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(回答先: 【関連】 『欧州の仲間使いテロ』 ザルカウィ容疑者 グループ関与一斉報道 【東京新聞】 投稿者 愚民党 日時 2005 年 7 月 09 日 15:51:11)
庶民の足 警備に限界
『標的化』想定内でも全世界で対策後手
ロンドンの金融街・シティーにほど近い四カ所で、朝の通勤ラッシュの乗客を襲った七日の同時テロ。英国での主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)のスキを突かれたとはいえ、公共交通機関を狙ったテロを防ぐ警備上の手だてはなかったのか。不特定多数の乗客に紛れたテロリストへの捜査はどこまで迫れるか。事件を検証した。 (ロンドン・岡安大助)
二〇〇一年九月の米中枢同時テロ以後、アルカイダ系などの国際テロ組織が、警備の厳しい航空機から、だれでも自由に荷物を持ち込める鉄道、バスなどの“庶民の足”へ、テロの標的を変更することは想定されていた。
しかし、乗客名簿もなく手荷物検査もできない交通機関で、各国政府の対応は、不審な荷物に注意するよう乗客に呼びかけたり、せいぜい警備員の増員どまり。有効なテロ対策は打ち出せていないのが実情だ。
英国では昨年三月のマドリード列車同時爆破テロ後、ロンドン警視庁の警視総監が「ロンドンで起きないのは奇跡」と発言するほど、テロへの恐怖が高まった。
ところが、英政府の「テロ合同分析センター」は、アルカイダは英国でテロを行う能力はないとして、今回サミットを控えた今年六月には警戒レベルを引き下げるなど、警備当局の現場と政府とで対応がすれ違い、具体的な対策には結びつかなかった。
そのサミットでも、国内から警察官約一万二千人を動員、ロンドンからも数千人の応援要員がサミット会場のグレンイーグルズ周辺に派遣されていた。だが、「アフリカ支援」を訴える大規模デモなどの警備が中心で、サミットに合わせた大規模テロが、グレンイーグルズやロンドンで起きるとは全くの想定外。警備担当のクラーク内相は七日夕、「テロについて何の情報もなかった」と、事前にテロ関連情報がなかったことを認めた。
それでも、英国は長い間、カトリック過激派アイルランド共和軍(IRA)のテロ活動に悩まされ続けた国。決してテロ対策が遅れていたわけではない。一九九八年八月には北アイルランドで犠牲者二十九人を出した無差別爆弾テロが発生。英国はこれを機に、本格的なテロ対策に乗り出し、二〇〇〇年に不審な外国人らを拘束して取り調べることを可能にするテロ対策法を制定。米中枢テロ後はさらに規制を厳格化し、今年三月までに七百人余の容疑者を逮捕している。
その英国でさえ、一般市民の中に潜伏する公共交通機関テロの犯人捜査については、クラーク内相も「人権を尊重しながら、捜し当て、調べなければならない」と難しさを強調する。
安全保障に詳しい英ブラッドフォード大学のポール・ロジャース教授は「ロンドンの警察官がサミットに回されたことと、今回のテロの間に因果関係はない」と断言。公共交通機関を狙ったテロの防止が非常に困難なのはもとより、「最も問題なのは、イラク戦争後の三年間で、(政治的に)アルカイダのような組織を支持する人たちが増えてしまった事実だ」と指摘した。
■サミット議題『変容』 アフリカ支援かすんだ論議
同時テロの標的となった主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)。ブレア英首相の肝いりでアフリカ支援と地球温暖化対策が主要議題だったが、テロ対策に「主役」を奪われる格好になった。
富める者に対する貧しい者の憎悪−。アフリカ支援はテロをはぐくむこうした経済格差を解消する手だて。その論議が同時テロによってかすんでしまったのは皮肉だ。
ただ、各国首脳が反テロでの結束を即座に示し、これを世界に向けて発信した姿勢は評価できよう。
G8だけでなく、中国、インドなど経済新興国の首脳も居並ぶなか、首脳陣を従えるように一歩前に立ったブレア首相は、共同声明を発表。「暴力がわれわれの社会や価値を変えることを許さない」「すべての国と世界の人々に対するこのテロに立ち向かい、打ち負かすことを決意する」と訴えた。
G8首脳による政治討議では、中東和平問題などとともに、当初からテロ対策の強化も話し合う予定ではあった。だが、今回の事件は、テロとの戦いが国際社会の最重要課題であることを再認識させ、「反テロ・サミット」に変容させた。
(グレンイーグルズで、政治部・清水孝幸)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050709/mng_____kakushin000.shtml