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6月11日―メディアを創る
◇隠れて進められている日本の米軍基地化
米軍再編への日本の協力は、国民には殆ど伝わってこないが、確実に既成事実化されつつある。
11日の朝日新聞に、「米軍が座間市の不動産業者を集めて住宅供給を打診していることが判明した」という記事があった。複数の地元業者によると、米軍は500戸前後の戸建てやマンションの供給を求め、打診は昨秋から今春にかけて、5回ほどあったという。
米陸軍第一軍団司令部が米国ワシントン州からキャンプ座間(神奈川県座間市、相模原市)に移転することは、在日米軍再編の目玉の一つである。すでにこれまでも推測記事が何度と無く流されてきた。
この点について、外務省は今でも、「まだ何も決まっていない」との説明を繰り返し続けている。しかし11日の朝日の記事は、実際は米軍司令部のキャンプ座間への移転がこれまでの日米間の協議で密かに合意されつつあることを教えてくれたのだ。
最近の国会では安保問題は殆ど追及されることが無くなった。それは野党第一党の民主党の安全保障政策が松下政経塾出身の若手ネオコンに握られているからだ。かつての社会党は民主党に埋没し、小泉首相は共産党をハナから相手にしない。こうして国民的議論が無いままに、今年の夏にはあらたな日米軍事協力が小泉首相の手で発表されることになる。耐えられない暴挙だ。その時にはどんなに反対したところで手遅れであろう。
おりしも大野防衛庁長官は、米国が開発を進めているミサイル防衛システムについて、「共同技術研究の段階は済んだ。開発段階に移行する時期だ」と公言し、来年度の予算要求に数十億円の開発費を要求する意向を始めて口にした(6日朝日)。こんな越権発言を聞き流していいのか。さらにまた9日の朝日新聞夕刊には、無人偵察機グローバルホークなどの最新兵器を防衛庁が米国から購入する検討を始めたと報じている。財政難の時にこんな高価な玩具を自衛隊に与えていいのか。壮大なムダである。すべて軍需産業にまみれたブッシュ政権の命ずるままである。
郵政民営化や靖国参拝問題の馬鹿騒ぎの陰に隠れて、我々の生活に深刻な影響を及ぼす日米軍事協力が進んでいるのだ。しかもそれは本来あるべき日本の防衛ではない。自衛隊が米軍の傭兵となる、米国による米国の為の軍事協力なのである。
◇がんばれノムヒョン韓国大統領
ひるがえって韓国のノムヒョン大統領の政策はどうか。米国の方針に逆らうような発言を繰り返すノムヒョン韓国大統領の評判はここにきてすこぶる悪い。といってもそれは米国政府の評判である。そして対米従属に徹する日本政府と米国を崇拝する日本の一部保守メディアがその米国政府の片棒をかついでノムヒョン大統領を批判している。
たとえば11日の産経新聞は、ソウル特派員の久保田るり子記者の「韓国、国際社会孤立の危険」と題する次のような解説記事を載せている。
・・・ノムヒョウン政権は同盟に依存しない「自主外交」を打ち出し、「在韓米軍撤退」が民主化のシンボルになった。いまの韓国の若者にとっては「反米」がかっこいい。「反米」は「民主化」であり、南北民族和解はノムヒョウン政府のキーワードという時代の空気が流れている・・・しかし核問題でぎりぎりの神経戦に入った国際社会の外交感覚と、韓国政府の「北の同胞」を見る視角は、明らかに大きな乖離が生じている・・・
このような産経新聞の論調は正しいのか。同じ民族でありながら冷戦という国際政治の現実に巻き込まれ分断され、朝鮮戦争という形で血まで流し合った南北両国が、冷戦が終わって和解しようと努力することは、尊敬を持って歓迎されこそすれ、批判される筋合いはまったくない。国際社会で孤立しているのはむしろ米国のほうだ。そしてその米国に従うしか能のない日本なのだ。
痛いところをつかれた米国の反発は相当なものだ。ローレス米国防副次官は、「韓国の戦略的価値は終わった。(韓国が米側の要求を受け入れないなら)駐韓米軍を撤退させる状況もある」、「(冷戦時代の陣営外交にはとらわれないとのノムヒョン大統領の)北東アジアのバランサー論は米韓同盟と両立しない概念だ。もし同盟を変えたいなら希望通りにする」などと恫喝まがいの発言を繰り返している(11日産経新聞)。出来るものならやって見ろと私は言いたい。ノムヒョン大統領とそれを支える韓国国民に頑張ってもらいたい。それにしても情けないのがわが外務省だ。谷内正太郎事務次官が韓国国会議員を前にして、「アメリカは韓国を信頼していない」などとブッシュ政権の代弁をして韓国を怒らせた。谷内次官と私は1969年に外務省の門をくぐった同期の仲だ。私は残念に思う。
ノムヒョン大統領は筋を通し続けている。北の混乱時に軍事力を投入する場合でも米軍の展開は不適切でありあくまでも韓国軍を中心としたいと主張し(5月27日赤旗)、在韓米軍の経費負担を8.9%も減少させることで押し切った(10日朝日)。極めつけは6月11日のワシントンでの韓米首脳会談後の記者会見でのワンシーンである。11日の毎日新聞夕刊は次のように描いている。
・・・ノムヒョン大統領はブッシュ大統領に、「米韓同盟は強固ですべてが機能しているということに同意しますか?」といきなり記者の前で迫ったというのである。ブッシュ大統領は不意をつかれて一瞬ひるんだあと、「同盟は非常に強固だ」と応じざるを得なかったという。そのあとブッシュ大統領は「あなたと昼食を共にするのが楽しみだ。おなかがすいた」と切り上げて会場の笑いを誘ったと言う。見事なノムヒョン大統領の一本勝ちである。わが小泉首相にこんな芸当ができるであろうか。出来るはずはない。映画や野球の話しかしない。尻尾を振る事しかしない。第一言葉が通じないのだ。
「ノムヒョン大統領がんばれ」と私はエールを送りたい。
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