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米ハリケーン:ブッシュ政権、苦境に イラク、ガソリン 批判に追い打ち
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/usa_c/news/20050903dde007030071000c.html
【ワシントン及川正也】米史上最悪ともいわれる大型ハリケーン「カトリーナ」の被害拡大をめぐり、ブッシュ米大統領への風当たりが強まっている。連邦政府の初動の遅れに批判が出ているのに加え、ガソリン価格も大統領の便乗値上げへの警告をよそに上昇しているためだ。支持率低迷を招いているイラク戦争とガソリン高騰への批判にハリケーン災害が追い打ちをかけた形だ。ブッシュ政権は「三重苦」を抱え、01年の同時多発テロ以降、最大の正念場を迎えている。
大統領は2日、視察先のミシシッピ州で、イラクに投入している州兵や資金を国内に振り替えるべきだとの意見がある、との記者団の質問にこう答えた。「賛成できない。テロとの戦いも被災者支援も両方やる。それだけの能力がある」
国防総省や米メディアによると、イラクには、最大の被災地となったルイジアナ州から3000人、ミシシッピ州から3800人の州兵を派遣。復旧や後方支援、治安確保が主な仕事だけに「災害救援に欠かせない集団」とされる。
十分な州兵が残っていれば(1)ハリケーン襲来前の住民避難に動員できた(2)被災直後に迅速に対応できた−−が専門家の指摘だ。「無法状態化」したルイジアナ州ニューオーリンズの避難所に州兵の姿が見えず、初動の遅れだと問題になった。
2日になって避難所での州兵の活動が活発化したが、避難者は「海外に軍隊を派遣できても、ここには来ない」と不満を強め、ハリケーン被害拡大が、不透明感を増すブッシュ政権のイラク政策への批判に飛び火する可能性もある。
昨年来のガソリン価格上昇への批判も一段と強まっている。ハリケーン襲来でメキシコ湾岸の石油施設はほとんどが生産を停止し、高騰に拍車がかかった。価格抑制策として大統領は戦略石油備蓄の放出に踏み切ったが、1日付の米ギャラップ社などの調査では、米国民の7割が痛手を被ったと感じ、政権のガソリン高騰対策への支持も2割にとどまっている。
大統領は以前、地元テキサス州で石油発掘会社を興すなど石油業界と縁が深い。民主党のハワード・ディーン全国委員長は「国民に協力を求める前に、大手石油会社の友人に、便乗値上げをやめるよう求めるべきだ」と皮肉った。
大統領は2日の視察では、荒廃ぶりに時に涙を浮かべ、被災者の女性2人を抱きしめ励ます光景も見られた。
米政府は4日までに被災地に州兵3万人を送り込み、原子力空母「ハリー・トルーマン」まで動員する救援作戦を実施する予定だ。
ブッシュ大統領は救援活動をうまくこなし、これを支持率回復の踏み台にしたい考えだが、議会などは初動の遅れや甚大な被害に及んだ連邦政府の結果責任を追及する構えも見せており、大統領の思惑通りに運ぶ見通しはついていない。
毎日新聞 2005年9月3日 東京夕刊