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http://www.shinmai.co.jp/news/20050525/mm050525sha25022.htm
「戦場体験」の証言を映像で記録し、インターネットで放映する活動に取り組む市民組織「戦場体験放映保存の会」(東京・渋谷)が発足した。15万人を目標に元兵士らの証言を集め、ライブラリー化して次世代に残す計画だ。背景には「戦場の記憶を埋もれさせては、戦争や平和について本質的な議論ができない」という危機感がある。
保存の会は、インターネット上に無料のニュースサイトを開設しているインターネット放送局「世論力テレビ」(
)の活動から生まれた。昨年秋、元兵士の戦場体験の証言を放映したところ、「ぜひ続けてほしい」という反響が相次いだ。スタッフの間で「有事法制が整備され改憲の流れが強まる社会の中で、市民の側からの問題提起として、この活動に集中して取り組もう」と意見が一致。3月に準備委員会を発足させた。
なぜ「戦争体験」ではなく「戦場体験」なのか。世論力テレビの記者で保存の会事務局の中田順子さん(30)は「戦場は、人間が人間であること自体が難しい場。兵士たちが否応なく連れて行かれ、殺りくに加担させられた戦場で、何が起きていたのか。極限状況の体験を記録し、戦争の真相に迫りたい」と話す。
これまでの収録で、「今まで家族にも話したことはない」と打ち明けながら、若い女性を強姦したり、人の肉を食べた体験を語る元兵士たちがいた。ある男性は、中国で、逃げる民間人を背後から撃ったと明かし、「なぜ自分にそんなことができたのか分からない」と語った。
5月14日に都内で開いた設立総会。集まった約50人の中には、高齢や病身をおして参加した元兵士の姿も目立った。「余命は少ないが、共に手を取って頑張りたい」との発言が出る一方で、シベリア抑留体験がある元兵士は会の趣旨には賛同しつつ、「日本人が日本人を殺すという壮絶な状況があった。果たしてそこまで語れるか…」と打ち明けた。特攻訓練を受けた男性は「『次の戦争』は既に始まっている。本当のことを話したら、いつまた“裏切り者”扱いされるか分からない」と話した。
戦後60年を経て、戦場を体験した人の多くは80歳を越えた。これまで固く口を閉ざしてきた体験を「このまま誰にも語ることなく死んでいいのか」との思いを抱きつつ、なお「真実」を語ることをためらう人は少なくない。記録作業は時間との闘いでもある。
<5年で15万人分収録目標 県内含め300カ所に活動拠点>
戦場体験放映保存の会は、兵士や従軍看護婦、満蒙(まんもう)開拓青少年義勇軍などとして戦場を体験した人が現在約65万人生存していると推計。今後5年間の証言収録目標を15万人とした。既に長野県内を含め全国約300カ所に活動拠点(ステーション)を確保、約100人の証言を集めた。
証言は問わず語りで収録。語られた内容の検証はしないため、設立総会では「証言の真偽はどう判断するのか」との質問が出た。事務局は「15万人分を蓄積することで、相対的に見られる資料になるのではないか」としている。
収録した映像の原版は無編集で保存。これとは別に、体験の事実を中心に15分程度に編集してインターネットの「世論力テレビ」で順次放映、証言集としてビデオ・DVDも販売する。
活動は「無色・無償・無名」を掲げ、制作経費は1人1000円の賛助会費やカンパで賄う。事務局スタッフは現在、自営業者や会社員ら約20人。
問い合わせは保存の会(電話03・3465・6066)へ。