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イラクは内戦状態? レジスタンス激化 2005年5月17日(火)
http://www11.plala.or.jp/jins/index.html
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【イラク・4件の自爆テロで71人死亡、100人以上が負傷】
「イラク各地で11日、計4件の自爆テロが相次ぎ少なくとも71人が死亡し、100人以上が負傷した。ロイター通信が伝えた。武装勢力は国内各地で攻撃を激化させており、過去2週間の犠牲者数は400人近くに上っている」
・・・(毎日新聞) - 5月12日
1月30日の国民議会選挙のあと、一般的な見方としてはイラクのテロ攻撃は下火になるだとうというものであったし、米軍のアビザイド中央軍司令官も「武装勢力は一般市民の支持を得られず、その力は衰退しつつある」という楽観的見方をしていた。また「2005年末には、イラク政府の治安部隊が力をつけ、治安維持を担うことになるだろう」という見方を示した。ところが、事態は却って攻撃が激しさを増し、死傷者数も増大している。
これら抵抗勢力によるとみれらる攻撃のニュースを時系列で見てみると、
5月1日:【バグダッドで武装勢力の攻撃続く、少なくとも9人死亡】
5月3日:【バグダッドで3件の自動車爆弾攻撃、少なくとも8人が死亡】
5月4日:【<イラク>クルド民主党の地方事務所で自爆テロ、46人死亡】
5月5日:【バグダッドで24人死亡 兵士募集所や警察車列攻撃】
5月6日:【イラクのティクリートで自爆攻撃、警官7人死亡・15人負傷】
5月8日:【<イラク>バグダッド中心部で爆発、米国人含め22人死亡】
5月11日:【<イラク>爆弾テロ続発 11人死亡、23人負傷】
5月12日:【<イラク>自爆テロ相次ぎ、少なくとも25人死亡】
5月14日:【イラク西部で米兵4人死亡 自動車爆弾も相次ぐ】
5月15日:【イラクでテロ相次ぐ、全土で15人死亡】
5月17日:【<イラク>3カ所で爆弾テロ 市民ら11人が死亡
といった具合である。
このような情勢に対して、一部アメリカなどの専門家からはイラクが既に内戦状態にある、ないしは内戦に突入するかもしれない、という見方が出てきているようだ。
「『これはもう、内戦か?』元国防相の中東諜報員だったパット・ラングは、最近のイラク情勢についてこう解説する。『いまのイラクが内戦ではない、というのは政治的な詭弁です。われわれはもう長い間、イラクの内戦に巻き込まれています。抵抗勢力は路上爆弾をたくさん仕掛けて、米兵が基地から出られないようにし、新イラク政府の経済基盤や信用を破壊する作戦をとっています。そしてその間にも、ゲリラ勢力はますます強くなっています。時間がたてばたつほど、ゲリラにとっては都合がよくなるんです。昔からよく言われるように、【戦争を教える最良の学校は、戦場】なんですから』
また、イラク駐屯の連合軍でも働いていたニューヨーク大学のノア・フェ
ルドマン教授は、こう語る。『イラクは内戦勃発のきわどい瀬戸際まできていると思う。武装勢力は日に日に力を増してきている。戦闘が少ない日は、彼らが次の猛攻に備えて、態勢を整えているだけである。
ひょっとしたら、武装勢力による今の攻勢は、彼らの最期のあがきである可能性がないわけではない。しかい現実的には、われわれが抵抗勢力に勝ちつつあるという確固とした証拠は、どこにも見あたらない。それと同時に、武装ゲリラ側が、われわれを打ち負かすことができないという証拠もないのだ』」 NEWSDAY.COM May.12
しかしイラク人一般は内戦を極力避けようという意志を継続して持ち続けてきている。イラクが内戦となって喜ぶのはイスラエルとアメリカであるという認識はかなりの一般イラク人の共有するところである。したがって誰がイラクの内戦をもたらす状況を作り出そうとしているのか、と言う観点からこの情勢を分析すべきであろう。
武装勢力とかテロリストとか呼ばれている抵抗勢力は実質的には共和国防衛隊を中核とするイラク軍人であり、戦車や大砲を使用する正規戦を早くに放棄し、都市ゲリラ戦に移っての攻撃をしてきたのが今までの状況であった。外国からの志願兵は数百人規模と見られている。そうであればこそ、毎日70件から100件の攻撃が可能と言えるのである。ゲリラ活動というものは民衆の支援・支持が無くては不可能であることを思い起こさねばならない。従って、そういうゲリラ兵たちが自分たちを支援してくれる一般イラク人を攻撃することはまずありえないということを知らねばならない。米軍が戦車の前方に子供たちを乗せて走行することを戦術として取っている場合があり、その場合にはゲリラ攻撃を受けていないので有効と判断し彼等は継続している。従って、例えばモスク付近とか市場付近での自動車爆弾の爆発などによる攻撃は、恐らくは停車してある車の内部に仕掛けられた爆発物をリモコンなどで爆発させていると見るべきで、全ての自動車爆弾による攻撃が自爆攻撃ではないはずである。そしてこういった、一般市民を数多く巻き込む可能性の高い攻撃はイラク人の都市ゲリラ攻撃ではなく、一般人の犠牲者を増やすことをもって抵抗勢力一般に対する嫌悪感を醸成する目的のための攻撃とみるべきでありむしろ米軍側による擬装攻撃とみるべきである。また一定の部族に対する攻撃をすることで、部族間の反目を醸成し彼等部族間同士の憎悪をかき立てることをもって、イラクを内戦状態に持って行こうと考えていると判断すべきであろう。
これがアメリカの「専門家」たちのイラク情勢判断としての「内戦の危機」と連携し実際にもイラクの内戦は避け得ないのではないか、という雰囲気を醸成するようになっているものと思われる。
イラクが内戦状態になって一番利益を得るのはアメリカでありイスラエルである。つまりイラク人同士が殺しあうことで、イラクというアラブの強国が分裂瓦解し、弱小国家群になれば、アングロ・サクソンの伝統的統治方式である「分割して統治せよ」が実現することになるからである。
従ってイラクの将来はこのアメリカのイラク分裂の工作に対し、イラク人がどこまで抵抗しイラクの一体性を保持し続けられるかにかかっていると言えよう。(K.I)