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ブッシュ米大統領:大型ハリケーンへの対応巡り窮地に
毎日新聞 9月9日18時10分
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050910k0000m030015000c.html
【ワシントン及川正也】大型ハリケーン「カトリーナ」災害への対応をめぐり、ブッシュ米大統領が最大の窮地に陥っている。11日に4周年を迎える米同時多発テロでは失意の米国民を強い指導力で結集し、党派を超えてテロとの戦いに支持を得たが、これとは対照的に初動の遅れは指導力不足を印象付け、党派的対立も激化の一途だ。被災者への手厚い支援で巻き返しを図るが、危機管理のぜい弱さや新たな財政負担は対テロ戦や財政再建などの主要な政権戦略にも影響しそうだ。
■9・11と明暗分ける
「はっきりさせておきたい。避難者への支援に障害となるような規則などなしだ。支援を彼らに届けるんだ」
ブッシュ大統領は6日の閣議で繰り返しこう強調、「官僚的な煩雑な手続き」を省略し、被災者への救援を最優先にするよう指示した。テレビは救援隊の姿が見えない避難所の映像を繰り返し放映し、大統領もいら立ちを募らせていた。
4年前、約3000人の犠牲者を出した米同時多発テロで大統領は、発生から3日後の9月14日、崩壊したニューヨークの世界貿易センタービルを訪れ、救援隊に「みなさんは国家の誇りだ」と励まし、政権最高の支持率90%を記録した。
今回、最大の被害を出したルイジアナ州ニューオーリンズを訪問したのも水没から3日後だったが、すでに政府批判の矢面に立たされて「対応には満足していない」と認めざるを得ず、支持率もゾグビー社の41%など低迷、明暗が分かれた。
■「強い大統領」に陰
批判の矛先は、災害を担当する米連邦緊急事態管理局(FEMA)に向かっている。民主党のぺロシ下院院内総務は6日、ブッシュ大統領との会談でブラウン局長の更迭を求めたが、大統領は「何がいけなかったのか」と一しゅうした。
FEMAは災害対策を担う独立官庁だったが、同時テロを受けた省庁再編で新設された国土安全保障省に統合された。ダムを狙ったテロ攻撃では今回のような被害が想定されるが、今回の対応はテロへの無防備すら露呈させることになった。
民主党からは「9・11以降、政府は何をやってきたのか」との批判が強まり、CBSテレビの調査では大統領を「強い指導者」とみる人は1年前から16ポイントも急落して48%にとどまるなど大統領の危機対応への信頼も揺らいでいる。
■米国の分裂、深刻に
9・11後と違って国家的緊急時に激しい政権批判が起きたことは、昨年の大統領選で浮き彫りになった共和党と民主党の国を二分した党派的対立が、来年の議会中間選挙、08年の大統領選をにらみ、より先鋭化していることを浮き立たせた。
同時テロでは大統領と同じ共和党のジュリアーニ・ニューヨーク市長が先頭に立ち、政権と連携したが、民主党のブロンコ・ルイジアナ州知事は当初から連邦政府の対応を批判し、州兵の管理権の連邦政府への委任要請も拒絶。共和党内には「知事の決断の誤りが惨禍を広げた」「今回はジュリアーニのような英雄がいない」と逆襲、非難合戦は泥沼化している。
ワシントン・ポスト紙とABCテレビの調査では、大統領の災害対応への賛否は「46%対47%」できっ抗。ただし、評価したのは民主支持層の17%に対し共和支持層は74%に達し、「有権者の分極化が深まっている」(同紙)と分析している。
ブッシュ大統領は8日、被災者への長期的な支援を表明。「リーダーシップを示す好機」(周辺)と巻き返しを狙うが、民主党は議会を舞台に徹底抗戦する構えだ。年内には社会保障改革やイラク民主化への総選挙、連邦最高裁長官人事など両党が真っ向から対決する懸案が目白押し。「カトリーナ対決」は来年の中間選挙に向けた政治闘争の前哨戦ともいえる。
毎日新聞 2005年9月9日 18時10分