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駐留米軍「撤退期限設定を」 上海協力機構が声明
2005年07月06日01時13分
http://www.asahi.com/international/update/0705/010.html
中ロ両国と中央アジア4カ国で作る上海協力機構(SCO)は5日、カザフスタンの首都アスタナで首脳会議を開き、共同声明を発表した。声明では、中央アジアに展開する米軍駐留部隊に撤退期限を設定する必要があるとして、事実上、米軍の撤退を要求。中央アジアでの対米不信の高まりに、米国への一極集中を嫌う中ロの思惑が重なった形だが、米国の反発を招くことは必至だ。
共同声明は「アフガニスタンでの反テロ作戦は活発な局面を終えた。SCO加盟国は、(米国など)反テロ連合国によるSCO加盟国の利用を終える時期を決める必要があると考える」と指摘。また議長国カザフスタンのナザルバエフ大統領は会合で「SCOは地域をテロから守る盾でなくてはならない」と述べ、地域で高まっている「テロ勢力、分離主義勢力、過激勢力」の脅威にSCOの枠組みで対抗していく考えを強調した。
01年の同時多発テロを機に、中央アジアの国々は米軍の基地や部隊を受け入れ、対テロ戦に協力してきた。現在、キルギスとウズベキスタンに米軍基地が置かれ、他の国も空港使用などで便宜をはかってきた。中ロを中心とするSCOの存在感に陰りが生じているとの見方もあった。
しかし、ここに来てSCOは地域での求心力を回復しつつある。中央アジア諸国では、今年3月のキルギス政変、5月のウズベキスタンでの騒乱を経て、「グルジアやウクライナで親欧米政権を生んだ反政府運動を中央アジアに持ち込もうとしている」というブッシュ米政権への不信感が表面化。ウズベキスタンのカリモフ大統領は5日の会議で、中央アジアで相次いだ混乱について「大きな計画の一部が表面化したに過ぎない」として、背後に米国の存在があることをほのめかした。
SCOの準備会合の役目を果たしたのが、1日の中ロ首脳会談だ。胡錦涛(フー・チンタオ)主席とプーチン大統領が「社会発展のモデルの押しつけへの反対」などを盛り込んだ共同声明に署名。ブッシュ政権の「民主主義拡大路線」を否定する姿勢を鮮明にした。両国が声明の中に描いた「21世紀の世界秩序」を受け入れる最初の国際的な枠組みがSCOとなった形だ。
胡主席はSCOを前に、今後の優先分野として安全保障を挙げた。実際、中ロ、ロシアとウズベキスタンは今年、それぞれ史上初となる共同軍事演習を予定。またロシアは、タジキスタン駐留軍を正式な軍事基地に格上げする計画のほか、キルギス南部への新しい軍事基地建設を検討するなど、加盟国間の軍事協力が加速している。
ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタンでは旧ソ連末期以来の長期政権が続き、政変直後のキルギスを除いて、反政府勢力への弾圧など、政権の強権的な姿勢が共通している。SCOの米国批判や軍事協力の強化には、加盟国の政権の正当化や延命の狙いが込められていることも否定できない。ロシア紙コメルサントは「中ロが接近すると、アジアに民主主義が育つ余地が小さくなる」と警告した。
また共同声明では、国連安保理改革について、「最大限に幅広い合意が重要で、意見の相違が残っている議案を採決すべきでない」として、日独など4カ国(G4)が提出を予定している「枠組み決議案」採決に慎重な姿勢を示した。さらに今回の会議では、オブザーバーとして、従来のモンゴルに加え、インド、パキスタン、イランを迎えることも決めた。