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□ブッシュ大統領「イラク駐留継続」演説の失敗 [暗いニュースリンク]
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/07/post_0714.html
07/02/2005
ブッシュ大統領「イラク駐留継続」演説の失敗
「明日、大統領は成功戦略について話すでしょう。大統領は今後についてかなり具体的に語るはずです。勝利への確かな道筋です」
「説明したとおり、これは新しい演説です。大統領は、イラクでの成功戦略について、かなり具体的に説明する予定です」
「成功への明確な戦略があると思います。大統領はその戦略について、かなり具体的に語るはずです」
---マクレラン米大統領報道官、ブッシュ大統領の演説内容を前日のホワイトハウス通常記者会見で宣伝(2005/06/27)
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「サダム・フセインが911テロ攻撃に関わったという証拠は掴んでいない。」
---2003年9月のブッシュ大統領の発言(同時期に、米国民のおよそ70%が『フセインは911テロに直接関わっている』と信じていた)
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「サダム・フセインと仲間達は、911テロ攻撃にきわめて深く関わっていたのです。」
---2005年6月29日、ロビン・ヘイズ下院議員(ノースカロライナ州、共和党)、CNNインタビューでの発言。(ヘイズ議員は国家軍事委員会・下院テロ対策小委員会委員を務めている)
6月28日、ノースカロライナ州フォートブラッグ基地でステージに立ったブッシュ大統領を拍手で賞賛したのは、結局のところホワイトハウスから会場に派遣された応援職員だけだった。
イラク、アフガニスタン共に反米武装勢力の拡大が続いており、演説前にアフガニスタンで軍用輸送ヘリ「チヌーク」がタリバンの武装兵に撃墜されというニュース速報が伝わっているせいもあってか(後に米兵士16人死亡と判明)、ステージに現れた大統領に対し、聴衆(大部分が基地の兵士)から歓迎の声もないまま、重苦しい雰囲気の中で大統領の言葉が虚ろに空回りしていき、ホワイトハウス側の見積で40分間かかるはずだった大統領演説は、拍手による中断がなかったおかげで、わずか28分で早々と終了した。(同基地からは9,000人以上がイラクに派遣されている。)
肝心の演説の内容は、マクレラン米大統領報道官の前宣伝とは全く違い、国民をテロ恐怖で脅迫する古い手口を踏襲しただけのお粗末な内容。数日前に「ブッシュの頭脳」カール・ローブ大統領補佐官は、演説前の仕込みとして反ブッシュ陣営をテロリストになぞらえようとしたが、逆に軍人層の怒りを誘い失敗。また、大統領演説の直前、英国陸軍特殊空挺部隊(SAS)はアフガニスタンで(ブッシュの親友でCIA長官のポーター・ゴス氏が予告したように)オサマの「隠れ家」を急襲したが、ビン・ラディン氏は不在だった。明らかに、ホワイトハウスは準備不足だったわけだ。
視聴率も最低記録
ニールセンの視聴率調査によると、同時多発テロ直後の2001年9月20日に議会で行われたブッシュの「テロとの戦い」演説では、視聴者数は任期中最大の8,200万人だった。2003年5月1日、サンディエゴ沖に停泊させた空母の艦上で行われた「イラクの大規模戦闘終了」演説では、4,840万人の米国民が、戦闘機から降り立つフライトスーツ姿のブッシュ大統領を観ていたという。
しかし、4つの大手放送局と3つのケーブル放送網で生中継された6月28日のブッシュ大統領演説の視聴者数は2,300万人。ブッシュ大統領演説の視聴率としては、最低記録を更新した。
ちなみに、人気番組「アメリカン・アイドル」シーズン最終回の視聴者数は3,030万人であったという。
2大新聞は演説をどう評価したか
ワシントンポスト紙(6月29日付15面)
「抜け落ちた進捗報告の実情(A Case for Progress Amid Some Omissions)」
昨夜の演説で、ブッシュ大統領はイラクにおける米国の活動に関して、いくつかの不愉快な事実を無視し、諸外国からの支持拡大についても誇大な主張をした。しかし、手のつけられない反乱に直面しながら創設されたイラク政府の成果については正確に主張した。
大統領はイラク戦争をテロ対策努力の中心であり、合衆国を攻撃するテロリストの避難所として描写した。しかし、イラク侵攻の元々の論理的根拠は、昨夜無視された。ブッシュ政権が確信したのは、サダム・フセイン政権が生物化学兵器を保有し、核兵器を所有している可能性があるというものであった。
実際には、ブッシュ政権が開戦根拠として引き合いに出す国連決議により、専ら大量破壊兵器の廃棄をし損なったイラク側に非があるとしているが---そうした大量破壊兵器は、戦後も全く見つかっていない。ブッシュは、2003年3月19日の侵攻前の演説で、軍事行動は「イラクを武装解除し、人民を解放し、世界を重大な危機から護る」と語っていた。
開戦から2ヶ月半経過して、ブッシュが大規模戦闘終了宣言をした際、(イスラエルとパレスティナの紛争におけるイラクの役割に言及しながら)フセインを『テロ支援の源』として、『いかなるテロ組織もイラク政府から大量破壊兵器の援助を受けられなくなった』ことを理由に、テロとの戦いにおける勝利と言った。
ブッシュはまた、フセインを『アルカイダの仲間』と説明した。大統領はそれを昨夜の演説でも示唆していたが、しかし911同時多発テロ調査委員会は、フセインとオサマ・ビン・ラディンの組織にいかなる連携も存在していなかったと結論づけている。
今では、政権内外の多くのアナリストが指摘しているように、イラクはテロ組織の温床と見なされており、フセイン打倒とイラク占領政策におけるブッシュ政権の失策がその原因の一部を担っている。ブッシュはテロとの戦いにおける成果を強調したが、国防総省の中東地域司令官であるジョン・P・アビザイド将軍が今月明らかにしたところでは、6ヶ月前に比較して、より多くのテロリストが海外からイラクに流入しているとのことである。
演説の他の部分でも、大統領は諸外国からの支援レベルを現実以上に必死に誇張してみせた。『国際社会は一歩前進し、重大な支援を申し出ており』30カ国がイラクに派兵していると言った。また大統領は、武装勢力が『連合軍を大量撤退させることに失敗』していると言った。
しかし、米国主導の連合軍は、かつては36カ国を誇ったが、現在は専ら数カ国のみに依存している。過去数年で、12カ国以上が撤退、もしくは撤退計画を表明している。
イラク侵攻に名を連ねたスペインは、1年以上前に撤退を完了した。ポルトガル、ノルウェイ、ハンガリー、フィリピン、ニュージーランド、タイ、ホンジュラス、ドミニカ共和国、トンガも撤退した。3大派兵国のひとつ、ウクライナとポーランドも今年一杯で撤退すると宣言し、イタリアも今年秋から順次撤退する計画を表明している。
ブッシュは『40カ国と3つの国際的機関がイラク再建に340億ドルの支援を約束している』と宣言しているが、その内200億ドルが合衆国の負担であり、そうした資金のほとんどが治安維持費用に転換されたか、未納となっていることを説明していない。さらに、2年ほど前に諸外国から約束を取り付けた支援金のうち、実際に支払われたのはわずかに20億ドルに過ぎない。
仮に340億ドル全額が最終的に支払われたとしても、2003年度に世界銀行と国連が発表したイラク再建費用の見積額560億ドルには遠く及ばない。(以下略)
ニューヨークタイムズ紙(6月29日付社説)
「イラクに関するブッシュ大統領の演説(President Bush's Speech About Iraq)」
昨夜、ブッシュ大統領は国民に向かって、イラク戦争は困難であるが、しかし勝てると話した。最初の部分については明らかに真実である。ブッシュ政権職員の陽気な応援にも関わらず、軍事状況は良く見積もっても改善されていない。ブッシュの楽観的な説明とは裏腹に、イラク国軍は、アメリカによるこの先数年の援助なしでは、国内治安を維持できる見込みはない。当初の任務を完遂するには、米軍兵士の数が足りないし、それどころか、この不適切な軍事行動を維持するための負担により、世界中の前線の安全を確保すべき合衆国の能力そのものに多大な犠牲を強いている。
我々は虚報に基づき国民をこの戦争に巻き込んだ件、あるいは軍事行動において政権閣僚の果たした失敗の件で、ブッシュ氏からの謝罪を期待していたわけではない。しかし、テロ攻撃と全く関係のない国との戦争を正当化するために、911テロの旗印をしつこく振り回すような誘惑に大統領が囚われることがないよう願っていた。勝利の定義について国民に話す機会を掴み、国民が目標にどう向き合うかについてくわしく説明することを期待していたのであり---侵攻時と同じ甘いシナリオの繰り返しは克服して欲しかったのである。
悲しいことに、ブッシュ氏は昨夜、そうした機会を台無しにして、誰も尋ねていない質問の答えを繰り返すのみだった。大統領は国民に対し、何度も何度も、イラクの安定化のためには、アメリカ人の犠牲を伴う価値があると主張したが、国民はそうした犠牲が果たしてイラクの安定化と民主化に実際に貢献しているのかどうか、もはや定かでないのである。
この戦争の計画から実行までの仕方を考えると、大統領は他の選択肢を持たないが、もし米軍が撤退すれば、イラクはおそらく内戦に突入し、民兵と無国籍テロリストが苦もなく活躍する無法地帯が拡大することになるだろう。しかし、もしブッシュ氏がこのまま駐留を継続するつもりならば、イラク政府とイラク軍が自立するためにさらに何年も必要になる。最も重要なことは、---武装勢力には『自由の進展は止められない』という、大統領が昨夜言ったような高尚な確約はさておき---これまでの努力と苦労は、結局のところイラク国民同士を反発させ、あるいは米軍兵士が究極の敵であることを決定づけてしまったにすぎないのである。重大な課題は、もしかしたら限界が来ており、アメリカの存在が状況をより悪化させる時期にあるかもしれないことを、冷静に判断することである。(以下略)
歪曲報道を競ったCNNとフォックスニュース
フォックスニュースの名物キャスターでブッシュ大統領の熱烈な支持者であるブリット・ヒュームは、大統領演説の中継で、聴衆から全く無視されたブッシュを擁護するために、放送中に以下のような手の込んだウソをついた:
「(聴衆の)兵士達は大統領に対して(軍隊流の)賞賛の声を上げないように、あらかじめ厳しく指導されていました・・・」
このウソを言った直後、ヒュームが中継先のカール・キャメロン記者に画面を譲ると、ヒュームの意図が読めないキャメロンはあっさり真相をバラしてしまった。実際は、基地の兵士達は大統領を賞賛するよう、演説直前にホワイトハウス職員から指導されていたとのことだった。(ヒュームの慌てぶりが楽しい中継ビデオはこちら) http://www.dembloggers.com/story/2005/6/28/181628/080
一方CNN放送は、演説直後に電話世論調査を行い、ブッシュ大統領演説を観た国民の46%が『とてもポジティブ』、28%が『どちらかといえばポジティブ』な感想を持ったと急いで報道した。これが事実なら、米国民の7割以上が大統領演説を賞賛していることになるが、調査対象となった323人の回答者のうち、50%が共和党支持者、23%が民主党支持者、27%が無党派というわけで、言ってみれば個性的な世論調査結果をテレビで伝えていたことになる。
大統領演説がもたらしたもの
大統領演説の直前に行われたワシントンポスト・ABC共同世論調査によれば、米国民の51%が大統領の仕事振りに不満で、52%が「ブッシュはイラク戦争のために意図的に国民をミスリードした」と考えているとのことだった。
演説直後にゾグビー社が発表した米世論調査によれば、大統領の演説後もポジティブな効果は見られず、42%が「ブッシュがイラク侵攻のために米国民をミスリードしたことが事実ならば、大統領弾劾の手続きに賛成する」と回答している。
ブッシュもそろそろ自身のexit strategyを検討しはじめていることだろう。
使われた言葉、無視された話題・・・
演説中のキーワードと登場回数
(source1| source2
その他各種報道から抽出)
テロ、テロリズム、テロリスト
(Terror, Terrorism, Terrorists) 34
自由な、自由
(Free, Freedom) 33
防衛、防御
(Defend, Protect) 15
治安
(Security) 14
選挙、投票、投票結果
(Election, Vote, Polls) 10
任務
(mission) 9
殺人者
(Killers, Murderers) 9
反乱軍、武装勢力
(Insurgents) 6
暴力
(Violence) 6
民主主義、民主的
(Democracy, Democratic) 5
911テロ事件
(September 11th) 5
(イラク)戦争
(War) 4
自由、解放
(Liberty, Liberate) 4
攻撃
(Attack) 4
オサマ・ビン・ラディン
(Osama Bin Laden) 2
サダム・フセイン
(Saddam Hussein) 2
反対意見
(Dissent) 1
失敗
(a mistake) 1
大量破壊兵器
(weapons of mass destruction) 0
出口戦略
(exit strategy) 0
任務完了
(mission accomplished) 0