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テロ送金対策強化 10万円から本人確認 “疑惑”取引届け出も 金融庁
ロンドンでの同時テロを受けて、金融庁は十五日、テロ資金を根絶するための対策強化に乗り出す方針を固めた。金融機関に対し、送金の際に顧客の本人確認を行うことが義務付けられている大口の現金取引の基準額を、これまでの「二百万円超」から「十万円以上」に大幅に引き下げる。また、金融機関に加え、テロ資金に利用される疑いのある取引を扱う場合、自発的に当局に届け出る義務を弁護士や公認会計士などにも負わせるのが特徴だ。金融庁は今月内に関係省庁間で調整し、政府としての方針を公表する。
金融庁は平成十八年の通常国会に関連法案を提出し、同年の十二月にも実施に踏み切りたい考えだ。現在、国内の金融機関では、口座開設や二百万円超の大口現金取引の際、顧客の本人確認を行うことが義務付けられている。十三年九月の米中枢同時テロを受け、十五年一月から施行された本人確認法に基づくもので、テロ組織関与者が組織に資金を送金することを防ぐ狙いだ。
ただ、ロンドン同時テロを契機に、金融庁はテロ資金を小口分散して送金するケースも想定されることから、本人確認が必要な現金取引の基準額を引き下げる必要があると判断。基準額を「十万円以上」とし、頻繁なチェックを行うことでテロ資金の根絶を目指す。
テロ資金供与に関する国際的な対策と協力の推進に指導的役割を果たしているFATF(金融活動作業部会)は、弁護士や公認会計士にテロ資金供与の疑いのある取引を当局に届け出ることや、取引記録の保存を義務付けるよう勧告している。諸外国では弁護士や公認会計士が代理人としてテロ資金の送金を仲介する事例があるためで、金融庁は届け出義務を課すことで、こうした「犯罪行為」に加担しないように注意を促す考えだ。
本人確認は運転免許証やパスポートなどの公的証明書で行われる。テロ組織関与者は国連機関が提供しているリストに記載されており、金融機関は送金の依頼があれば、該当者かどうかチェックすることになる。
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≪資金洗浄の疑い急増≫
金融庁がテロ資金対策の強化に踏み切る背景には、国内でもテロ組織に絡んだ資金洗浄(マネーロンダリング)の疑いのある取引の届け出件数の急増があるからだ。
同庁によると、資金洗浄の疑いがある取引の届け出件数は平成十一年に千五十九件だったが、翌十二年には七千二百四十二件と大幅に増加。以降、十三年が一万二千三百七十二件▽十四年が一万八千七百六十八件▽十五年が四万三千七百六十八件▽十六年が九万五千三百十五件−と増え続けている。
この届け出件数に、テロ組織に送金した疑いのある取引が盛り込まれるようになったのは、十二年二月から。テロ資金の流れを把握するのは難しく、警察当局も金融当局も正確な件数は把握できていないが、同年以降の件数増加が著しいため、「国内の金融機関がテロ組織への送金に利用されるケースが増えているのではないか」(金融庁幹部)との危機感は強い。
金融機関の窓口では、大口の海外送金を依頼してきた顧客に対し、資金の出所を詳細に聞き、送金を取りやめる必要があると判断したケースもあったという。アルカーイダ系の組織が日本国内の口座を使って資金移動した形跡のある取引もあったと指摘されている。
ただ、金融機関の窓口でテロ資金かどうかを明確に判別するのは難しい。ある大手銀行の幹部は「水際の窓口で止められるケースはまれ」と明かす。その理由のひとつに「テロ対策が進んでいる欧米に比べ、国内のテロ組織関与者のリストづくりが遅れている」(大手銀行幹部)との事情がある。テロ資金の根絶のためには、関係省庁の連携による、もう一段の対策が必要といえそうだ。(本田誠)
http://www.sankei.co.jp/news/morning/16iti001.htm