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シバレイのblog 新イラク取材日記 reishiva.exblog.jp
http://reishiva.exblog.jp/3133333/">暗殺教育
意に沿わない人間を拉致し、拷問の挙句、殺してしまう。
これは、変な髪形のショーグン様の国でのことだけではない。13日、昨年4月の日本人人質事件で解放のため活躍したイラク・イスラム法学者協会のメンバーを含むスンニ派の男性11人(12人という情報もあり)がイラクの治安部隊に拉致された後、拷問を受け死亡した。
*http://www2.asahi.com/special/iraq/TKY200507140205.html">聖職者ら11人、拷問後死亡か イラク治安部隊連行
イラクでは、治安回復を目的にイラク警察やイラク国家警備隊が創設され、「治安維持」にあたっているが、多くのイラク人がこれらの治安機関を忌み嫌っており、「イラクの治安機関に拘束されるくらいなら、米軍に拘束される方がまだマシ」という声*すらあるくらいだ。
*http://electroniciraq.net/news/2049.shtml">Electronic Iraq"A Police State"(英文)を参照。
中でも人々が恐れているのは、米軍から訓練を受けた「ウルフ旅団」と呼ばれる特殊部隊だ。いや、特殊部隊というより殺人集団と言った方が適当なのかもしれない。このウルフ部隊によって、占領に批判的、或いはそう見られた一般市民やイスラム法学者らが、拉致された後、遺体となって発見されるというテロ事件がこれまで何度も起こされている。今回の事件にもその手口から見て、ウルフ旅団の仕業である可能性は高い。「サダムは去った。だが、その師が来た」とは、昨年の取材で出会った、妻が米軍に連行され収容所で虐待を受けたというイラク人男性が怒りに身を震わせながら吐き捨てた言葉だが、今米国は新たな「弟子」を得たということであろう。
ウルフ旅団の暗躍には、さらに重大な問題がある。ウルフ旅団の隊員の多くはシーア派政治組織「イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)」の民兵組織バドル旅団の出身なのだが、同旅団は「スンニ派へのテロ攻撃を行っている」として、イラク・イスラム法学者協会から名指しで批判されていた。そのバドル旅団の隊員を米軍は訓練し、より凶暴なウルフ旅団の隊員として人々を襲わせている。よく「米軍が撤退したら、内戦が起こる。イラクの安定のためには駐留を続けることが必要だ」云々という主張を聞くが、米国こそ宗派間の対立を煽っているのではないか。
先月10日付けの米ボストン・グローブ紙が「米軍幹部の間からも掃討作戦の継続だけでは武装勢力を抑えきれないとの見方が出てきている」と報じるなど、軍事一辺倒のブッシュ政権の対イラク政策は行き詰っており、特に米軍への激しい抵抗を続けるスンニ派信徒達との対話の必要性が指摘されている。それなのに、スンニ派信徒に対して大きな影響力を持ち、イラク情勢が安定させるため貢献できうる存在であるイラク・イスラム法学者協会のメンバーを粛清することは、正に愚の骨頂で、対話の道を閉ざすだけである。
恐らく、遅かれ早かれ、いつの日か米軍はイラクから撤退することになるだろう。カネも兵力も限界に近づいているからだ。だが、このままでは米国がイラクにまいた圧政と混乱の種が、米軍撤退後もイラクの人々を苦しめることになりかねない。その罪深さを米国もその支援国も認識すべきだ。
…少なくとも、出来ないことを声高に叫ぶことはやめるべきだろう。「イラクを民主化する」???米国や日本がよその国の民主主義を語るのは100年早い。まずはもう少しマトモな指導者を国民が選べるように、自分の国の民主化を行うべきなんじゃないか。
画像は、自爆攻撃の現場近くで警戒するイラク国家警備隊の女性兵士。