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イラン大統領選きょう投票 初の決選投票濃厚 カギ握る学生・無関心層
【テヘラン=加納洋人】二期八年を務めた改革派のハタミ大統領の任期満了に伴うイラン大統領選挙が十七日、投票される。保守、改革両派の中間に身を置くラフサンジャニ前大統領(最高評議会議長)が終始、選挙戦をリードしてきたが、一回の投票で当選に必要な投票総数の過半数を獲得する見込みは小さいとみられており、上位二人による初の決選投票にもつれ込む可能性が強まっている。
フランス通信(AFP)が十五日伝えた世論調査結果によると、ラフサンジャニ師の支持率が24−28%と一位で、保守派のカリバフ前警察庁長官が14−16%。改革派のモイーン元科学技術相が12−15%でその後を追っている。
こうした中、保守派候補のレザイ元革命防衛隊司令官は同日、立候補の取りやめを表明し、保守派三人と改革派三人、ラフサンジャニ師の計七人による争いとなった。
ブッシュ米政権がイランを「悪の枢軸」の一つと名指し、最近はイランの核開発疑惑をめぐり欧州との間でも軋轢(あつれき)が生じるなど厳しい国際環境のなかでの大統領選となっている。だが、ラフサンジャニ師が米国との関係改善の意思を表明するなど各候補は対外関係の改善を通じて経済成長を図る政策を掲げている。また、経済の停滞を反映し、「生活の向上」なども争点に浮上している。
ラフサンジャニ師は官僚層や経済界の支持を中心に保守派と改革派の双方に支持を訴えてきた。同師であれば保守派の協力も得られやすく、ハタミ大統領時代には保守派の抵抗で停滞した経済政策も機能するとの期待が強い。
また、カリバフ候補は十四日、支持者らとの集会で、「ハタミ時代は多くの過ちを犯した。貧富の差が拡大し、若者らは職を失った。もう同じ過ちは犯せない」と強調、「イラン人により良い生活を」と経済改革の推進を訴えた。
一方、改革派のモイーン候補は「改革は終わっていない。民主主義のもとで、すべての人々が自由と平等を享受できる国を築こう」と、改革・開放路線の継続を訴えた。しかし、国民が熱狂的に支持した改革路線は失速し、最高指導者ハメネイ師(保守派)を頂点とするイスラム法学者が統治する政教一致の現体制下では改革派の候補が大統領になっても何もできないとの失望感が国民の間に広がっている。
低投票率が予想される中、モイーン陣営は、投票ボイコットの姿勢を示していた学生や無関心層に投票を呼びかけている。イランでは二十五歳以下の若年層が人口の五割を超えており、その票の行方が焦点となる。
即日開票され、十八日中にも大勢が判明する。決選投票の場合、二十四日に投票されるとみられている。
◇
≪ラフサンジャニ候補選挙事務所幹部≫
■経済発展へ対米関係改善図る
【テヘラン=加納洋人】イラン大統領選で優勢が伝えられるラフサンジャニ候補(前大統領)の選挙事務所幹部、ムハンマド・アリ・パーキセレシュット氏(42)は十五日、同候補の公約について説明し、対外関係改善と経済改革に取り組む姿勢を強調した。一問一答は次の通り。
−−最も重要な公約は何か
「前回の大統領任期中は、イラン・イラク戦争後の荒廃からの再建が大きな課題だったが、今回はイランを繁栄させるための経済再建に取り組む。民営化推進などで、人々の生活水準の向上を図るほか、海外からの投資を呼び込みやすい環境づくりにあたる」
−−米国との関係は
「イランの経済的潜在力は大きく、イラン市場は米国にとっても魅力的なはずだ。米国の対イラン制裁は米国にとってもマイナスになっている。イランの経済発展のために、米国を含む各国との関係改善を図る」
−−いまイランは、さまざまな国際的圧力のもとにあるが
「ラフサンジャニ師は外交経験が豊富で、諸外国と調和を保っていくことができる唯一の候補者だ」
−−保守派でも改革派でもない現実派だといわれている
「イスラム革命(一九七九年)を指導した人物であり、党派間の対立を超えた位置に身を置いている。党派間の争いを克服し、国民の間で調整を図り、より良い選択が行われるよう努めている。例えば、改革派は改革のスピードを速めろと言い、保守派は急激な改革はマイナスだと主張する。ラフサンジャニ師は、両者の意見を聞き、バランスをとる立場だ」
http://www.sankei.co.jp/news/morning/17int001.htm