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米戦死兵の家族会が大統領糾弾の反戦集会 息子亡くした母が苦しい心情を吐露
【コングレス(米アリゾナ州)15日=マクレーン末子】イラク戦争での米軍兵士の死者数は増え続け、6月に入って1700人を超えた。戦死を名誉と考える風潮もある中、戦死兵の家族会は13日、ケンタッキー州レキシントン市で反戦集会を開いた。参加者たちはブッシュ大統領を「不当な戦争」を始めたと強い口調で非難し、代表者が「大統領の黒い心臓に政治的致命傷となる棒を打ち込むのが人生で達成すべきこと」と、大統領にあてた手紙の一部を紹介すると、聴衆から大きな拍手が起こった。
米国では戦死者を持つ家族は、家の窓に金星が縁取られた小さな旗を掲げることから、金星家族と呼ばれている。「平和への金星家族会」の代表者、シンディー・シーハンさんはカリフォルニア出身。息子のケイシーさんは、昨年4月にバグダッドで戦死した。
サウジアラビア紙アルジャジーラがその戦死の模様を伝えたと言い、シーハンさんは「米軍当局は敵の奇襲攻撃で息子は死んだと伝えてきたが、友軍の誤爆によるという証拠もある。軍はうそをついている」と反発する。息子の死以来、シーハンさんはイラク侵略戦争反対を訴え続けている。
この日の集会でシーハンさんは、ブッシュ大統領が戦死兵の妻の痛みを和らげるのは「ハードワーク(きつい仕事)」と発言したことを揶揄(やゆ)し、愛する者を失った母親の苦しい心情を切々と吐露した。
「ハードワークは、最愛の息子の戦死をある日曜日の夕方、CNNニュースで知ったこと。ハードワークはその2時間後、息子の死を伝えるため訪れた軍将校を家に迎えねばならなかったこと。ハードワークは25才の誕生日を前に、息子を埋葬しなければならなかったこと」。こう話したシーハンさんの一言一言が参加者たちの心を深く揺り動かした。
また、シーハンさんは「家族会は、国民を誤った方向へと導いた大統領を弾劾するために全力を挙げる」という大統領にあてた手紙をも引用した。 集会に参加した神学校で教鞭をとるグレン・ヒンソンさんは「米国は欲深くなりすぎ、道徳的に破綻している」と警鐘を鳴らした。
家族会は「自由と真実バスツアー」を通して各地で集会を開き、政府のうそを多くの人に知らせ、イラク侵略戦争を終わらせたいと活動を広げている。家族会は既にニューヨークとシカゴへのバスツアーを終えている。
「平和への金星家族会」は今年1月に設立され、現在の会員は約70人。その中にはマイケル・ムアー監督の映画「華氏9・11」に出演し、一躍有名となったリラ・リプスコムさんがいる。昨年9月、ローラ・ブッシュ大統領夫人の大統領選キャンペーン演説中、やじったかどで逮捕されたスー・ニーデラーさんも会員の一人だ。ニーデラーさんは、「ブッシュ大統領は息子を殺した」と書かれたTシャツを着て集会に参加、「いつあなたの娘さんたちは戦場に行くのか」と、ブッシュ大統領夫人に質問を浴びせ、スピーチを妨害した。
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