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5月20日―メディアを創る
元毎日新聞記者西山太吉氏の言葉
週刊朝日5月27日号に、毎日新聞の元記者である西山太吉氏の言葉が掲載されていた。外務省機密漏洩事件の主人公である西山氏(73)は、この4月に、国を相手に損害賠償と謝罪を求める訴訟をおこした。その心境を週刊朝日の記者がインタビューしているのである。
念のためにこの事件の概要をここに説明しておきたい。1971年の出来事である。私が外務省に入って間もない頃の出来事であるのでよく覚えている。当時毎日新聞政治部の記者であった西山太吉氏は、外務省の女性職員を通じ極秘の電信文を入手し、沖縄返還協定に「400万ドルの原状回復費を日本が肩代わりする」という密約があったことを記事で指摘した。その後この問題は楢崎弥之助氏(当時社会党衆院議員)よって国会で追及され大問題になった。しかし政府はその事実を否定する一方で、世間の関心を密約問題からそらせるために、西山記者は「ひそかに情を通じて女性職員をそそのかし、秘密文書を持ち出させた」ひどい記者だと攻撃、西山記者と女性事務官は逮捕されて終わった事件である。
その後2000年に公開された米国国務省の公文書によって、71年当時の日米両政府の交渉経緯が明らかになった。その公文書には、吉野文六外務省アメリカ局長(当時)の発言やサインとともに、返還土地の原状回復費400万ドルを日本側が代わって支払う事が、ハッキリと書かれていた。しかし日本政府は、その後も一貫して密約の存在を否定し続けている。最近では02年に福田康夫官房長官(当時)と川口順子外務大臣(当時)がいずれも会見などで否定した。
国家機密漏洩罪を犯した西山記者は犯罪者だ。だから罰せられた。しかし国民を裏切って密約を行い、しかも明らかなウソをついてその存在を否定続ける政府の罪がまったく問われないのはどう考えたらいいのか。西山記者がおこした訴訟を通じ「法の支配」がこの国でもまだ存在しているということを私は確認したいのである。
週間朝日に掲載されている西山氏の言葉を断片的に以下に引用する。
「・・・もう人生の最終段階だからね、最後にもう一度、国家権力の組織犯罪を追及することにチャレンジしようと思うんです。政府の閣僚たちが今も平然とウソをつき続けているんですよ。大変な問題だと思うんだけど、新聞はあまり取り上げないし、政治や外交に対する世の中の関心はあまりに低いもんだから、政府とすれば「時間もたっているしウソをついても埋没するだろう」と判断しちゃう。この問題を徹底的に究明してどう世論に訴えられるのかと考えると、もう提訴以外にないという決心に至ったんです・・・沖縄返還協定の第4条3項に、「400万ドルをアメリカが自発的に支払う」と書いてある(のに、その裏で、「400万ドルは日本が肩代わりする」という密約があったことが)アメリカ側の公文書のなかで書かれていた・・・今でも悔しいのは、あの刑事裁判が、密約の核心には何もふれずに経過したことです。私は国家機密の文書を入手して罪に問われたわけだから、機密がどんな性質なのかが精査されるはずだった。密約に違法性があるのか、国民に知らせるべき機密なのかが総合的に判断されるべきでしょう。でも検察がいかに政権の属領でしかないかがわかりました。密約の本質に関係なく、起訴状で「情を通じ」などと書き、男女関係が唯一の訴追要因になった。そこに目を向けることで外務省と一緒に犯罪を覆い隠したんです・・・司法もマスコミも社会も同調してしまった。ほんとに不条理だよ。密約という国家犯罪なんかぜんぶ忘れ去られて・・・」
私は当時の事をいまでもよく覚えている。忘れていないからこうして書いているのだ。
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