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中央アジア きしむ反テロ同盟 ウズベク、米軍の基地使用制限
【モスクワ=内藤泰朗】中央アジアの大国ウズベキスタンが、同国駐留米軍に対し基地使用制限を課したことから、中央アジアでの「反テロ同盟」にきしみが生じている。ウズベク東部で五月に発生した反政府暴動の武力鎮圧で多数の死傷者が出た事件をめぐり、ロシアと中国がさっそくウズベク軍の行動を支持したのに対し、欧米は独自調査を要求し、ウズベクのカリモフ政権との対立が深まりつつあることが背景にあるようだ。
米国防総省報道官は十五日、ウズベク当局から、反テロ戦の拠点として同国のカルシ・ハナバッドに展開する米空軍の夜間飛行禁止を通達され、米軍が隣接するキルギスとアフガニスタンの米軍基地に戦闘機や輸送機を移動させたことを明らかにした。
同報道官は、今回の措置の理由については「承知していない」と述べたが、一部の米国メディアは、ウズベク東部アンディジャンで起きた反政府暴動の武力鎮圧で市民に多数の犠牲者が出たとされる事件への欧米の態度に対する「報復」と見方を伝えた。
これに対し、ウズベク外務省は十八日、「飛行禁止措置は事件以前に決定されており、報復ではない」とする声明を発表したものの、理由については「米国側は承知しているはずだ」と述べるにとどまった。
五百人から八百人の市民が軍に殺害されたとされる事件の真相究明でも、死者数は百七十六人だと主張するウズベク当局と欧米諸国の溝は深く、アーバー国連人権高等弁務官を団長とする調査団は、隣国キルギスに避難したウズベク人たちから、すでに聞き取り調査を開始した。北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)は、ウズベク当局が六月中に独自の調査団を受け入れない場合、制裁措置の導入も辞さないと警告している。
また、米国のブッシュ政権は今月末、ウズベクの民主派野党「エルク」の指導者らとワシントンで公式に接触するとも伝えられており、米政府とカリモフ政権との摩擦が激化するのは必至の情勢だ。
一方、中露両国は、事件がイスラム過激派ら七十九人の「テロリスト」が引き起こしたとして、ウズベク軍の「反テロ作戦は正当」との結論を早々と出し、カリモフ政権支持を打ち出した。
米中枢同時テロの直後は、「反テロ」の旗印のもと一応の国際協調が成立していたが、中央アジアではこのところ、「反テロ戦」を自らに都合よく解釈しようとする各国の思惑の食い違いが表面化している。
そのうえで、武力鎮圧事件への態度では中国と一致しているはずのロシアでは、米国とウズベクの対立が今後もさらに激化すれば、駐留米軍基地の閉鎖問題にまで発展し、そうなればウズベクにおける中国の影響力が高まると警戒する声が早くも出始めている。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/20int001.htm