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7月7日―メディアを創る
共謀罪と高まる国家権力の横暴
共謀罪に関する記事が大手新聞でも少しずつ見られるようになってきた。しかしそのトーンは切羽詰った危機感を感じさせない。たとえば7日付の朝日新聞も、「行為が反復して行われなければ組織、団体により行われたとはいえない」、「通常の市民運動なら罪にあたらない」という法務省の説明をそのまま伝えている。
しかし共謀罪の深刻さは、犯罪準備行為に着手すらしていなくても処罰できるようになるということであり、共謀罪にあたるかどうかの認定は官憲に委ねられことから来る「国家権力による国民への巨大な心理的圧力、脅威」にこそあるのだ。
それにしても、小泉首相の強権的な言動が4年以上も続いた結果、官僚は「我々の背後には小泉政権がある」といわんばかりに振る舞い、末端の国家権力の横暴が目に余るほどに放置されている。
7月1日号の週刊金曜日に特集されていた、「警察・公安の闇」という記事を読むと、ここまで警察・公安が不法行為を働いてなお追及されずにいるのか、あらためて慄然とさせられる。
全警察にはびこる裏金という犯罪行為に勇敢にも抗議した二人の警察官に対し、組織が行った事は、左遷、脅迫、尾行、おとり捜査、犯罪のでっちあげなどである。その詳細は週刊金曜日に詳しいが、大河原宗平元群馬県警警部補、仙波敏郎愛媛県警巡査部長という二人の当事者が語る話にウソはあるまい。
週刊金曜日には、これに関連して真田左近・元公安警察官の次のような発言もある。北海道の航空自衛隊を退職して静岡県警の警察官になった真田氏は公安担当を三年間まかされた経験を語っている。
「・・・左翼や右翼の動向調査をやりました。労働組合に関してはイデオロギーがあるかないかで監視対象にするかが決められます・・・そのほか協力者(密告者)の獲得作業もやりました・・・左翼が衰退の一途をたどっているのに、なぜこれほど強大な公安組織が現在も存在するのか。一番の理由はお金の問題でしょう。予算が減る事に神経過敏になり、『暴力革命を企図している恐ろしい組織』などとありもしない話しを持ち上げる・・・私が警察を6年でやめたのも裏金の問題があったからです。予算があるのに現場に下りてこない・・・警察とは、ごく一部の幹部が多くの職員を犠牲にして私腹を肥やしている組織です・・・」
その真田氏が前職であった自衛隊について語っているところがまた手厳しい。
「・・・警察より自衛隊のほうがマシだった?とんでもない。自衛隊の内部は、隊員のレベルが情けなくなるほど本当に低いんですよ。警察はまだ地域住民との交流があるからいいですが、自衛隊はただでさえ社会人としての自覚がない連中が多いのに、まったくの閉鎖社会ですから、人間がどんどんボケていく。
防衛と治安という国家の基盤の組織が、日本ではこんな状態なんです」
日銀支店長会議の景気判断に思う
そもそも日本経済の活性化に日銀はどんな貢献をしてきたというのか。マスコミの目に触れる日銀の活動は、景気判断ぐらいしかない。しかもそれが一向に要領を得ない。
6日、日銀の支店長会議が開かれて、7月の「地域経済報告」をまとめたという。その内容が7日の各紙に一斉に掲載されていた。それによると、「穏やかな回復基調にあり、景気の踊り場脱却に向けた動きの広がりをうかがわせる内容になった」(読売)、「自動車など設備投資が好調で、個人消費も底堅い、IT関連産業の在庫調整はかなり進展した」(日経)など、いい事が書いてあるらしい。
おなじく6日に内閣府が発表した5月の景気動向指数(速報値)でも、景気の現状を示す一致指数が55.6%と、景気判断の分かれ目になる50%を2ヶ月ぶりに上回ったと報道されている。
しかし、これと正反対の数字も発表されているのだ。7日付読売新聞によると、おなじく6日に厚生労働省が発表した2004年国民生活基礎調査によると、「生活が苦しい」と答えた世帯は55.8%と、86年に調査を始めて以来最高となったという。また1世帯あたりの平均所得も7年連続で減少、お父さんの月額小遣いも3万数千円と十数年前に比べると半減しているという。明らかに暮らし向きは悪くなっているのだ。
政府の発表する統計と現実の生活実態のギャップはどこからくるのか。この点について、週刊金曜日7月1日号「経済私考」のなかで、竹信三恵子・朝日新聞記者が、こう書いていた。
「・・・テレビの討論会では、竹中大臣が『景気回復は構造改革の成果だ』と胸を張り、経済同友会の幹部が『いや、民間主導が達成した景気回復だ』と経済界の手柄を誇っていた。何か変である。・・・その実態は疲弊した働き手の我慢の成果ではないのか・・・しかしその働き手の生活を再生する政策をとらないと、働き手の我慢はやがて枯渇し、次にやってくるのは、働く意欲の減退と無気力、生産性の低下だろう・・・」
鋭い指摘である。貧しいものが増えていても富めるものも多いうちはまだよい。しかしこのまま政府の弱者いじめの政策が続くと、竹信氏の懸念が現実のものになるおそれが強いのである。
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