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6月26日―メディアを創る
◇イランの大統領選挙の結果はそんなに悪いのか
私はイランという国を全くといっていいほど知らない。唯一知っていることといえば、80年代の中ごろ、世界の外交官が集まるセミナーで、革命後のイランの外交官と一週間ほど寝食をともにして、その清廉実直さに感心したことくらいだ。他のアラブ諸国の外交官が、酒をあおって享楽的な外交官生活を楽しむ中で、そのイランの外交官は一人規律に忠実に振舞っていたことが印象的であったことくらいだ。
このイランの原理主義が西洋文明から見て非民主的に見られるのであろう。しかしそれにしても、今回のイランの大統領選挙の結果を報じる日本の報道の画一性はどうだろう。保守派、しかも新聞によっては超保守派という言葉で表されるアフマディネジャドという新大統領が勝利した事が、まるで悪のように報じられている。改革派のハタミ大統領が退いた後は、新政権は保守一色に塗りつぶされる、核疑惑をめぐる欧州との交渉は困難となり、米国との関係はますます対決的になるという否定的な記事ばかりだ。
しかし現職の最高評議会議長であり大統領まで経験したラフサンジャニ氏が、下馬評に反して36%の得票にとどまって敗れた事をどう考えればよいのか。無名のテヘラン市長が62%もの支持を得て勝利した意味をもっと正面から受け止めるべきではないか。
アハマディネジャド氏が当確との一報が流れた25日の朝、テヘランの株式市場は売り注文が先行したという。イランの中でも懸念する人達がいることは事実であろう。しかしそれにもまして多くの国民は、穏健、現実派と言われるラフサンジャニ氏の金権腐敗、縁故主義が、貧富の格差を広げ市民生活を苦しめたことを許さなかったのではないのか。イラクの国民が圧倒的な数で選んだ人物は、「弱気を助け、強気をくじく、イスラム世界のロビンフッド」、「古い車をみずから運転し、豪華な市長公邸住まいを拒否し、豪華な食事を断って普通のケバブ(焼肉)でいい」(25日朝日新聞夕刊)というアハマディネジャド氏だったのだ。
選挙の主役は国民であるということを今度のイラクの選挙は教えてくれた。もしアハマディネジャド氏が今後の政策において国民を失望させるようであれば、国民は一転して批判に回るであろう。すべてはこれからである。我々は今後のイランを注視していくべきなのだ。
それにしても次のごとき反応を示す米国の傲慢さこそ危険性ではないのか。そんな米国に日本の対イラン外交を左右される事こそ、我々は警戒しなければならないと思う。
「・・・チェイニー副大統領ら対イラン強硬派は、かえって対処しやすくなった。改革派の大統領の時とは違い、イランを『敵』と表現するのに、何のためらいも必要なくなった(元米政府高官)からだ」(26日読売新聞)。
◇しんぶん赤旗から学ぶ
しんぶん赤旗は日本共産党の機関紙である。だからその記事の引用は止めたほうがいいと私に助言する人が少なからずいる。確かにしんぶん赤旗は、すべての機関紙がそうであるように、共産党の党勢を拡大しようとする宣伝記事が多い。しかししんぶん赤旗がたとえ日本共産党の機関紙であっても、それが他の新聞には見られない参考情報を提供してくれる限り、私は評価する。
25日のしんぶん赤旗にも次のような二つの興味深い記事が載っていた。
その一つは最近評判の悪い浜渦副知事という人物についてだ。浜渦氏は、石原氏がかつて若手政治家の時に属していた「青嵐会」の事務局を経て、石原氏の公設秘書になったという。
彼はまた右翼系のメンバーでもあったという。すなわち双葉社が発行している「全学連各派―学生運動事典」の中に書かれている「右翼系諸団体」のうち、「日本の新しい世代の会」というのがあるらしい。「物質的な繁栄の下に国家民族の理念と目的を喪った日本に、新しい魂を与える」という綱領を掲げる「日本の新しい世代の会」の会長こそ石原慎太郎都知事であるが、その「日本の新しい世代の会」の学生組織の一つとして関西学生連合が誕生した、その責任者が浜渦武生であったというのだ。
「知事を守るためには命も投げ出す男」といわれ、石原知事も「こいつは無頼漢だから」と公言する。確かに路上でカメラマンに殴りかかる暴力事件を起こしている。東京都民はこんな人物と、その人物を腹心と呼んで都知事の権力を一任していた石原慎太郎に都政を委ねていたということだ。私は東京都民ではないからどうでもいい話であるけれど。
もう一つの記事を私は憤りを覚えながら読んだ。しんぶん赤旗の号外を自宅付近で配布していた社会保険庁職員が国家公務員法違反の罪でつかまった事件があった。その「国家公務員弾圧事件」の第十二回公判が6月24日に東京地裁で行われ、その時の証人尋問で、この国の公安警察の実態の一端が明らかにされている。
公安警察はビラを配っていた堀越明男さんをずっとつけまわし、ビデオまで盗み撮りをしていたのだ。しかもその映像に記録されている警部補の発言は、最初から堀越さんを共産党員として追跡していたことを教えている。
堀越さんがビラを持ってマンションの中に入った時に「やった」と言ったり、堀越さんがインターホンを使っているのを見て「(ビラを配らないで)中に入っちゃうよ」と話しているのだ。また無線を使って「いま配っています」などと連絡しあっていることも明らかにされている。
一般の市民がここまで国家権力に脅かされている、そしてそれが何の処罰もなく放置されていることに、怒りをこえて空恐ろしさすら覚えるのである。
◇半分の予算でも国家は運営できる
25日の新聞各紙は、国の借金が05年3月末の時点で、約782兆円に上ったことをいっせいに報じている。地方の借金を合わせると1000兆円を突破したことになる。まるで21日に発表された政府税制調査会の報告書が、「増税は避けられない」と強調していることを弁護しているようだ。話ができすぎている。
しかしこれに対する反論がウエッジ7月号の冒頭に載っていた。新幹線の駅で見つけた。すなわち慶応大学教授で構想日本の代表である加藤秀樹と言う人が、ここまで財政が悪化した最大の原因は、行政(官)が国民生活の隅々にまで関与し、規制してきたため、無駄な事業と経費がふくらみ、それがそのまま放置され続けているからであると言う。そして彼のスタッフの試算では、国のサービスの多くを見直し、国と地方の事業の仕分けなどを本気で行えば、国家予算は十分半減できると主張する。逆に言えば、そうしないと間違いなく国家破綻が起きるというのだ。奇しくも24日の朝のテレビ番組でも、財政改革を成功した世界の国のうち、その7割は歳出の削減であり、増税で成功した国は少ないという統計を紹介していた。
小泉首相の5年間は、結局ただの一度も赤字財政を減らす事はできなかった。それどころか200兆近く赤字を増やしてしまった。改革、改革と叫び、弱者への痛みを仮借なく求め続け、その一方で行政の無駄や不祥事に一切目を瞑ってきた結果である。5年間も総理を務め、何も出来なかったのである、しなかったのである。
そして政権を投げ出したとたんに、未曾有の増税が待っている。この国の政府はいつも国民を真っ先に切り捨ててきた。もう騙されてはいけない。国民は自分でみずからの生活を守るしかない。途方もない増税を甘受してまで政府を養っていく必要性も余裕もないということだ。
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