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(回答先: ブッシュ大統領に面会求め母親が抗議の座り込み 投稿者 木村愛二 日時 2005 年 8 月 12 日 08:46:05)
□お茶も同情もなし?/モーリーン・ダウド [暗いニュースリンク]
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/08/by_3009.html
08/12/2005
「お茶も同情もなし?」byモーリーン・ダウド
イラクで戦死した兵士の母親達が、全米で結集し始めている。
きっかけは、ブッシュ大統領が最新の演説で、戦死した兵士の遺族に向けて語った以下の発言である:
「イラクとアフガニスタンで、テロとの闘いで亡くなった我が国の男女は、崇高な使命のために、無欲の内に命を捧げたのだ。」
大統領の言葉に、カリフォルニア州の女性シンディ・シーハンは、怒りを新たにした。出征した息子をイラクで亡くした母親である彼女は、『平和のための戦死兵遺族会(Gold Star Families for Peace)』という組織を立ち上げ、イラク駐留米軍の即時撤退を訴え活動している。
「崇高な使命とは一体何のこと?」この疑問の答えを、大統領に直接会って問いただすために、シンディ・シーハンは、大統領が夏休みを過ごしているテキサス州クロフォードの牧場前にやってきた。だが大統領は彼女と会うつもりはないと言う。大統領側近達の説明に納得できない彼女は、その場で待ち続けることにした。
シンディ・シーハンがブッシュの私邸である牧場前に座り込みを開始してからまもなく、同様の境遇にある全米の両親が続々と支援のために同地に集まり始めた。さらに、遺族に共感した退役軍人達も参加し、その人数は日増しに増加している。
戦死した兵士達の遺影を手に、怒りに燃える母親たちは、ジョージ・W・ブッシュと直接会見し即時撤兵を決心させるまで、私邸及びホワイトハウス前で大統領を待ち続けると宣言している。(11日、ブッシュは最新演説でシンディ・シーハンの件に言及したが、イラク撤退についてはいつもどおり拒否した)
一方で、ブッシュを擁護する保守系市民は攻撃キャンペーンを開始し、フォックスニュース等では極右タレント達が、座り込みをする母親を罵倒している。
ニューヨークタイムズ紙の連載で人気を博しているモーリーン・ダウドは、同紙の連載コラム最新版で、シンディ・シーハンをとりまく現在の米国の状況について書いている。以下に全文翻訳して掲載。(文中リンク、注釈は訳者による)
お茶も同情もなし?(Why No Tea and Sympathy?)
by モーリーン・ダウド:ニューヨークタイムズ紙2005年8月10日付けコラム
http://www.nytimes.com/2005/08/10/opinion/10dowd.html
W(ダブヤ)はイラクのことで何一つ満足できずにいる。
テキサス州クロフォードにあるブッシュ私邸の牧場の外では、戦死した兵士の母親が怒りに震えながら、周到に演出された弔意をより好む大統領との面会を求めている。
最新のCNN・USAトゥデイ・ギャラップ共同世論調査によれば、アメリカ国民の大半は、イラク戦争が誤りであり、戦争によってアメリカ合衆国がテロ攻撃に対して脆弱になっていると考えている。つまり、イラクで戦うことで、合衆国本土で国民がテロと戦わねばならぬ可能性が高まっているということだろうか。
昨日、ドナルド・ラムズフェルドは、イランとイラクへの国境地帯で、精巧な爆弾が流通し始めていると認めた。
そして、ローリング・ストーンズは、性的な詩をひと休みして、『素敵なネオコン(Sweet Neo Con)』という反戦ソングを新たにレコーディングした。この曲では、ミック・ジャガーがコンディ・ライスとブッシュを嗜めながら、『あんたは自分のことをクリスチャンと言ってるが、俺に言わせりゃ恥知らずさ♪』と歌っている。
月曜日に、N・F・L(全米プロフットボールリーグ)は、ストーンズ、ABC放送と共同で、『Monday Night Football(毎週月曜のフットボール試合番組)』をプロモートすると発表した。愛国心を誇示しがちなN・F・Lは、(政府の)圧力があれば発表を取り消すだろうが、2003年にマドンナが反戦ミュージックビデオの配信を怖気づいて止めて以来、世論はすでに変わっている。これまでホワイトハウスは、兵士を侮辱する行為との口実から戦争批判派を抑圧してきたが、兵士を守るためにどういう計画があるのかホワイトハウス側に説明を求める国民の数は一層増加している。
48歳の、広報活動に才覚のあるカリフォルニア人シンディ・シーハンは、ブッシュ大統領と差し向かいでイラクからの米軍撤退を訴えることができるまで、大統領私邸の牧場の傍の、砂煙舞い上がる灼熱の場所で野営を決行すると話している。シンディの息子ケイシーは、24歳の陸軍特技兵で、昨年イラクのサドルシティで待ち伏せ攻撃により戦死した。
ケイシーの死後2ヵ月後に、ブッシュ大統領は遺族と面会した。陰鬱さと冗談の間を行き来する大統領の当惑ぶりに相対したシーハン夫人は、会見中にブッシュが彼女に対して『お母さん』としか呼びかけなかったのは、息子の名前すら大統領が知らなかったのではという気持ちに至ったと話した。
ブッシュ側のチームは、過去の報道においてシーハン夫人がブッシュを擁護していたとして、その『お母さん』の信用を貶めようとした。もしも彼女の夫がCIA工作員だったなら、ブッシュ陣営はとっくにそれを漏洩していただろう。しかし、仮にブッシュ陣営が『真実のための高速艇母(Swift Boat Moms for Truth)』部隊を送り出したとしても、『真実のためのファルージャの母』が迎え撃っているだろう。(訳注1)
驚いたことに、ホワイトハウス側は、門の外にブッシュを出させて、母親の言葉を聞いたり、お茶に招待する類の、初歩的な待遇すらしていない。しかし、大統領任期中の20%ほどの時間を私邸である牧場で過ごしているブッシュは、5週間の夏休みと毎日2時間のワークアウトに身を隠している。大統領自身は健康になるだろうが、イラクにとっては全く無意味だ。
かつて、これほどまでに世間から隔絶された大統領がいただろうか。強固に管理された環境のおかげで、大統領は自身に異議を唱える相手とは全く直面することがない。大統領は自らを弁護する必要は全くないどころか、それは無礼ですらあるというのだ。ブッシュは決して国民と会うことのないポピュリストで、木の手入れをするような、どこにでも居る人間で、話しかける唯一の相手も木だけというわけだ。ブッシュはテキサスを、自身が原点に帰れる場所として賞賛している。しかし彼は、バルカン、パイオニアー、レンジャーに加えて、テキサスを混乱させているだけではないか。(訳注2)
ブッシュは慰めとして、外交分野における非人道的な人道主義を強調すべく、国家安全保障担当補佐官スティーブン・ハドレーを、シーハン夫人の話し相手として派遣した。ハドレーは、強硬で思いやりのないネオコンで、アメリカを騙して戦争に引きずり込んだ張本人の1人としてまさしく適役であった。
大統領にとって、自身の行動の結果生まれた人的被害から隠れ続けたり、イラクで戦死した1835人の兵士にカーテンを被せて国民感情を管理することは一層困難になっている。1万3,000人以上の兵士が負傷し、その多くは手足を失っている。イラク市民の犠牲者数は、2万5,000人、ひょっとしたらその2倍から3倍を超えているかもしれない。申し分のない信任状を携えた人々が、比類なき道徳的権限の体現者として社会に名乗り出て、ブッシュに挑みかかっている。
イラクに派遣された海兵隊員として、大統領の行為を批判していたポール・ハケットは、共和党が優勢なオハイオ州シンシナティで民主党候補として下院議員に立候補し、先週僅差で落選した。共和党のニュート・ギングリッチは、その選挙を「2006年選挙に向けた共和党への警鐘となった」と評している。
ごく限定的な思いやりを見せるブッシュは、911テロの被害を強調することでイラク戦争を正当化している。大量破壊兵器が開戦根拠として蒸発した際には、大統領は自由を求めるイラク人の人道性を強調していた。
しかし、イラクで戦死した兵士達を埋葬した両親達の道徳的権限が絶対的であることを理解しないならば、大統領の人道主義は依然として無慈悲というほかない。
(以上)
(訳注1:2004年大統領選挙で、ジョン・ケリーの軍歴を中傷するためにブッシュ陣営が発足させたのが『真実のための高速艇退役軍人の会(Swift Boat Veterans For Truth)』。その中傷内容は全てデッチアゲだった。)
(訳注2:パイオニア等の名称はブッシュ再選活動への献金者の献金額ランクのこと)