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米政権のテロ容疑者対策、内外で厳しい非難を巻き起こしている(janjan)
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投稿者 中田英寿 日時 2005 年 7 月 14 日 21:37:10: McoerUaxt7HLY
 

米政権のテロ容疑者対策、内外で厳しい非難を巻き起こしている 2005/07/14
http://www.janjan.jp/world/0507/0507149561/1.php

【国連IPS=ハイダー・リツヴィ、6月28日】

 テロ容疑者の無期限収容とその措置を(拷問禁止協定やジュネーブ協定違反でなく)「特別解釈」とする米ブッシュ政権の政策が、国際連合、アムネスティ・インターナショナル、米国会議員など各方面からの激しい非難の対象となっている。

 アナン国連事務総長は、「拷問犠牲者国際支援デー」にあたる6月26日、「拷問の禁止ということに関しては、論争の余地はない」と述べた。

 アナン事務総長は、米国を名指しこそしなかったものの、「ある人が拷問にあう危険性があると信じるに足る十分な理由があるとき、その人物を他の裁判管轄権の下に移送することも拷問の意味に含まれる」と指摘した。

 現在のところ、米政権は「特別解釈」と自らが呼ぶ政策をとっている。これには、裁判所からの許可なく、容疑者を捕らえ、第三国に移送することも含まれている。

 人権擁護諸団体は、米当局が複数の個人をある国に秘密裏に移送し、その人たちが現地で未起訴のまま収監され、拷問を受けている事例がいくつもあると報告している。

 そのうち、ひとつの事例が先週末メディアの注目を集めた。13人の米中央情報局(CIA)工作員に対して、エジプト人イスラム教聖職者をイタリア・ミラノの街頭で誘拐しエジプト移送した罪(明らかなイタリアの主権侵害となる事件:IPSJ)で、イタリア司法当局が逮捕状を発行したのである。イタリア政府は、ブッシュ政権の進めるテロとの戦いに一貫して歩調を合わせてきたが、今回のCIA工作員への逮捕状発行は、両国の外交関係のあり方が試される機会となった。

 42歳のハッサン・ムスタファ・ナスル(アブ・オマールとしても知られる)は、2003年2月に、ミラノにある自宅からモスクへ向かう途中、連れ去られた。彼を誘拐した一団は彼の目に化学物質の入ったスプレーを吹きかけ、車の中に押し込んだ。彼は初めドイツにある米軍基地に送られ、そこからエジプトへ移送された。

 いくつかの報道によれば、ナスルは昨年、短期間だけ刑務所から釈放された。そのとき彼は家族や友人に電話をし、性器に電気ショックをかけられとことや、片耳が聞こえなくなったことを訴えたという。それ以来、再び彼の行方はわからなくなっている。

 イタリアにおけるCIA工作員の起訴は、「テロとの戦い」に関連して米国当局者が直面した初めての事例である。米伊両国当局はこの件に関して硬く口をつぐんでいるが、欧州の人権擁護団体および検察官にとっては、米国による「拡大解釈」の実態はますます許しがたいものとなりつつある。

 彼らをさらに困惑させているのは、米政府が、独立の監察官を米国の軍事刑務所に立ち入らせることを拒否している、ということである。世界最大の人権団体、アムネスティー・インターナショナルは、6月24日の声明で、米国が世界各国で管理下に置いている全ての収容所を、受刑者への人権侵害や拷問を監視する国連の専門家に対して公開すべきだ、と要求した。

 アムネスティは、「米国は自らに対する監察を怠っているのみならず、外部の人権専門家による独立の調査を認めることもしていない」と述べた。さらに、テログループとつながりがあるとの疑いで数百名もの人々が収監されているキューバのグアンタナモ収容所に対して、立ち入りを求め、米政府に拒否された国連の人権専門官の批判を支持する旨の声明を出した。

 その国連人権専門官のチームは6月23日、「法の上位に存在する国はない」と述べ、米国も、国際人道法の下での法的義務を果たすべきとの見解を述べた。

 アナン事務総長は、拷問はどのような形態のものであれ、どのような文脈のもとで行われるものであれ、「容認しがたいし、許されるものではない」と述べた。彼は、拷問にあう可能性があることを知りながら他の裁判管轄権下へ人々を移送することをかたく禁じた、国連拷問禁止協定第3条の重要性を強調した。

 米国は同協定を1994年に批准している。9・11同時多テロ以前、米国は、同条約や交戦時の規則を定めたジュネーブ条約を遵守していた。しかし、ブッシュ政権は、「今や米国は、交戦規則に違反する敵と相対するという前例のない状況のなかにある」と主張するようになっている。

 アムネスティは、人権団体による独立の調査が不可欠だとした上で、収容者の外部との接触が少なければ少ないほど、収容者は拷問やその他の非人道的・屈辱的取り扱いを受ける危険性が増すと指摘している。また、「テロとの闘い」における米国の収容・取り調べに関する政策と実態を調査する「独立委員会」を設置することを米議会に求め、「世界の目に対して公平性を保ち得るように国連の専門家からのアドバイスを受けるべきだ」と主張している。

 「拷問によってテロは止まらない」。むしろ「拷問こそがテロなのです」。

 先週末、米国会議員の代表団がグアンタナモ収容所を訪問した。ある議員は、その軍事収容所を「われわれの国と理想に対する国際的な疑念を高めるもの」だと批判したのに対し、ある議員は「グアンタナモの存在は正当だ」と擁護する立場を示した。

 先日の米上院司法委員会の場で、グアンタナモにおける囚人の法的地位について尋ねられたマイケル・ウィギンス司法長官補代理は、「法的に見れば、彼らは恒久的に収監し得るというのがわれわれの立場だ」と米政権の主張する「特別解釈」の立場を述べている。

原文:
 http://ipsnews.net/news.asp?idnews=29247
関連リード記事:
 http://www.janjan.jp/world/0506/0506288884/1.php
関連リード記事:
 http://www.janjan.jp/world/0506/0506228701/1.php
国連拷問禁止協定:
 http://www.unhchr.ch/html/menu3/b/h_cat39.htm
アムネスティ・インターナショナル:
 http://www.amnesty.org/

翻訳=山口響/IPSJ浅霧勝浩

(IPSJapan)

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