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首相参拝 是か非か
小泉純一郎首相が再び靖国神社参拝に踏み切るかどうかが注目されている。首相は就任以来、八月十五日を避けながら毎年参拝を続けてきたが、中国や韓国の反発はかつてないほど高まっている。四年余の小泉外交の評価と合わせ、識者に意見を聞いた。 (政治部・高山晶一、篠ケ瀬祐司)
■浅井基文広島平和研究所長
外務省で中国課長、地域政策課長などを歴任。退官後、日大教授、明治学院大教授を経て今年4月から現職。64歳。
――小泉政権の外交をひと言で言い表すと。
「『主体の欠如』。米国の言うなりで、アジアには見向きもしない。アジアに対して非常に感覚が乏しい政治家だ」
――首相の靖国参拝をどう見る。
「靖国神社は日本の軍国主義礼賛のシンボル。一国の首相が参拝すると、植民地支配を受けた中国や韓国の傷口をもう一度開いて塩を塗ることになる。だれが首相でもやっちゃいけない」
――参拝は国益を損なうとの懸念もある。
「経済交流にも悪影響が生じることを考えないといけない。日本は『政冷経熱は変わらない』と高をくくっているが、日本の経済界は軍事力強化や改憲を支持する発言をしている。(首相と)同じ穴のむじなとみなされかねない」
――中国や韓国は、自国民の反日感情をにらんで、ことさらに参拝を問題視している、という見方もある。
「中韓ともに、国民感情が暴走して収拾がつかなくなると困るという気持ちが強いと思う。中韓が反日感情の爆発を誘うようなことをやっていると見るのは大間違いだ」
――日本にも反中感情が出ている。
「日本人は正しい歴史教育を受けておらず、青少年が偏狭なナショナリズムを持ちやすい雰囲気になってしまった」
――A級戦犯を祭った靖国神社への参拝は、東京裁判を受け入れたサンフランシスコ講和条約の放棄につながるとも指摘されている。
「それに等しい。首相に代表される右派勢力のけたたましい言動には、米国も首をひねらざるを得なくなっている」
――イラクへの自衛隊派遣をはじめ、小泉政権が米国の望む政策を進めた背景に何があるのか。
「ブッシュ政権は9・11テロ以降、米国の言うことを聞く有志連合で戦争をやる方向で動きだした。もともと九条改憲論者だった首相にも『自衛隊は一丁前の軍隊になれ』というすごい強力な風が吹き込んだ。ほかの首相ならもう少し慎重に運んだかもしれない」
――外交面で衆院選の争点は。
「靖国やアジアとの友好関係だけでなく、改憲、日米軍事同盟重視(の是非)も問うべきだ」
■中西輝政京大教授
静岡県立大教授などを経て現職。「帝国としての中国」「国民の文明史」など著書多数。京大卒。58歳。
――首相の参拝には、政教分離原則に触れるおそれやA級戦犯合祀(ごうし)の問題がある。
「政府が特定宗派の宣伝や普及、保護をすれば政教分離原則を侵すことになるが、今の形での参拝は原則に抵触しない」
「個々人が『A級戦犯は国を滅ぼした人だ』ととらえてもいい。しかし恩給法の改正で、東京裁判の受刑者は拘禁期間も在職期間と算定された。国家意思としてA級戦犯は戦争犯罪人でないと位置付けられている」
――日本はサンフランシスコ講和条約締結の際、A級戦犯を有罪とした東京裁判を受け入れたのではないか。
「正本である英文の講和条約の一一条に『判決を受け入れる』とある。これは刑の執行を継続するという手続き条項。講和条約は、東京裁判の内容や歴史観を受け入れる文脈のものではない」
――中韓両国は、首相の参拝は戦争を美化するものだと反発している。
「小泉首相は繰り返し不戦の誓いをし、戦争美化はしていない。中国が靖国問題を取り上げるのは、政治・外交カードとして利用し、東シナ海のガス田や台湾などほかの問題を有利に進めようとしているからだ」
「日本が靖国問題で譲歩すれば、主権や安全保障の重大問題で中国に大きく譲歩したり、中国との全面対決に向かうかもしれない。首相には八月十五日に参拝してもらわないと困る。外国の反対で公約が実現できなかったら、国家主権が根底から崩れる。日本史的スケールの問題だ」
――だが、「政冷経熱」を高じさせないか。
「日本の国是は政経分離。政治に煩わされず、経済関係を深め、国民の相互理解を進めるのが戦後の平和哲学で、日中友好は可能だ」
――これまでの小泉外交をどうみるか。
「最初に方針を持たず、走りながら考えた外交だったが、『アジア軽視、対米追従』という指摘は間違い。日朝国交正常化を望み、東アジアサミットにも関与している。訪中し、『中国は脅威ではない』とアピールもし、歴代自民党政権と差はない。北朝鮮外交などで米国とすり合わせていない。最近では、ブッシュ政権が小泉外交に不満と懸念を抱いている」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050811/mng_____kakushin000.shtml