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「イラク撤兵」求め首都へ 戦死米兵の母、シーハンさん
2005年09月22日00時48分
イラクで戦死した米兵の母親で、ブッシュ米大統領に面会を求めてきたシンディ・シーハンさん(48)が21日に首都ワシントンを訪れ、イラクから米軍を撤兵させるようホワイトハウスや議会に要請する。シーハンさんと支持者らは8月末から全米28州を回り、戦争反対を訴えてきた。同調する動きは米兵の家族や帰還兵らにも広がっており、一人の母親が反戦運動の象徴になっている。
ニューヨークの教会で集会が18日に開かれ、バグダッドで昨年戦死した息子のケーシー軍曹(当時24)の遺影を前にしたシーハンさんは「もう二度と息子の声を聞くことはないのです」と語り始めた。
「イラクに大量破壊兵器はなかった。同時多発テロとの関係もなかった。何のために戦争をして、何のために息子たちは死ななければならなかったのでしょう」「今も米兵やイラクの人が命を落としているのに、自分の息子が戦場に行かない政治家は気にしていない。間違った戦争はやめさせるのが愛国者です」
話し終えると、数百人が総立ちして拍手した。息子や夫をイラクで失ったほかの遺族らも、次々にイラクからの撤兵を求める発言をした。制服姿のイラク帰還兵が鎮魂のラッパを吹き、全員で犠牲者追悼の祈りをささげた。
ブッシュ大統領が夏休みをとっていたテキサス州の牧場前で、8月6日から面会を求めて座り込んでいたシーハンさんは、大統領が休暇を切り上げた同月末から、駆けつけた支持者らと反戦のバスツアーを始めた。51都市で200回を超す集会を開き、議員の事務所や議会にもイラクからの撤兵を呼びかけた。
「反戦運動のシンボル」として全米メディアの脚光を浴び、保守派からは「息子の戦死を政治に利用している」と批判される。だが、フィラデルフィア市議会が15日に撤兵決議を採択するなど、厭戦(えんせん)・反戦ムードを広める役回りを担ってきた。
19歳の息子が3月からイラクで従軍しているオハイオ州のペギー・ローグさん(69)も同州でツアーに参加した。愛車には「軍に支援を」と呼びかける黄色いリボンのステッカーが張ってある。「息子が所属する隊は支援するけど、この戦争は支持しない。皆がおかしいと感じていたことを彼女が素直に言ってくれた」という。
地元は保守的な土地柄。ブッシュ大統領の強固な支持基盤だ。戦争反対を公言するのもはばかられたが、イラクに駐留している地元から派遣された部隊に8月初旬、9人の戦死者が出てから雰囲気が変わったという。「毎日のようにあちこちで葬儀があり、いたたまれなかった。『次はもしかしてうちの息子?』。そんな思いで夜も眠れないのです」
反戦団体は24日にワシントンでイラク撤兵を求める集会を開く。テキサス州のかつての座り込み場所は、シーハンさんの息子の名前から「キャンプ・ケーシー」と呼ばれた。シーハンさんは「今後はホワイトハウス前にキャンプ・ケーシーを作り、私はカリフォルニア州の自宅と行き来する」と話した。
http://www.asahi.com/international/update/0922/002.html