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□米国,イラン関係の実態とイラン核開発の行く末 『後編』 [アラブの声ML]
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米国、イラン関係の実態とイラン核開発の行く末 『後編』
『米国以外のイラン核問題のプレーヤーたち』
イラクの核問題を巡っては、イスラエル、欧州、ロシア、湾岸諸国、エジプト、パキスタンなど、それぞれ利害を有すさまざまな国が関与している。
米国と同様欧州も多くの利害を抱えている。一面では原則的に、イランと米国との関係が、軍事力を伴わないまで深刻化の度合いを超えないように営々努めている。自国が再び両国のうち一方の選択を、或は厳密に言えば、用意が出来ていないのに米国との間で厳しい選択を迫られるような事態に陥らないようにしているのだ。
同時に、投資や製品輸出分野で顕著になったイランに於ける自国の利益が損なわれることをも欧州は恐れている。また、欧州はイランから遠くないとし、将来欧州まで届く可能性があるミサイルを生産することによって、イランが軍事的な核生産国にならないことが欧州の利益である。欧州はその植民地主義的な役割や利益のために、イスラエルを除いて、中東の国がこれらのミサイルに核兵器を搭載するほどの能力を持つ段階にまで到達することを受け入れないのだ。
もうひとつの当事国であるロシアも同様に二つの相反する問題を抱えている。ひとつは、イランに核施設を供給することの最大の受益者となっていること。このような技術を売却することはロシアの経済危機を脱する要となるからだ。しかし、同時にイランの核保有は、ロシアの利益ではない。そこで、平和的な核技術を保有するという段階までは、イランに同情を示している。だが、イランとの距離は離れていないので、イランが核兵器を保有するまで共同歩調をとることは無い。よって、インドやパキスタン、中国以外に新たな核保有国が地域に存在することはロシアの利益とならない。
イスラエルは米国の戦略システムの中で動いているが、自国とイランとの間の敵対度やその内容に関わらず、自国が唯一地域に自己の主張を押し付けることが出来る国であり続けられるように、基本的に他国の核兵器保有を拒否している。この決定は変わることが無い戦略的なものだ。
湾岸諸国は現在起きていること全ての最大の犠牲者だ。特にイラクの戦略的役割が終了した後、イランが核兵器を保有することは、丁度イスラエルが唯一核兵器を保有し続けることが重大な勢力不均衡要因になっているように、否定の余地無く、イランが地域の最大勢力になったことを意味する。また湾岸諸国はイランの核問題を巡る争いにおいて直接的に介入する手段を持たないので、イランと闘争状態に陥らないように、大量破壊兵器の破棄を訴えながら、裏では別の態度を採るのだ。
エジプトはエジプトで、イランの核問題を以下の両面から見ている。
1)イスラエルの核施設に国際組織による査察を受けさ、中東から大量破壊兵器を無くす提案をするようイスラエルに圧力を掛けるために、この問題を煽る。
2)別の角度からは、イスラエルの核兵器保有と共に、イランが単独で核兵器の保有国になると、アラブ、イスラム世界を脅かすことになるともエジプトは見ている。
このような多数で多様な関係諸国が、米国とイランとの間での利害が交錯する中、イランの核問題のゲームが対立、後退、友好関係の間を駆け巡るのだ。さまざまな問題(イラク、石油、カスピ海など)を背景にして米国とイランの状況が悪化するたびに、核開発プログラムを巡って嵐が吹くのだ。同様に、核問題の状況が危険になるたびに、他の諸問題が蒸し返される、、、といった具合で、熱くなったり冷めたりと状況は変化する。そして、その度に残りの関係諸国は自国の得失に従って動くのだ。
ロシアはイランとの各取引が現状を維持し、イランが核兵器を生産する段階まで至らないよう最大限の努力をしている。そのため、イランが濃縮ウランを貯蔵することを禁じ、核施設を再建する用意があると表明するという折衷策を準備した。欧州は事態が悪化するごとに、「イランが核兵器を保有すれば、危機に晒される隣国となるぞ」と圧力を掛けるとともに、イランにおける権益を拡大する機会と捉えてきた。
『核問題の本質』
欧州も米国も、いやロシアすら、イランが核エネルギーを保有する権利に反対しているわけではない。しかし、イランが望めば核兵器製造が可能になる濃縮ウランの製造能力を保有することのみに反対しているのだ。全ての協議でこのことが根本問題であり続け、他の問題はそれから派生したものであった。そこで欧州はイランに、ウラン濃縮能力を持つこと無しに核施設を稼動するに必要資材を国際市場から購入するよう提案している。また、予告無しの核開発地区の査察受入れなどを通じて、イランは濃縮ウランを生産しないことを確認するためのあらゆる保障を欧州は求めている。他方、イランは濃縮ウランの生産を、調印した核兵器拡散禁止条約に基づき、自国の権利であると見なしており、核兵器の生産をしない保障を与える用意がある。
欧州が米国とイスラエルのカードを使っているのに対し、イランは、イラクやアフガニスタン、また欧州のイランでの権益など、保有するカードで脅しを掛け、拘束したアルカーイダの捕虜を取引の材料にし、米国の状況が混乱することを期待して、時間の引き延ばしを行っている。
『核問題の行方』
イラン人は、国際状況が許すようになれば、この問題が実質的に呪縛から開放されることを願い、北朝鮮のひそみに倣い、内外のカードを使って時間を引き延ばそうとしている。それが出来なければ、状況がそれを許すようになるまで、協議と交渉を通じて、他の問題で得点を上げるようにする。米国は最終的にイランの世界貿易機構加盟に同意したように、米国と欧州はイランが手にする利益を餌にしてイランを縛ろうとし、次の段階でイランの体制を内部的に変更しようとしている。
従って、核問題の行方は宙に浮いたままで、常に協議が続く。
http://www.islammemo.cc/taqrer/one_news.asp?IDnews=439
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著者のタルアット・ルメイフ氏はエジプトの元労働党の機関紙アッシャーブで健筆を振るったエジプト人ジャーナリストで、現在はアラビア語各紙に執筆している。
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【短報】
*カーイム周辺で米軍とイラク軍が組織的略奪
http://www.islammemo.cc/news/one_news.asp?IDnews=69720
*香港の大司教:バチカンは中国との関係正常化を望む 「バチカン放送のサイト」
http://www.islammemo.cc/news/one_news.asp?IDNews=69671
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アラブの声ML 齊藤力二朗
http://groups.yahoo.co.jp/group/voiceofarab/
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米国、イラン関係の実態とイラン核開発の行く末 【前編】 [アラブの声ML]
http://www.asyura2.com/0505/war71/msg/232.html
投稿者 white 日時 2005 年 6 月 13 日 22:13:12: QYBiAyr6jr5Ac