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急成長する中国VS封じ込めたい米国
http://www.bund.org/editorial/20050625-1.htm
米中の石油争奪戦が始まった
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6月4日、シンガポールで開催された第4回アジア安全保障会議でラムズフェルド米国防長官は、「脅威を与える国はないのに、中国はなぜ国防費を増やし、軍備拡張を続けるのか」と中国を名指しで非難。中国代表の崔天凱外務省アジア局長は、「あなたは中国が他国から脅威を受けていないと本当に信じているのか。米国は中国の台頭を脅威に感じているのか」と反撃した。東アジアで米中の激しい覇権争い―資源争奪が始まっている。
軍拡競争が止まらない
アジア安全保障会議は、米英を含むアジア・太平洋諸国20カ国の国防相が一同に会する英国際戦略研究所主催の国際会議。3日夜の開幕演説で議長国シンガポールのリー・シェンロン首相は、今回から初参加の中国に配慮し、「中国に対する敵視や封じ込め戦略は功を奏しない」と米国の自制を求めた。
だが会議に出席したラムズフェルド長官は、「中国の国防予算はアジアで最大、世界では第3位」「この地域で軍事費をどんどん増やすことは我々すべてを懸念させる問題だ」と発言。「(中国は)代議制に基づく政府をつくる必要がある」と、中国共産党一党独裁体制の転換(レジーム・チェンジ)にまで言及する、厳しい中国批判を展開した。
米国防総省は近く「中国の軍事力の年次報告書」を公表する。報道によると同報告書は、台湾対岸の短距離ミサイルの増強・機動部隊の配置、最新鋭のロシア製迎撃戦闘機や攻撃型潜水艦の導入による空海軍力の近代化など、中国の軍事力増強の実態を列挙。「中国の軍備拡大はエネルギー確保のためでもあり、それが米国にとり脅威になっている以上対抗的な軍事力の確保が必要だ」と断じている。米国は、経済成長を続け、東アジアでの影響力を拡大しつつある中国を、なんとしても封じ込めたいのだ。
本年度の中国の国防予算は政府発表で2446億元(約3兆2000億円)で、前年比12・6%の増額となっている。この額は、スウェーデン・ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の2005年版年鑑によると、米・英・仏・日に次ぎ世界第5位だ。
ネオコンのシンクタンク・ランド研究所は、実際の中国の軍事支出は表向きの国防予算よりも4割ないし7割は多いと分析している。ラムズフェルドが「中国の国防予算は米・露についで第3位で、アジア最大の軍事大国」と言っているのは、このランド研究所の分析に基づいたものだ。
米国の軍拡批判に対して中国は、「米国の軍事支出は中国の18倍近く、もし人口1人当たりに換算したならば中国の77倍」、中国の軍事費の増加分は、「軍人の給与・待遇の向上」と「人員削減した20万人の適当な再就職を支援するため」と反論。「(米国は)この10年あまりで世界の各地でどれほどの戦争を行い、どれほどの国に侵入し、どれほどの罪なき市民を殺したのか」と批判し返している(6月8日付け「人民日報」)。
SIPRIの年鑑によれば、2004年の世界の軍事費は前年比実質5%増の1兆350億ドル(約110兆円)。冷戦終結後、初めて1兆ドルをこえ、米ソ冷戦下の核軍拡競争のピーク時に迫る規模にまで膨らんでいる。国別で見ると、米国が4559億ドルでダントツの第1位。世界の軍事費全体の約半分に当たる47%を支出している。世界の軍事全体に占める割合は、2位と3位の英・仏が5%、4位の日本が4%、5位の中国が3%。
米国の軍事予算は、9・11テロ以後の3年間で約20%も増加し、軍事費ランキングの2位から33位の国々を足した軍事費よりも多い。中国の軍事増強を批判するのなら、米国こそ大軍拡をやめるべきだ。
石油依存からの脱却
米中の軍備増強の背景には石油資源の争奪がある。中国では、急速な経済発展に伴いエネルギー消費も急増している。中国の2004年の原油輸入は前年比21%増の1億1000万トン、軽油など石油製品の輸入は同40%増の4000万トンに達する。今や中国は米国に次ぐ世界第二の原油輸入国で、エネルギー需要の40%を海外に依存している。今後中国の石油輸入は増え続け、2010年には中国が輸入する原油と石油製品の総計は2億トンを超えると予測されている。
中国は、増大する石油需要をカバーするために、世界各国から大量の原油を調達しようとしている。中国国営企業の中国石油化工(シノペック)は、今年イラン、キューバ、中央アジアでガスおよび石油採掘を計画。また近年、中国の石油大手2社が合計で50億ドル以上の資金をオーストラリア、インドネシア、スーダン、サウジアラビアなどの石油・ガス田に投資している。東シナ海のガス田開発に中国が強行なのも、それゆえだ。
米国務省のヒル次官補(東アジア・太平洋担当)は6月7日、世界各国から大量の原油を買い付けようとする中国の動きが原油価格を1ドル当たり55ドル以上に押し上げた要因の一つだと指摘。イラク、スーダン、ビルマなど「問題国家」まで含んだ国家との石油取引を模索する中国の動きに強い懸念を表明した。
中国だけでなくインドやブラジル、ロシアでも経済成長に伴い石油需要が急速に増大している。このままでは、そう遠くない将来、世界の石油供給は増え続ける需要に追いつかなくなる。絶対的な石油不足が世界を襲い、カタストロフィーがやってくる。
国内の油田枯渇にみまわれ、海外石油への依存が深まることに大きな危機感を抱いている米国は、世界の石油枯渇をみすえ、軍事力によって世界の石油を独占しようとしている。イラク戦争は米国による世界石油争奪戦争のはじまりにすぎない。先述した米国防総省の「中国の軍事力の年次報告書」は、「中国の軍備拡大はエネルギー確保のため」と批判しているが、米国の軍備増強もまた世界の石油・エネルギーを独占するためのものだ。
現在、中国は1日あたり700万バレル程度の原油を消費している。米国の一日当たりの原油消費量約2000万バレルに比べればまだまだ少ない。13億人の中国人が米国人並の石油浪費をはじめたら、現代文明は石油枯渇を待たずに温暖化と環境汚染によって崩壊する。人類は、石油依存の大量消費―大量廃棄の経済システムからの転換を選択するべきだ。軍備増強競争などやっている場合ではない。
日本は東アジア一員
日本は、石油需要のほぼ100%を海外に依存し、エネルギー自給率はなんとわずか4%だ。米中が石油争奪戦争に突入するようなことになれば、日本経済と私たちの生活は、直ちに崩壊の危機に瀕することになる。
日本経済の脱石油依存・自然エネルギーへの転換を全面的に押し進めるとともに、世界に対しても省エネ・自然エネルギーへの転換を率先して訴え、世界資源争奪戦争の回避を模索するべきだ。世界最大のエネルギー消費国になるのが確実の中国に対し、日本の進んだ省エネおよび公害防止の技術援助を環境ODAとして実施することで、地球規模の環境対策に大きく貢献することもできるはずだ。
ところが小泉政権は、ブッシュ政権の尻馬にのって中国敵視を強めている。第4回アジア安全保障会議に参加した大野防衛庁長官は、「中国の軍事費は不透明」とアメリカの立場を支持。さらに会議の終了直後の6月4日、ラムズフェルド長官と日米防衛首脳会談を行い、「台湾海峡をめぐる問題」を対北朝鮮政策と並ぶ「共通戦略目標」とした2月の2プラス2(日米防衛外務首脳会談)の合意事項を改めて確認した。
2プラス2の「共通戦略目標」については、第4回アジア安全保障会議でもアジア諸国から不信と批判が集中した。米パシフィック・フォーラムCSISのコッサ事務局長は、「日米が共同で中国を封じ込め、台湾を防衛するものだという受け止め方がアジア諸国で広がっている」と質疑したが、両長官とも「合意内容は公になっている」(ラムズフェルド)「共同宣言をよく読んでほしい」(大野)と、まともに答えられなかった。
世界の石油の独占支配を目指すブッシュ政権は、経済成長を続ける中国・東アジア(日本を含め)を軍事力によって封じ込めようとしている。米国の言うことを聞かない北朝鮮・金正日政権に対しては、核バンカーバスターによる先制核攻撃すら準備している。ブッシュの中国・北朝鮮敵視政策こそ、東アジアの平和と安定を脅かす最大の脅威だ。
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米軍、キャンプ座間周辺で住宅物色
既成事実化される第一軍団司令部移転
在日米軍再編で米陸軍第1軍団司令部の移転が計画されているキャンプ座間で、米軍が地元の不動産業者を招集。「司令部が来れば住宅が必要で、多いほどいい」と、500戸前後の戸建てやマンションの供給を求めたことが明らかとなった。
第一軍団司令部移転が既成事実化されるなかでキャンプ座間の基地機能の再編・強化も進められている。この間、周辺の相模原市や座間の住宅地上空では米軍ヘリの訓練飛行が繰り返されている。5月23日には夜間訓練が実施され、6月3日には4機の米軍ヘリによる低空・旋回飛行訓練が強行された。騒音の苦痛と墜落事故の危険を感じた住民から苦情が殺到。相模原市はキャンプ座間の在日陸軍司令部に強く抗議している。
キャンプ座間近隣の相模補給廠でも動きがある。4月6日、米軍は補給廠に米軍兵士用のベースキャンプセット(フォースプロバイダー、550人用)2セットの運び込みを済ませ、5月25日からは第二陣のベースキャンプセットの搬入を始めている。2002年のアフガン戦争時には、相模補給廠からベースキャンプセット6セットが搬出された。今回の再備蓄はアジア有事(=朝鮮・台湾有事)に備えてのものだとされる。第1軍団司令部移転と並行して、在日米軍基地のアジア有事への即応体制が整えられつつある。
相模原市米軍基地返還促進等市民協議会は、6月から自治会や労組、市P連(PTA連絡協議会)など市内の多くの組織を挙げて「第1軍団司令部移駐反対」の署名活動に取り組むことを決めた。すでに座間市では4月から5月にかけて全市民を対象にした署名活動が市長を先頭に取り組まれ、市民の半数にあたる6万人の署名が集まっている。
相模原市の署名では、第1軍団司令部移駐反対をメインに、厚木基地の爆音解消や市内米軍基地の早期返還、日米地位協定の見直しなども掲げられ、20万筆を目標に署名に取り組む(相模原市の人口は62万人)。米国言いなりの小泉政権に対する地元住民の怒りが高まっている。
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日米同盟の「同盟変革(アライアンス・トランスフォーメーション)」
ますます深まる日本の対米追随
5月29日、共同通信は、日米両政府による在日米軍の再編協議で、米側が日米同盟の世界規模での協力体制構築を目指し、「同盟変革(アライアンス・トランスフォーメーション)」との表現で、同盟関係強化を提唱していると報じた。日本側も同盟強化自体には「異存はない」との立場だが、「誤解を招きかねない」(関係者)との懸念から米側の提起を公表していない。
「誤解」どころではない。米国は、日米同盟の「同盟変革」によって日本を、米国の世界戦略に100%付き従う完全な属国にしようとしている。例えば、米国が再びイラク戦争のような戦争を引き起こした時(その可能性は十分にある)、日本は米国を全面的に支持・支援し、自衛隊を同盟軍として派兵する、これが同盟変革の意味することだ。
日米安全保障条約第6条(極東条項)は、米軍への基地提供の目的を「日本・極東の平和と安全」に限定している。日米安保体制の枠組みすら踏み越えた、日米同盟のグローバル化―日本の属国化が進行している。
(2005年6月25日発行 『SENKI』 1182号1面から)
http://www.bund.org/editorial/20050625-1.htm