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イラン戦争はもうすでに始まっている 『TUP』
http://www.asyura2.com/0505/war71/msg/516.html
投稿者 World Watcher 日時 2005 年 6 月 25 日 03:26:02: DdDUJ9jrxQIPs
 

イラク戦争が始まる半年以上前に、「サダムと9/11は関係ないし、
イラクは大量破壊兵器など持ってはいない」と世界中に訴えたのが、元国連
査察団員のスコット・リッターです。
 実際、大量破壊兵器から戦後の混乱まで、スコット・リッターが予見した
ことのほとんどすべてが現実になっているので、彼の論考には説得力があり
ます。
 そんな彼が今度は「イラン戦争」について警告を発しています・・・。

                      (パンタ笛吹/TUP)


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イラン戦争はもうすでに始まっている
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                     スコット・リッター
                     アルジャジーラ 6月20日

 ブッシュ大統領が、大量破壊兵器についてウソをついた(米軍による20
03年3月のイラク侵略・占領のまことしやかな口実)だけでなく、戦争に
つながる過程そのものについてもウソをついていたという不愉快な事実に、
アメリカ人は世界中の人々とともに、ようやく気づき始めている。

 2002年10月16日、ブッシュ大統領は米国民にこう語っている。
「私は軍事力を行使する命令をまだ出してはいない。軍隊を使わないですむ
ことを私は願っているのだ」

 私たちは今では、この大統領の言葉そのものがウソだと分かっている。
実際には、大統領は2002年の8月末ごろには、米軍にイラク国内で軍事
作戦を展開する権限を与える「遂行命令」に署名していたのだ。
 そしてこれらの命令は、早くも翌9月、米空軍が英国空軍の援助を得て、
イラク国内のいわゆる飛行禁止区域の内でも外でも爆撃の目標を拡大し始め
ることにより実施された。

 これらの爆撃は、イラクの防空能力と指揮統制能力を低下させる目的で練
られた作戦だった。また、イラク国内に米軍特殊部隊を投入して戦略的偵察
を実施させるための道ならしでもあり、彼らはのちには直接行動にも出て、
2003年3月19日の開戦以前に、特定の標的に対する攻撃も行なったの
である。

 ブッシュ大統領は、2002年の晩春、CIAや米軍特殊部隊に、サダム
・フセインを権力から引きずりおろす目的で秘密部隊を急派する権限を与え
る内密の指令に署名していた。
 だからイラク戦争は、遅くとも2002年の初夏にはすでに始まっていた
というのが事実なのだ。

 2003年3月以前のイラクの場合がそうだったように、今日もブッシュ
政権はイラン問題に対して、「外交」努力による「平和的」解決を望んでい
ると公表している。
 
 しかし事実は別のもくろみを示している。戦争により、いまテヘランで権
力をふるっている神権政治体制を力づくで取り除くことだ。

 イラクの時と同じように、ブッシュ大統領は、イスラム教最高法学者の体
制を、北朝鮮や新しく「解放された」イラクといっしょに「悪の枢軸」に結
びつけ、イラン国民に「民主主義」を普及させることこそ絶対に必要なのだ
と語ることで、米国民とまったく従順なメディアに、体制変換政策のご利益
を額面通り受け取らせるための地ならしをしてきた。

 「解放」と「民主主義」の流布は、今日、軍国主義と戦争遂行へ向けて米
外交政策をまとめ、執行しようとするネオコン集団における、あからさまな
お決まりの言い回しとなっている。

 だから、「解放と民主主義」という言い回しがこうもしきりに使われてい
るということだけでも、ブッシュ政権がイランを、違法な体制変換政策の次
の標的と定めていることを表していると、米国民は気がつくべきなのだ。

 しかし、米国民は、実は世界中の人々もそうなのだが、アメリカとイラン
との間で明白な通常の軍事作戦がまだ始まってはいないという事実によって、
あいかわらずまやかしの安心感を抱かされている。

 同じようにまた、現在イラクで進行している狂気の混乱が長びけば、イラ
ンへ侵攻する余裕などないだろうから、イラン戦争を回避できるか延期でき
るだろうと、多くの人々が間違った希望にしがみついている。しかしそう望
むことは、愚か者の夢に過ぎない。

 現実は、米国によるイランとの戦争は、もうすでに始まっているのだ。
私たちがこう話している間にも、米軍のイラン国土上空への飛行が、無人飛
行機や他のもっと高度な軍事力で実施されているのである。

 独立国への領空侵犯は、ただそれだけでも戦争行為だ。しかし米国による
イランとの戦争は、すでに諜報収集の段階をはるかに越えている。

 ブッシュ大統領は9/11の結果与えられた圧倒的な権力を利用して、世
界規模のテロとの戦いを押し進め、イラン国内でいくつかの秘密攻撃作戦を
実行した。

 これらの攻撃作戦のうち最も目立っているのは、最近、CIAの援護を受
けて活動を活発化しているMEK(ムジャヘディーン・エル・カルク)とい
うイラン反体制派グループだろう。
 MEKは、かつてはサダム・フセインの恐怖の諜報機関によって操られて
いたが、いまではもっぱらCIA作戦本部のために働いている。

 旧サダム・フセイン体制の同じ諜報機関によって爆弾を使う暗殺の訓練を
受け、今日もイラクで米国兵士を殺戮しており、いまなおテロリスト組織と
呼ばれているグループを、CIAが使って、ブッシュ政権がイラクで非難し
ているのと同じような遠隔爆撃をイランでさせているのだから、たいへんな
皮肉だ。

 たぶん、「味方にとっての自由の戦士は、敵にとってのテロリストだ」と
いう金言を、ホワイトハウスがついに採用したというところだろうが、世界
的なテロとの戦いという売り文句が、どれほど欺瞞に満ちているものなのか
をさらけだした例といえよう。

 しかし、CIAが後ろで操るMEKによるイラン国内での爆弾攻撃だけが
イランに対して進行中の敵対行動ではない。

 イランの北に隣接するアゼルバイジャンで米軍は、テヘラン攻略をめざす
大々的陸上作戦の先触れとなる大規模な軍事的展開のための作戦基地を着々
と準備している

 視野の狭い欧米のメディアは、ラムズフェルド国防長官がアゼルバイジャ
ンに示した関心を見逃したかもしれないが、ロシアやコーカサスの国々は、
来るべきイラン戦争でアゼルバイジャンが米軍のために果たす役割はもはや
変えようがないことを、あまりにもよく理解している。

 イラン北部のアゼリ人とアゼルバイジャン国民との民族的な繋がりは、冷
戦時代、ソ連によって長い間利用された。CIAの準軍事作戦隊員と米軍特
殊部隊は、この敵国の内部操作に役立つ手段を抜け目なく利用し、アゼルバ
イジャン軍とともに訓練を行なって、イラン国内での諜報収集や直接行動、
テヘランの現地反政府グループの動員のためにイラン国内で動くことのでき
る特殊部隊を作っているのである。

 しかしそれらは、米国が計画しているアゼルバイジャン利用法のただ一つ
にすぎない。米軍用機がアゼルバイジャンの前線基地から作戦行動をとれば、
テヘラン市内やその周辺の攻撃目標まで、はるかに短い距離を飛ぶだけです
む。

 実際、いったん戦闘が始まったら米空軍は、テヘランの制空権をほぼ全時
間帯において掌握できるだろう。

 冷戦時代なら、ペルシャ湾岸にあるチャー・バハールやバンダール・アッ
バスのような町からテヘランまで移動する必要があったが、今の米軍はそん
な昔の侵攻計画など考えなくてもよくなった。
 もちろん、米海兵隊は死命を制するホルムズ海峡を守るために、それらの
湾岸都市を確保しなくてはならないが、内陸を進撃する必要はもはやない。

 というのは、今ではテヘランまでずっと短い距離で行ける侵攻ルートが存
在するからだ。アゼルバイジャンからカスピ海に沿ってテヘランまで続いて
いる海岸ハイウェーを利用すればよいのである。

 米軍の作戦立案者たちはすでに、多数の師団をアゼルバイジャンに配置す
たるめのワーゲーム(机上戦争)を始めている。アゼルバイジャン国内の基
地に、米空軍や地上部隊を展開させるための兵站計画は、すでにはるかに進
捗しているのだ。
 
 イラクに米軍が大規模駐留しているおかげで、イランとの戦争を遂行する
ために必要な兵站と指揮統制能力の大半がすでにこの地域に前方展開されて
いることを考えれば、イランとの戦争を準備する期間は、2002年から2
003年にかけてのイラク戦争の準備が速かったのに比べても、さらにはる
かに短くてすむだろう。

 欧米諸国はあいかわらず、イラクで進行中の悲劇に目を奪われている。イ
ラク戦争の本当の理由や、占領政策の失敗について、ぜひとも必要だった議
論は、米国内や他の国々で、ようやく持ち上がり始めたところだ。

 ほんとうなら、これはよい成り行きのはずである。しかし、みんなが過去
の出来事のみに頭を突っ込んだままだと、ブッシュ政権がイランでまた繰り
返そうとしている犯罪を多くの人が見逃すことになる。イランと米国のどち
らの国民のこともほとんど気にもかけず、虚偽の前提にもとづく違法な侵略
戦争に突入するという犯罪である。

 ほとんどの米国民は、アメリカの主流メディアとともに、戦争の隠しよう
もない兆候を見ることができないまま、2003年3月19日に見られたよ
うな、テレビ映りよく仕立てられた正式な宣戦布告の瞬間を待っている。

 しかし今の私たちは、イラク戦争がじつははるか早い時期に、すでに始ま
っていたことを知っている。同じように、米軍主導のイラン戦争も、ブッシ
ュ政権が正式の声明を出してから始まったのではなく、CIAがイランでM
EKの実行する爆弾攻撃の計画に着手した2005年6月からすでに始まっ
ていたのだということを、歴史は示すだろう。

                    (翻訳・パンタ笛吹/TUP)

http://english.aljazeera.net/NR/exeres/7896BBD4-28AB-48BA-A949-
2096A02F864D.htm

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