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社説:サマワの自衛隊 民間支援の準備も進めよ
ロンドンで起きた同時爆破テロ事件を機に再び「テロに屈するな」の声が大きくなってきた。
小泉純一郎首相は先に来日したライス米国務長官と会談し、「テロとの戦いの継続」で一致した。イラクの自衛隊派遣の再延長を示唆したものといえる。
とはいっても、小泉首相は再延長に関して「12月が近づいてきたら状況をよく判断して決めたい」と語っている。まだまだ自らの判断を公式に明らかにするつもりはないようだ。
しかし、派遣期限(12月14日)の直前になってどたばたと決定すべきではない。撤退する場合には隊員の安全面を考え数カ月の期間をかけて部隊を段階的に引き揚げることが必要である。
また、イラクでは8月15日までに憲法草案を起草し、新憲法に基づく選挙を経て12月末までに本格政権が発足する運びだ。政府はそのスケジュールをにらみ中長期の復興支援を検討すべきだ。
そのためには、派遣を延長するかどうかはともかく、自衛隊以外の民間の復興支援も検討する必要がある。すでにサマワに大型ディーゼル発電所を建設するため総額約127億円の無償資金協力の実施を決めた。治安の回復が前提だが、大型プロジェクトを実施するにはサマワに民間人の派遣も必要になってくるだろう。
自衛隊の方も、給水活動、公共施設の復旧・整備、医療支援のうち、給水活動は簡易水道が整備されたことで2月上旬で終了。支援活動の重点は、現地住民を1日1000人程度雇用して行う公共施設の復旧・整備に移っている。この事業には防衛施設庁の技術職員も現地入りして自衛隊の活動を支えている。復興支援のあり方も刻々と変化している。
昨年12月に政府が派遣の1年延長を決めた際、基本計画に(1)復興の進展状況の変化(2)政治プロセスの進展状況(3)現地の治安状況(4)多国籍軍の活動状況の変化−−を撤退の条件として明記した。
政府は4条件についてどんな認識を持っているのか。派遣延長の判断を下すなら、その認識をきちんと国民に説明する必要がある。
いずれにしろ、これからはイラクの国づくりの進展に合わせて機動的に復興支援を進める必要がある。本格政権が発足し治安が安定すれば、外国の軍隊がイラクから撤収する動きが加速することが予想される。そうした状況の変化をにらんだ対応が不可欠になる。
サマワの治安がバグダッドなど他の地域に比べれば安定しているといっても、自衛隊の宿営地に対する砲撃が10回を数え、自衛隊の車列への爆弾攻撃もあった。犯行声明が出たのも不気味だ。
だが、地元警察の警備体制も徐々に充実しているという。本格政権発足後は、治安はより安定するとの見方もある。
12月がイラク支援の大きな節目になるのは間違いない。政府にはサマワの治安状況や国際情勢を慎重に見据え、ポスト自衛隊の活動も含めた復興支援のビジョンを示してもらいたい。
毎日新聞 2005年7月20日 0時44分
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20050720k0000m070162000c.html