正当化します。彼らは世界中のユダヤ人全員がイスラエルに来る権利を持っていると確信しています。しかしそれと同時に、パレスチナ難民が同じ権利を持っていることを事実上否定する決議には支持を与えます。パレスチナ難民たちは自分の土地を追い出され、イスラエル/パレスチナの自分の土地に戻りたがっているのです。実に単純で開けっぴろげな人種差別なのです!
■『穏健派』の党派が『二つの民族、二つの国家』という解決策を支持しているときに、あなたは一つの国家でイスラエル人とパレスチナ人が一緒に住むことが出来るとおっしゃっておいでなのですが、これは全くユートピア的ではないのでしょうか。
◎フランスでは、200年前にユダヤ人たちは平等の権利を手に入れたではないですか! それなのに、これが全くユートピア的だとおっしゃるのですか! 『イスラエルを打ち負かすことはユートピア的である』と言う、これこそ人種主義ではないですか!
■イスラエル人の大多数がその政府の抑圧政策に協力していることを知りながら、どのような変化が期待できるのでしょうか。
◎大切なことは、事態を明確に見据えること、何が望まれていることなのかを知ること、可能な限りの手段を使って隣人たちと良好な関係を維持すること、今のような傾向から離れて敵に対して団結する姿勢を保ち続けること。その上でのみ、勝利の好機が訪れるのです。イングランドでは1920年代まではたった一つの学校で教育を受けた人によって指導されていました。イートンです。イートンで一体何人が勉強できたでしょうか。千人単位ではなかったのです。しかしながら彼らがイングランドを全面的に掌握していたのです。
■年に一度のCRIF(フランス・ユダヤ人協会代表者委員会)の夕食会の間に、その会長【Roger Cukierman:訳注】が18名の閣僚を前にフランスの外交政策を批判しました。彼らとしては何の関わりも無かったことなのですが。これほどの服従ぶりをあなたはどうご説明になりますか。
◎私の説明はこうです。フランスの高官たちは、欧州各国の高官たちも同様なのですが、巨大なユダヤ権力の存在を信じ込まされているのです。そしてその権力に身を捧げることがまさしく信念になっているのです。同時に次のことも明らかです。あなた方でもあるいは他の誰でもいいですから、政府高官に属する人々にこう言ってやったら良いのですよ。「知っていますか。ユダヤ人たちは権力者ではありません。彼らが世界を運営しているというのは本当ではありませんよ。」と。
■あなたはパレスチナに平和が訪れる可能性に対して楽観的ですか。
◎パレスチナに関して私は完全に悲観的です。しかし長期的な展望では楽観的です。パレスチナ人たちが最終的には勝利するだろうと確信するからです。アブ・マッゼン政権には何の良いことも期待していませんけどね。これらの小さな一歩一歩には、私が思うに、意味が無いのです。何の結果ももたらしません。
■不毛な行動に陥ってしまうこと無しにパレスチナ人の権利のために行動したいと望む人々に、何を語ることが出来るとお思いですか。
◎それぞれの国で、それがどこであろうとも、我々は我々の敵の代理人をその地位から排除しなければなりません。その地位が何であろうとも、彼らが易々と行動することをやめさせなければなりません。
■具体的には、誰がその『我々の敵の代理人』なのでしょうか。
◎スイスやフランスでは、米国とイスラエルの戦術に手を貸す者たちの全員がその代理人なのです。シャロンは明らかにこれらの人々をまとめる手助けをしています。シャロンについて(悪く)語ることは良いことです。しかしシモン・ペレスがアリエル・シャロンよりましだ、など、絶対にありえません。あなたたちはそれぞれの国で、米国とイスラエルとネオリベラリズムの側の行動に対して真面目に戦うすべての人々を援助しなければなりません。米国が可能な限り孤立すると思えるように行動することです。そして、これは私のつまらない意見なのですが、あなた方は中東の積極的な勢力との関係を確立するために努力すべきです。それとロシアとも。この国は、かつてあらゆる正直な民族たちの偉大な友人でしたが、今日は苦しい立場に置かれています。ロシアは非常に大切です。ロシアとの絆を確立しなければなりません。
■しかし、そういったバラバラの勢力とどのように関係を作るのですか。
◎だからこそ私がここに居るのですよ。我々は蝶のように、花から花へと巡り、そして良い新しいものを運んできます。魂は死んでいない。人々は生き続けているのです。ロシアは敵に打ち勝つすばらしい武器を作りました。つまり、翻訳して配布すべき多くのすばらしい本です。我々の世代だけではなく、その以前の人々のものもです。彼らは特にロシアの中に受け継がれたものから発想を得ました。そして、現状にもかかわらず、ロシアは原動力であり続けうるのです。我々はこの原動力を支えなければなりません。これらの共感と意見という原動力は支援を必要とするのです。いつになるか分からないけど、そういったことが、きっとこの状況から我々を救い出し我々を進歩させるでしょう。
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このインタビューは、ヴォルテール・ネットのためにシルヴィア・カットリによって2005年7月に英語で行われ、マルセル・シャルボニエルによってフランス語に翻訳された。
【以上、翻訳終り】
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【翻訳後記】
まあ、こんなことまで言って、よく殺されないものだ、と私なんか感心するのですが、逆にここまで開き直っているからこそ、生きて活動できるのかもしれません。もちろんシン・ベトや警察にベッタリ張り付かれているでしょうが。
最後の辺りにあるロシアへの言及では「ギョッ」とした人もいるでしょうが、イスラエル・シャミールの視点が常に「下」にもあることを意識して読むべきでしょう。彼自身がロシア出身です。またイスラエルに嫌気がさしてロシアに戻ったユダヤ人たちも結構多いはずで、彼はロシアの中のこのような「下」のほうのユダヤ人たちを意識しているはずです。必ずしもかつての共産主義(スターリン主義)や、ましてプーチンに対する期待、というわけではないでしょう。
ただ私が少々気になるのは、この対話を掲載したヴォルテール・ネットの方です。このインタビュー記事の標題『パレスチナとイスラエルの人権における平等はユートピアではない』は何か無難すぎて、内容から見て少しズレがあるような気がします。むしろ『欧州におけるシオニストとの闘い方について』とか何とかのほうが、シャミールの話の趣旨により近い気がします。
さらにヴォルテール・ネットは近頃ちょっと変です。9月19日にバスラで起こった「英国製アルカイダ」露見に対する反応を、全く行おうとしないのです。何かの見解を出すどころか、その事実に対してすら、まるで無かったことのように触れようとしません。
そのくせサイモン・ヴィセンタールが死んだときには、スペイン語版だけだったのかもしれませんが、大きく追悼記事を載せました。(ただし今は、普通の記事なら過去の記事の一覧で簡単に見つかるのですが、この追悼記事はもうどこか見えないところに片付けられているようですが。)
このイスラエル・シャミールのインタビューがフランス語版に載ったのが9月16日のことですから、その後でパリの本部編集部で「何か」が起こった可能性もあります。さらには、このインタビューが行われたのが7月で、そのフランス語訳が出されたのが遅すぎる嫌いもあります。また思い出してみると、ヴォルテール・ネットで7・7に対する追及が「どうも鈍いな」と奇妙に感じていたのですが、「何か」の攻撃が相当にかかっているのかもしれません。
まあしかしともかくも、フランス語版、スペイン語版、英語版にこのイスラエル・シャミールのインタビュー記事を載せ(アラブ語は写真で見る限りではまだ)、スペイン語のもう一つの大情報誌であるレベリオンにもこれが転載される、ということになりました。ティエリ・メイサンには、何とかくじけずにがんばってもらいたいところです。ただし、「鳩のように無邪気に、蛇のように賢く」。