★阿修羅♪ > 戦争73 > 1258.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
ハリケーン被災 対テロ優先、災害軽視 国土安全保障省のあり方に一石
2005年 9月 6日 (火) 02:40
【ワシントン=樫山幸夫】大型ハリケーン「カトリーナ」による空前の被害に対する米政府の救援活動の遅れが指摘されているが、その原因として、発足間もない国土安全保障省がテロ対策に関心を奪われ、災害対策が軽視されていたという指摘が米国内で台頭してきた。同省のチャートフ長官もこうした見方を否定しておらず、今後の同省のあり方に一石を投じることになりそうだ。
国土安全保障省のジェームス・ロイ前副長官はAP通信に対し、「救援に円滑さを欠いたというのは、もっともな疑問だ。国土安全保障省はテロ防止を最重要課題と考えており、その対策は十分に施されている。しかし災害対策についていえば、いつ発生してもいいような十分な備えは施されているとはいえない」と語った。
チャートフ長官は今月三日、ニューオーリンズのような脆弱(ぜいじゃく)な地域が極めて強力なハリケーンに直撃されたという不運を指摘しながらも、「われわれはテロと災害の双方への備えを強化しなければならない」と述べ、間接的ながらも災害対策が不十分であったことを認めた。
国土安全保障省は今年一月、他の政府機関と協力して、災害時の州政府への協力などを盛り込んだ対策を取りまとめた。その中には想定されるケースとして、ニューオーリンズのハリケーン直撃なども含まれていたというが、今回の被害に際しては、ほとんど効果をあげ得ることができなかった。
この原因について、連邦緊急事態管理庁(FEMA)の国土安全保障省への併合による弊害を指摘する向きもある。
ブルーメンアウワー下院議員(民主党、オレゴン州)は、「FEMAは国土安全保障省に統合される前、災害対策が任務の99%、テロ対策は1%だったが、統合後は災害対策の重要性が忘れられてきた。それが今回の原因だ」と指摘。FEMAのブラウン長官も予算その他で災害対策が軽視されつつあることに日ごろから周囲に不満を漏らしていたとも伝えられている。
被害の全体像が依然明らかではなく、救援活動が進行中の現時点では、こうした議論は声高になされることは少ないが、事態が収拾した時点で政府内外で同省の官僚的な弊害についての議論が活発化する可能性がある。
◇
国土安全保障省 2001年9月の米中枢同時テロを契機に、国家安全保障にかかわる問題に備えるために創設が決まった。FEMAのほか、沿岸警備隊、税関、交通安全局など22の機関を統合して2003年1月に発足。(1)国境の警備と運輸の安全(2)災害を含む緊急事態への対応(3)生物・化学テロへの対策(4)情報分析、インフラの保護−などを業務とする。職員は17万人にのぼり、政府機関としては国防総省に次ぐ規模を誇る。
http://news.goo.ne.jp/news/sankei/kokusai/20050906/m20050906009.html