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9月22日付・読売社説(1)
[憲法と安保]「現実的議論の環境が整ってきた」
「国の形」を定める憲法や、最も重要な基本政策である安全保障を、与野党が大きな枠組みで推進する環境が整ってきたのではないか。
第3次小泉内閣が圧倒的な与党勢力を基盤に発足した。
一方で、新執行部体制をスタートさせた民主党の前原代表は、憲法改正も安保政策も政府・与党との対立軸にはしないという考えを示した。この問題で、野党第1党の党首が政府・与党との基本認識の共有を明言したのは初めてだ。
民主党が政権を取っても、安保政策は変わらない。政権を託しても安心、という信頼感を有権者に与える。政権交代への道筋を付けることにもつながる。欧米の主要国では、政権を争う政党間で基本的な安全保障観は共通している。
自民党は、立党50年の11月までに新憲法草案を発表する。焦点の9条は、第1項の「平和主義」は変えない。2項を改め、「自衛軍の保持」を盛り込む。「集団的自衛権」の行使の要件などは、安全保障基本法で定める。
前原氏の持論も、第1項は変えず、第2項を削除して「自衛権」を明記する、というものだ。自衛隊を「軍」として認め、集団的自衛権の行使も容認する。9条とは別に、「国際平和協力活動」への自衛隊の積極的な参加も盛り込むべきだ、としている。
改正発議には衆参両院の3分の2以上の賛成が必要なことを念頭に「憲法改正を主張する党としっかり議論する」とも述べた。前原氏の持論が民主党の意見となれば、自民党との議論はかみ合う。
北朝鮮の核問題や中国の軍事的な台頭など、日本を取り巻く安全保障環境は極めて不透明だ。岡田前代表と比べ、前原氏は日米同盟をより重視している。
特別国会には、インド洋で多国籍軍の艦船への給油を続けるため、11月で期限が切れるテロ対策特別措置法の改正案が提出される。在日米軍再編、自衛隊のイラク派遣など、差し迫った重要課題にどう対応するかが、「前原民主党」の最初の試金石となる。
前原氏はまず、党内調整を急がなければならない。旧社会党出身の議員を中心に、9条改正に反発する勢力がある。意見集約には相当な困難が伴うだろうが、前原氏には、強い指導力を発揮してもらいたい。
小泉首相も、民主党との協議を含め、「新憲法草案」後の憲法改正実現へ向けた具体的な手順を示すべきだ。
そうしてこそ、55年体制下では不可能だった、2大政党による建設的で実りある憲法と安保政策の議論ができる。
(2005年9月22日1時29分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050921ig90.htm