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イラク遺跡:多国籍軍駐留で被害 ユネスコで報告
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050627k0000m030037000c.html
【パリ福島良典】考古学上、貴重なイラクの遺跡が多国籍軍の駐留で被害を受けていることが分かった。国連教育科学文化機関(ユネスコ、本部・パリ)で22〜24日に開かれた「イラク文化遺産保護国際調整委員会」の第2回会合に出席したイラク国立博物館のドニー・ジョージ館長らが明らかにした。一方、遺跡から盗み出された文化財は海外に高額で売却され、武装勢力の資金源になっているという。メソポタミア文明発祥の地で、文化遺産が多国籍軍と武装勢力の衝突の「もう一つの犠牲者」になっている。
ジョージ館長によると、多国籍軍の駐留による被害が最も深刻なのは新バビロニア王国(紀元前7〜6世紀)の遺跡があるイラク南部のバビロン。同館長は「米軍よりも、戦車を多用しているポーランド軍の影響が大きい。遺跡の土壌はもろく、戦車の通行で地下2〜3メートルが破壊される」と指摘した。
バビロンについては今年初め、「多国籍軍が石畳を戦車で破壊し、遺跡の破片が混じった土砂で土のうを作った」と告発する報告書を大英博物館が発表。これに対し、バビロンを含む一帯を管轄するポーランド軍は遺跡内では戦車などを使っていないと反論している。
ユネスコの松浦晃一郎事務局長は22日、国際調整委員会開幕にあたり、「遺跡の上や周囲への駐屯地設営で取り返しのつかない被害が出る恐れがある」と指摘した。同委ではイラク側の要請を受けてバビロンの現況について集中討議した。
一方、イラク移行政府のラウィ文化相によると、遺跡盗掘・密輸は主に(1)イラク戦争前から存在していたギャング(2)旧フセイン政権によって戦争中に刑務所から釈放された犯罪者−−などの仕業で、近隣諸国のグループから指示を受けて動いている場合があるという。
ジョージ館長は「売却資金が武装勢力に流れ、イラク警察や米軍を攻撃する武器・弾薬費用に充てられている」と明らかにした。同館長によると、遺跡から発掘された古代の粘土板1枚の取引価格はイラク国内では20〜50ドルだが、米国に渡れば5万〜10万ドルに跳ね上がるという。
毎日新聞 2005年6月26日 19時29分