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ベルリンの『不愉快な記念碑』:「なぜユダヤ人だけ?」(エル・ペリオディコより)
【この投稿はホロコースト板にしようか、戦争板にすべきか、で散々迷いましたが、単にホロコーストだけではなく、第2次大戦とその後の現在に至るまでの経過全体と深く関わっている、と判断し、戦争板に貼り付けることにしました。疑義があるとは思いますが、以上の点とこの投稿の中身からご理解ください。なお、私は「ホロコースト板」は「ホロコーストの検証」に関わる投稿のために設置されたもの、と理解しており、それはそれで尊重します。】
カタルーニャの地方紙エル・ペリオディコは、昨日ドイツの首都ベルリンで公開された「ホロコースト記念碑」について、次のような記事を掲載しています。
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http://www.elperiodico.com/default.asp?idpublicacio_PK=5&idioma=CAS&idnoticia_PK=209526&idseccio_PK=7&h=050511
『不愉快な記念碑』(Monumento incómodo)
2005年5月11日 エル・ペリオディコ
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(下のUrlは「記念碑」の写真:2枚:エル・ムンドより)
http://colt.cache.el-mundo.net/elmundo/imagenes/2005/05/10/1115729204_0.jpg
http://colt.cache.el-mundo.net/elmundo/imagenes/2005/05/10/1115729204_extras_ladillos_1_0.jpg
以下にこの記事の概要を書いておきます。上の写真を参考にしてください。
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『不愉快な記念碑』
・ ユダヤ人の栄誉のみを称えるベルリンのホロコースト記念碑は一部の人をいらだたせる
・ その落成式はこの国の反ユダヤ人感情の復活と同時
ゴンサロ・カセレス(GONZALO CÁCERES)
ベルリン
昨日ベルリンの中心部に、米国の著名なデザイナーであるピーター・アイゼンマン(Peter Eisenman)策のホロコースト犠牲者を記念する記念碑が落成した。
国会議長で社会民主党のウォルフガング・ティエルセ(Wolfgang Thierse)は、この記念碑の目的を「人種主義とアンチ・セミティズムという根の深い問題に行き着くために、不愉快で逆説的で挑発的な記念碑を作ること」(原文:el objetivo fue "hacer un monumento incómodo, controvertido y provocador para ir a la cuestión de fondo: el racismo y el antisemitismo")であると考える。
これは2711個のコンクリートの塊であり、ブランデンブルグ門に隣接しヒトラーが自殺した地下壕にも近い20000平方メートルの土地に並べられている。それぞれの塊は8トン近くある。
この記念碑建設は、ベルリンの壁が崩されて以来、様々な議論を呼んだ。元首相のヘルムート・コールは「尊重はするが巨大趣味だ」と批判した。
一体なぜ、この記念碑がユダヤ人だけのものであり、政治犯、ジプシー、ホモ、心身障害者、子供たちが含まれないのか?(原文:¿Por qué un monumento que sólo recuerda a los judíos y no a los políticos, los gitanos, los homosexuales, los minusválidos, los niños asesinados por los nazis con fines experimentales?) ティエルセは主張する。「我々は決して彼らを忘れていない。しかしここでは、ユダヤ人の絶滅の意図が強調される。地上から一つの民族を消し去ろうとする、ナチによる最悪の犯罪だからだ。」
ドイツ大統領ホルスト・ケーラー(Horst Köhler)によると「これはドイツのアイデンティティの一部となる一つの責任だ」「忘れずに同様の恐怖を繰り返さない」という意思の表明であると語る。首相のジェラルド・シュレーダーも「不正、暴力、反ユダヤ主義、人種主義、排外主義が復活することを望まないし許さない」と強調する。
しかしそれは時間と共に悪化している。ドイツのユダヤ人協会会長ポール・シュピーゲル(Paul Spiegel)は「反ユダヤ主義は潜在しており極右政治運動を作ろうとしている」と強調する。
【後略】
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まあ、『自虐史観』なんて生易しいレベルじゃないね、これは。写真をご覧になっても分かるでしょうが、逆に、わざと反ユダヤ主義を挑発するのが目的じゃないか、と疑いたくもなる・・・。
このティエルセ議長の『その目的は「人種主義とアンチ・セミティズムという根の深い問題に行き着くために、不愉快で逆説的で挑発的な記念碑を作ること」である』という言葉は、何とも苦しいですね。というか、ほかに言いようが無いのかもしれません。これが現在ドイツが置かれている立場なのでしょう。
このエル・ペリオディコ紙は以前にも「膨らみつつある反シオニズム・反イスラエルは、反ユダヤ主義ではない」という内容の社説を掲げたことがあるのですが、他の新聞がこの「記念碑」を主催者の公表どおりに垂れ流しているときに、この国会議長の言葉を引用して『不愉快な記念碑』という見出しを掲げ、『一体なぜ、この記念碑がユダヤ人だけのものであり、政治犯、ジプシー、ホモ、心身障害者、子供たちが含まれないのか?』という一文を発表するだけの良識を持ち合わせているようです。
なお、ナチスとシオニストがイスラエル建設のためにいかに協力し合っていたのか、に対する分析は、もっともっと多くの人から強調されなければならないでしょうね。この点に関しては欧州における第2次世界大戦の全体像に関わる話ですので、「ホロコースト板」よりもむしろ「戦争板」のほうがふさわしいと考えます。