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被害想定が現実に 予算不足で対策後手 ハリケーン被害
朝日新聞 2005年09月03日06時07分
http://www.asahi.com/international/update/0903/002.html
ニューオーリンズ市でハリケーン「カトリーナ」が起こした災害の規模について、米連邦政府や州政府など関係当局は少なくとも5年前から想定し、机上演習も2回実施していたことが分かった。貧困層の人々が取り残される事態を含め今回現実になった問題がすでに確認されていたが、予算不足などで抜本的な対策はとられないままだったという。
2日付ニューヨーク・タイムズ(電子版)や米南部の地元紙タイムズ・ピカユンが報じた。今年1月、連邦緊急事態管理庁(FEMA)幹部がスマトラ沖大地震・津波の被災地を視察したが、その際も、米国が学ぶ教訓としてニューオーリンズ市が最ももろいとの結論に達していたという。
両紙によると、演習は00年と昨年7月に行われた。昨年の演習は、FEMAの肝いりで連邦、州、地方当局から計250人が参加。大型ハリケーンが同市を襲い、堤防から水があふれ、100万人が避難。市民の半数は屋根の上に取り残されるという想定で、今回の被害を引き写したようなシナリオだった。
演習の結果、綿密な避難計画や、被災者の大規模な捜索・救出の計画づくりなどの必要性が確認された。さらに、車を持たない貧困層や高齢層など計約10万人は、事前勧告しても避難は難しいと指摘されていた。
今回の災害で実際に多くの貧しい人々が取り残された。避難させる警察の人員は確保できなかったうえ、発生が月末だったことも響いた。政府の生活保護手当は月初めに支給されるため、貧困層には逃げる資金もなかったようだとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。
ただ、過去の演習は、いずれも堤防から水があふれることを想定しており、今回起きたような堤防そのものの決壊までは予想していなかったという。当局側は、ハリケーンの猛威が予想を超えていたと反論している。
しかし、USAトゥデー紙も1日、「技術者らは災害を警告していた」とし、連邦政府がハリケーン対策予算を軽視していたとの記事を1面に掲載。シカゴ・トリビューン紙も予算不足の一因はイラク戦争にあると論じるなど、政府への風当たりが強まっている。