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「心とドル」 米国の総力を挙げた対イスラム大攻勢 【後篇】 [アラブの声ML]
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投稿者 white 日時 2005 年 5 月 25 日 09:16:55: QYBiAyr6jr5Ac
 

□「心とドル」 米国の総力を挙げた対イスラム大攻勢 【後篇】 [アラブの声ML]

 http://groups.yahoo.co.jp/group/voiceofarab/message/602

「心とドル」 米国の総力を挙げた対イスラム大攻勢 【後篇】

【9/11から政府海外援助の首位機関の支出は三倍となり、半分以上はイスラム世界に向けられている】

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CIAだけが心をとらえるための新作戦を進めているわけではない。9/11以来、通常予算の増加によって、文化交流への支出は9/11以来40パーセント以上増え、130億ドル近くなったが、今後さらに増える予定だ。政府の新たなアラビア語放送サービス、ラジオ・サワとアルフッラATVは、評論家達からの非難が集中するなか、ある程度成功している。ラジオ・サワはポピュラー音楽の合間に頻繁にニュースを流すスタイルで、今や中東で最も人気の高い局の一つになっている。予想は様々だが、昨年のACNielsenの調査では放送開始から僅か半年のアルフラは、半ダースほどの主要アラブ諸国において衛星アンテナを備えた視聴者の間で、20パーセントから33パーセントにまで至っていることが分かった。アルフッラをヨーロッパで暮らすアラビア語話者も聴けるようにし、イランへのペルシャ語放送を進め、他の主要言語による番組を増やす新たな計画がある。

アメリカの新思想戦争の突撃専用部隊の多くは、CIAあるいは国務省からではなく、あまり目立たないアメリカ国際開発庁USAIDからやってくる。9/11から三年の間に、政府海外援助の首位機関の支出はほぼ三倍、210億ドルとなり、しかもその半分以上は今やイスラム世界に向けられている。これまであったような典型的な農業や教育支援に加えて、この種プログラムは旧ソ連邦の変化に拍車をかけ、政治家の教育や独立メディアに資金援助した。こうした助成金はますますイスラム教の集団に向けられるようになっている。

「マペット外交」
国務省、USAID或いは他の組織から得た記録から、9/11以来、最少24ヶ国にわたってアメリカの納税者によって資金供給されている一連の驚くべきイスラム事業が明らかになっいる。そのうち9ヶ国では、アメリカの援助金は、エジプト、パキスタンおよびトルクメニスタンの歴史的なモスクを含むイスラム教聖地の復興を支援している。キルギスタンでは、大使館の資金援助が主要スーフイ寺院の復興を助けた。ウズベキスタンでは、中には11世紀まで遡るものもある20冊のコーランのようなイスラム古美術写本を保存するために資金が使われている。バングラデシでは、USAIDは開発問題について、モスクの指導者を教育している。マダガスカルでは、大使館はモスク間のスポーツ大会の後援までしている。他に資金援助を受けているものに、少なくとも半ダースの国家で、翻訳書からラジオ、TVに至るまで、あらゆる種類のイスラム教のメディアがある。熱狂的な支持者達がマペット外交と呼んでいるもののように、はっきりとしたイスラム教の主題がないものも助成対象になることが多い。セサミ・ストリートのアラビア語版は、エジプトのTVでもっとも人気のある番組の一つになったが、リテラシーや衛生学に関する科目と並んで?番組は宗教的寛容の価値に焦点をあてている。この番組の主要スポンサーの中にはUSAIDがあり、年内に始まる汎アラブ衛星版にも助成している。

人口2.4億という世界最大のイスラム教国インドネシアほどその努力が注がれている国はない。この国は穏健なイスラム教の稜堡でありながら、それにもかかわらずいくつか急進的なイスラム集団を生み出しており、例えばアルカイダの分派で、20人が亡くなった2002年のバリ爆破事件の張本人であるジェマー・イスラミヤがある。USAIDはこの国の30以上のイスラム教団体に対する資金援助を背後からしている。計画には以下のようなものが含まれる。メディア制作、イスラム教説教師用ワークショップ、地方アカデミーからイスラム教大学に至る学校のカリキュラム改革。イスラム教と寛容にまつわるあるトーク番組は40都市のラジオ局に中継され、百以上の新聞に週刊コラム記事を送っている。助成金リストにあるものの中には、リベラルなイスラム教は民主主義や人権と両立することを示すような学術研究団体を育成しているイスラム教のシンクタンクがある。

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助成金は原理的には秘密ではないが、ある職員の言葉を借りれば「目立たないやり方で行われている」。アメリカ資金とのつながりが公然となることは、不安定な地域において事業の終末を意味し、そこで働く人々を危険な立場に追いやりさえする。事実、安全はUSAIDで働く人々にとって非常に重大な要素であるため、この機関は今はほとんど現地雇用に依存するようになっている。かつては何百人ものアメリカ人職員がいたパキスタンでは、今はわずか20人ほどしかいない。

USAIDが自分の功績であることを認めようとした場合ですら、反米感情のおかげでうまく行かないことがある。国務省の文化交流にかかわるパネルでのカイロ出張の間に、出張者達は日本がオペラ・ハウスを建ててくれたことをエジプト人がどれほど感謝しているかを何度も聞かされた。エジプトが二番目に多くのアメリカ援助資金を受け取っており、年間およそ20億ドルにも昇ること、そしてアメリカがカイロの上水道、下水道、及び電気設備に資金援助したことをエジプト人は殆ど知らずにいるように見えた。アメリカの資金は西暦642年に建てられたエジプト最古のモスクを水害から救ってもいるが、エジプトの役人達はUSAIDの赤白青の標識を建物の外側に飾りたがらなかった。いらだった幹部職員は自分達独自で文化交流部隊を作ることに決めた。あらゆるUSAID事業に情報専門家を同行させるようになろう。

聖戦戦士の将来世代を懸念している人々にとっては、伝統的なイスラム教の学校であるマドラサに何をすべきかは重大な関心事だ。9/11委員会は、昨年その最終報告書で、マドラサのうちでも最悪の施設に対し「暴力的な過激主義の孵卵器」というレッテルを貼った。世界銀行の調査によればマドラサの学生は、パキスタンだけでも500,000人近い。問題を解決すべく、アメリカの担当者達は様々な戦術を駆使している。中でも恐らく最も驚くべき計画はウガンダでのもので、これは大人数のイスラム教マイノリティーを対象にしている。昨年、大使館は三つのイスラム教小学校建設に資金援助をしていると発表した。「我々はマドラサ事業をやっているのですよ」とあるテロリズム・アナリストは気の利いた皮肉を言った。近くのアフリカの角地域で、アメリカ軍は心をひきつけることを狙ったモデル事業を運営しているが、これはなににもまして、マドラサと直接競合している。軍隊の将校達は過激派たちがどこで宗教学校を始めようとしているかという計画についての情報を収集している、と海兵隊少将のサミュエル・ヘランドはU.S. Newsに語った。「彼らはそこで、その地域を狙って、新しい公立の学校や地方のインフラを作るのです。」

シジフォス
至る所でアメリカの役人達は第三者を通して、こっそりと活動し、マドラサの教師達に、算数、理科、公民科、そして保健をカリキュラムに加えるよう教育している。最も野心的な計画はパキスタンにおけるものだ。この国では事に非常に敏感で、アメリカの資金援助と結びつけられるだけで、両親達が子ども達を学校に通わせなくしてしまうとUSAIDスタッフは言う。この役所は、私的財団やパキスタン文部省を通して「モデル・マドラサ」計画と呼ぶ、最終的には何千もの学校を対象とすることになるものを推進している。こうした関与に線引きをするのは困難だ。1月に、当地のアメリカ大使館は、パキスタンの最も反抗的な地域にある多数のマドラサや他の学校にインターネット・アクセスを提供するための100万ドルの契約を突然中止させた。理由は、一人の過激派分子の逮捕がある学校と関係していると誤解されたためだった。

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アメリカの納税者からの金は、イスラム教ラジオ、イスラム教TV、イスラム教の学校、モスク、記念碑へと流れ込んでいる。この戦略は物議を醸しやすいと考える幹部がいて不思議はない。USAIDのスタッフは、あらゆるグループを支援し、助成金が非宗教的な活動に向けられている限り、宗教的組織への資金援助も許されると主張する。「私たちは我々の事業を「国教条項」に従って進めています」とUSAIDのスポークスマン、ジェフリー・グリエコは、米国憲法修正第一条の教会と国家の分離に触れて語っている。しかしながら法律専門家の中には、アメリカの裁判所が税金は宗教を支援するために用いられてはいないことを見いだすとしても、アメリカがイスラム教への関与を深めていることが合法的なのかどうか疑問視する向きもある。「我々が、これをするのは恐らく憲法違反でしょう」とアメリカン大学憲法学教授ハーマン・シュワルツは言う。1991年、シュワルツとアメリカ市民自由連合は、海外にある20のカトリック教とユダヤ教の学校へのUSAIDの資金援助を止めさせる訴訟に勝利した。「けれども、それも大昔の話のようです。今だったら、そうした訴訟を皆が支持するかどうか分かりません。」シュワルツ氏はそう言い添えた。

時代は確かに変わったのだ。我が国の高官達は、イデオロギー上アメリカ最大の敵は高度に政治化した過激なイスラム教の姿で、ワシントンとその同盟者達はもはや傍観している余裕はないと確信しているかに見える。政権がいよいよ思想戦争遂行に肩入れを始めたというさらなる証は、先月大統領が長らくコミュニケーション顧問を勤めたカレン・ヒューズを、国務省の文化交流担当新次官として指名することで明らかになった。海外経験こそ無いものの、ヒューズのコミュニケーション能力は実証済みで、重要なトップとの直接のパイプも持っている。ホワイト・ハウスは、国家安全保障会議に、新たな職務、戦略的コミュニケーションと世界アウトリーチに関する国家安全顧問代理を発表する予定で、その職務は官僚主義を実行に駆り立てる役目である。

注力の結果、既に成果は生まれつつあるように思われる。アメリカ軍が率いた津波被害救援活動の後で先月行われたインドネシア人の投票では、アメリカを嫌う割合は、忌まわしい83パーセントから54パーセントへと大きく後退した。ビン・ラデンに対する支持は、それとは対照的に半分以下に減少した。とはいえ、これからの道はたやすいと考えるのは愚かしいことだ。情報戦のベテラン達は現在投入されている資金はまだ不十分だと言い、新たな会計検査院の調査でアメリカの文化交流戦略にまつわる一連の問題に脚光が当てられている。国務省のヒューズの前任者、国務次官補代理パトリシア・ハリソンは、時に、けわしい坂道で巨礫を永遠に上に持ち上げ続ける憂き目にあわされたギリシャの王シジフスの様に、その巨礫を再び下に転げ落とさねばならないかのように感じることがあるとU.S. Newsに語った。ハリソンは言
う。「ワシントンが学ぶべきことは冷戦時代にあります。世界の問題は我々にとって重要で、アメリカは常時関与し続ける必要があるのです。決して勝利宣言はありえません」彼女はそう警告する。「これが歴史の終わりだと宣言して、帰国するということはしません。我々の任務は、巨礫を上へ上へと持ち上げ、投資を続け、関与を継続することなのです。」

協力:アーミル・ラティフ、ケヴィン・ホワイトロー及びジュリアン・E・バーンズ
http://www.usnews.com/usnews/news/articles/050425/25roots.htm

アラブの声ML 齊藤力二朗
http://groups.yahoo.co.jp/group/voiceofarab/


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