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05/18 15:15 変わらぬ貧困、国民に不満 国連PKO終了で試練
東ティモールの独立達成から二十日で丸三年。国連東ティモール
支援団(UNMISET)による平和維持活動(PKO)が終了し
、政府は国家運営の「独り立ち」を迫られる。しかし、貧困にあえ
ぐ国民の生活は改善されておらず、アルカティリ首相の政治運営に
国民の不満がくすぶり続けている。
「ハトゥン・アルカティリ」(アルカティリは辞任しろ)―。政
府が公立学校での宗教の授業を必修制から選択制に切り替える方針
を決めたことに、九割以上を占めるカトリック教徒が反発。首都デ
ィリでは四月下旬から五月上旬まで連日、数千人の住民が抗議デモ
を展開した。
近郊の農村からデモに参加したフランシスコ・ジェゼさん(58
)は「怒りを表すために来た。われわれの宗教に反対するなら、ア
ルカティリ首相は辞任すべき」と語る。
だが、辞任要求の背景にあるのは、宗教教育の問題だけではない
。
ジェゼさんは野菜やトウモロコシなどを作って生活するが、現金
収入はほとんどない。「彼らは多くの公約をしたが、生活は何も変
わっていない」と政府を批判する。
国連開発計画(UNDP)によると、住民の約四割は一日〇・五
五ドル(約五十九円)以下の収入しかない。政府は「五年間で貧困
のレベルを半分以下にする」と強気だが、独立当初から問題とされ
た若者の就職難も依然解決には程遠い。
政権与党の東ティモール独立革命戦線(フレティリン)は、かつ
ての海外亡命幹部と「国内組」が対立する。元内務省局長の党中央
委員、ビクトル・ダコスタさん(54)は「(モザンビークに亡命
していた)アルカティリ氏は国内で戦ってきた人たちの意見に耳を
貸さず、何でも自分で決定してきた。権威主義的で、かつての抵抗
運動の戦士たちは政府に満足していない」と指摘する。
一方、最近の原油価格急騰は復興の追い風となりそう。二〇〇四
―〇五年度のティモール海の石油・ガス資源開発による収入は、当
初政府予算の約三倍にあたる二億四千三百万ドル(約二百六十億円
)に膨らむ見通しだ。
ラモス・ホルタ外相は「既に石油・ガス収入から一億ドル以上の
剰余金がある。ことしの予算は前年度より30%以上増え、大半を
雇用創設やインフラ、教育、農業に充てる」と語った。(ディリ共
同=坂田進)
20050518 1515
[2005-05-18-15:15]
05/18 15:15 治安維持と開発が課題 独立の闘士に不満分子も
東ティモールの現状を国連東ティモール支援団(UNMISET
)の代表を務める長谷川祐弘(はせがわ・すけひろ)氏に聞いた。
UNMISETは二十日で任期が完了する。(ディリ共同=坂田進
)
―東ティモールは自立できるのか。
「民主的な政治体制を採り、基本的な民主主義の理念を尊重して
いくという機運ができた。それなりにやっていける。いかに治安を
保っていけるか、持続可能な経済成長と開発を行っていけるかが課
題だ」
―治安の現状は。
「インドネシアとの関係は友好的に進展し、国家間のレベルでは
問題がないと思われる」
「海外にいた知識人たちが戻ってきて政権の座に就いた。それに
対し、現地で独立闘争をしてきた人たちは政権から外されているこ
とが多い。きちんとした職もないということもあり、不満分子とな
っている」
―宗教教育をめぐって反政府デモが起きた。
「東ティモールは人口の95%がカトリック教徒で、インドネシ
ア統治時代も教会の力が強かった。国民の絶対的な信頼を受ける教
会が政府に対して挑戦したと言える」
―経済の課題は。
「貧困と失業が非常に大きな課題だ。同時に(貧富の)格差増大
が今後、大きな問題として残ると思う。国連の平和維持活動が行わ
れ、当初は何千人という現地の人たちを雇用した。それが縮小され
ることで、受益者も減ってきた。外国のプロジェクトに携われない
人は貧困にあえいでいる」
「外国の援助を頼りにするよりも外国からの資本投下の事業によ
って、民間部門がどんどん開発されていくことが一番の解決策にな
る」
× × ×
長谷川祐弘(はせがわ・すけひろ)氏 1969年、国連開発計
画(UNDP)入り。UNDP駐日代表など経て、2002年国連
東ティモール支援団(UNMISET)副代表。04年5月から東
ティモール担当国連事務総長特別代表とUNMISET代表。62
歳。
20050518 1515
[2005-05-18-15:15]
05/18 15:16 物価高で密輸横行 国境で発砲事件も
東ティモールの独立後、インドネシアとは関係改善が進む。ラモ
ス・ホルタ外相は「インドネシアとの関係は非常に良好。これは東
ティモールの平和と繁栄にとって重要だ」と強調。インドネシア側
の西ティモールに残る元併合派民兵が国境を侵入してくることも、
ほとんどなくなった。しかし、最近は物価高を背景に密輸が横行、
両国の懸案事項となっている。
国境付近では四月二十日、軽油を密輸しようとした東ティモール
人を追ってきたインドネシア軍が発砲。これに東ティモールの国境
警備隊(警察)が反撃し、インドネシア軍兵士一人が負傷する事件
も起きている。
東ティモールは外国からの援助などの影響もあって、物価が高騰
。ガソリン価格は一リットル当たり約五十セントと、西ティモール
側の約二倍になっている。このため、東ティモールにガソリンなど
の燃料や清涼飲料などを密輸するケースが後を絶たない。
北西部バトゥガデにある国境警備隊のサトゥルニノ・ディアス副
司令官(27)は「ほとんど毎日、密輸者を拘束している。時には
三十人ぐらいのグループを拘束することもある」と語る。
国連東ティモール支援団(UNMISET)に代わり、二十日に
発足する国連東ティモール事務所(UNOTIL)は百三十人の規
模。平和維持活動はしないが、インドネシア軍に比べ経験や能力が
不足している国境警備隊を訓練するため顧問三十五人が配置される
。(ディリ共同=坂田進)
20050518 1516
[2005-05-18-15:16]
05/18 15:16 東ティモールの歩み
東ティモールをめぐる主な動きは次の通り。
1974年4月 ポルトガルが植民地支配を放棄
76・7 インドネシアが併合を宣言
98・5 スハルト政権崩壊
99・8・30 インドネシアからの独立を問う住民投票、独立
派が圧勝
9・20 多国籍軍が東ティモールに展開
10・25 国連安保理が国連暫定統治を決定
2002・4・14 大統領選投票、グスマン氏が圧勝
5・20 国連暫定統治が終了し独立
12・4 首都ディリでデモが反政府暴動に発展
05・5・20 国連平和維持活動(PKO)が終了
(共同)
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[2005-05-18-15:16]