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NPT再検討会議決裂
米国の「使える核」開発が波及
核保有国が増えている
http://www.bund.org/editorial/20050615-1.htm
5月27日、国連本部ビルで開催されていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議が、何一つ合意できずに閉幕した。「使える核」開発進める米国、増え続ける核保有国、核拡散が止まらない。
核使用の権利主張する米国
NPT条約は第6条で、締結国に「誠実に核軍縮交渉を行う義務」を規定している。しかし、米ソ冷戦終結後も核軍縮は遅々として進まず、インドやパキスタンなど核保有国はむしろ増加してしまった。昨年、パキスタンの核の父・カーン博士は、「核の闇市場」を通じてイランやリビア、北朝鮮に核技術を提供したことを認めた。実際、今年2月には北朝鮮が核兵器の保有を宣言、イランによる核開発疑惑もとりざたされている。
かつてない核拡散の危機の中で開催された今回のNPT再検討会議は、解決すべきいくつもの課題に直面しながら、「最終文書」など具体的な成果をなにひとつ上げることができないまま4週間の会期を終えた。最終文書に「核兵器の全面廃絶に対する核保有国の明確な約束」という文言が明記された前回の会議(2000年)に比べても大きな後退だ。
NPT再検討会議が決裂した最大の要因は、核軍縮や核の使用制限につながるあらゆる案件に、ことごとく米国が反対したことにある。会議に出席した日本の美根慶樹ジュネーブ軍縮大使すら、決裂について「核保有国の責任は大きい。米国は特に重要」と米国の姿勢を批判している。
核軍縮について話し合う第1委員会では、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を求めた委員長草案に対し、米国のサンダース軍縮大使は「(CTBTを)支持せず、締約国になるつもりもない」と断言。新型核兵器の開発に歯止めをかけようとする文書の採択にも反対の立場を明らかにした。核配備拡大防止のために「核保有国は、非保有国との間で、軍事目的での核の共有を控えるよう求める」とする案も、同盟国への戦術核配備の足かせになるとアメリカは拒否を貫いた。
原子力の平和利用について議論が行われた第3委員会では、アメリカから核先制攻撃の脅しを受けているイランが、「平和目的の核施設への攻撃や威嚇は国際法上の懸念」という95年の合意を再確認するよう求めたが、米国はこれにも同意せず会議は紛糾した。
最終日の27日の本会議では、日本やカナダなど20か国以上が、何の合意もできなかったことへの遺憾の意や失望感を強調したが、米国とイランは「条約違反」「会議の失敗を望んでいた」と最後まで互いを罵りあった。
日本に核五千発分のプルトニウム
NPT再検討会議が決裂した原因の一端は日本にもある。再検討会議の開会演説で、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は、核拡散防止のためにウラン濃縮・プルトニウム再処理施設建設を5年間凍結することを提案した。ところが日本は、「(凍結は)核不拡散体制の強化に役に立たないばかりか、長期的なプログラムに基づく原子力の平和利用活動を阻害する」とこれを突っぱねた。青森県六ケ所村ですすめる使用済み核燃料の再処理事業が頓挫することを恐れたためだ。
日本は海外で再処理中のものを含めると、すでに40トンのプルトニウムを保有している。その量は核爆弾5000発分に相当し、先ごろロシアが公表した核弾頭保有数4732個をも上回る。六ヶ所村再処理工場が稼動すればさらに毎年核爆弾1000発分のプルトニウムが生み出されることになる。日本は非核保有国で最初の大規模なプルトニウム再処理をはじめようとしているのだ。
日本のプルトニウム保有量が増大するにつれ、「日本は核武装するのではないか」と世界の人々、とりわけ近隣の東アジアの国々は不信と脅威を感じはじめている。韓国内には、「日本は4週間以内に核武装が可能」(国際原子力機構IAEA議長の経験もある韓国の核物理学者・鄭根謨氏の発言)といった日本の核保有国化への警戒心が根強い。日本が「唯一の被爆国」として、世界の核軍縮・核廃絶をリードしていくためには、世界に核武装化の危惧を抱かせるような大量のプルトニウム保有は見直すべきだ。
そもそもNPT体制は、米・露・英・仏・中の5か国にだけ核兵器保有の権利を認め、他の国には禁じるという矛盾した体制だ。この矛盾した体制がなんとか維持されてきたのは、前回のNPT再検討会議の最終文書にも明記されたように、まがりなりにも核保有国が核廃絶を約束してきたからだ。
ところが世界最大の核保有国=米国は、CTBT批准を拒否した上に、核バンカーバスターの「使える核兵器」開発をすすめ、「核廃絶の誓約」を完全に反故にしてしまった。非核保有国は、「核廃絶の約束」を反古にした米国などの核保有国を批判。インドやパキスタン、イスラエル、北朝鮮など、紛争を抱える国の中には核保有を選択する国が出はじめている。核軍拡の悪循環を止められない限り、核拡散は止まらない。
米兵戦死の実態隠蔽する米軍
米軍占領下のイラクでは、戦争終結宣言から2年以上が過ぎた今も、戦争とテロの悪循環の拡大が続いている。4月28日のイラク移行政府の発足後、武装勢力による車爆弾を使った攻撃は5月だけで143件に達し、イラク人の死者は700人を超えた。1か月間の死者数としては戦後最多だ。米軍もこの1か月で70人以上が死亡している。
深刻化する治安の悪化に対しイラク国防省は、5月29日から首都バグダッドにイラク治安部隊4万人と米軍1万人を動員、「稲妻作戦」と名づけた大規模の武装勢力掃討作戦を開始した。これに対し武装勢力側は掃討作戦への報復を宣言し、内戦状態がさらに激化している。
この作戦の最中の5月30日、米軍は、スンニ派を代表する穏健派政党「イラク・イスラム党」のモフセン・アブドルハミド党首をバグダッドの自宅で逮捕した。イラク・イスラム党は今年1月の暫定国民議会選挙には参加しなかったものの、憲法制定作業や今年末に行われる国民議会選挙には参加を表明しており、スンニ派の協力を求める移行政府にとっては、欠くことのできない存在だ。
アブドルハミド党首逮捕の報に、移行政府のジャアファリ首相は「何かの間違いだ。同党首は我々のパートナーだ」と抗議。タラバニ大統領も「断じて受け入れられない」と即時釈放を求めた。米軍当局も誤認逮捕と「遺憾の意」を表明し同党首を釈放した。いまやイラク米軍は誰が敵で誰が味方かも分からなくなるほど混乱と消耗を深めている。
イラク駐留米軍の死亡者は開戦以来1600人を超えた。米国内では厭戦気分が高まるのを恐れ、イラク米兵の犠牲の実態が隠蔽されている。米紙ロサンゼルス・タイムズの調べによると、昨年9月から今年2月までの半年間に死亡した米兵や軍関係者は559人にのぼるが、米主要8紙誌で米兵の死亡写真を掲載したのは1紙のみ、それも1回だけだった。同期間、イラク人死者の写真は、ニューヨーク・タイムズで30回など各紙で盛んに掲載されていたのにだ。
昨年、米国防総省は、星条旗でくるまれた米兵のひつぎの写真の撮影を「プライバシー保護」を理由に禁じた。米兵戦士者続出の事実を隠そうとする米軍当局の報道統制によって、米国の新聞から米兵の死亡写真が消えてなくなっている。
さらに米軍は、米兵の犠牲を少しでも減らすために、民間の戦争請負会社への依存を深めている。ウガンダの日刊紙「モニター」によると、米政府から依頼を受けたウガンダの警備会社が、イラクなどでの警備要員1万人を同国内で募集中だ。イラク等で米政府関連施設や米軍基地の警備を担当し、毎月の基本給は500ドル(ウガンダの年間平均所得240ドル)。米国人を雇うよりははるかに安い。ウガンダの政府系日刊紙ニュービジョンは、「ウガンダはアフリカで、イラク戦争を明確に支持したほぼ唯一の国。優秀な警備要員を安く調達したい米国にとって、こんなに好都合な国はない」と分析している。
米兵の犠牲を少しでも減らすために、危険な任務は戦争請負会社に金を払ってアウトソーシング(外部委託)する。「正義と民主主義」が聞いて呆れるというものだ。
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歴代首相が小泉首相に靖国参拝中止を勧告
「私の信条から発している参拝に対し、他の国が干渉すべきでない。心の問題だ」「『罪を憎んで人を憎まず』は中国の孔子の言葉だ」などと、A級戦犯が合祀されている靖国神社への参拝にこだわり続ける小泉首相。その外交オンチぶりに、ついに日本の歴代首相が靖国参拝中止を「勧告」した。
河野洋平衆院議長は6月1日、議長公邸に5人の歴代首相(海部、宮沢、村山、橋本、森)を招き、小泉首相の靖国参拝について意見交換を行った。河野議長は、首相の靖国参拝によって日中、日韓関係が急速に悪化しているとして、これ以上靖国参拝を続けるべきではないとの考えを明らかにした。他の出席者も「首相の靖国参拝には慎重なうえにも慎重を重ねるべきだ」という意見で一致した。
中曽根元首相も3日、東京都内で講演し、「A級戦犯の分祀が現実的な解決方法だ。しかし(分祀に)時間がかかるなら、参拝をやめるのも立派な決断だ」とし、「日本国家全体の利益のため、(参拝が)どういう作用を及ぼしているかを考えることも大事だ」と指摘した。ちなみに自民党きってのタカ派でならした中曽根元首相だが、首相在任当時、中国・韓国からの批判をうけ靖国参拝を見合わせている。
小泉首相は靖国参拝に関して日本の文化とか伝統とか言うが、靖国神社は「明治2年」1869年に戊辰戦争で戦死した官軍(明治政府側)の戦死者を英霊としてまつるために明治天皇の命令でつくられたきわめて特殊な「神社」だ。「日本の伝統」でもなんでもない。戦争犠牲者を追悼するというのなら、沖縄・摩文仁(まぶに)の丘 の「平和の礎」のように、すべての戦争犠牲者を追悼する無宗教の施設をつくるべきだ。
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衝突事故起こした米兵 飲酒運転見逃した長崎県警 日本に警察権がない
長崎県佐世保市で3日未明、交通事故で日本の警察に逮捕された米兵を米軍が一時、佐世保米軍基地に連れ帰去るという事件が起きた。事件の詳細は次のようなものだ。
佐世保基地所属の上等兵曹テリー・リン・ペイス(39)は、同日午前零時半ごろ、佐世保市内の県道で乗用車を運転中にライトバンに追突、運転していた男性に軽傷を負わせた。駆けつけた長崎県警相浦署は、飲酒運転の疑いがあり検査を求めたが上等兵曹は拒否。そこで相浦署は業務上過失傷害で現行犯逮捕し、手錠をかけパトカーに乗せようとした。
ところがそこに、通訳とともにやって来た米軍のMPが立ちふさがり連行を実力で阻止。手錠をかけたままの上等兵曹を車に乗せて米軍基地内に連れ去ってしまった。上等兵曹は3日午後5時ごろ、MPに伴われ相浦署に出頭した。現行犯逮捕から15時間以上が経過していた。上等兵曹の飲酒運転の容疑は、もはや立証のしようがない。
米軍は、基地内に連れ帰ったことについて「治療の必要があった」「逮捕されたという認識がなかった」と説明。これに対して相浦署は当初「手錠もしており、逮捕されていない、という主張は理解できない。身柄の引き渡しを基地側に要請している」としていたが、夕方になって「当初から日米地位協定の合意事項に基づき米側と共同捜査しており、治療のため米側が連れ帰った。問題はない」と説明を一転させた。
日米地位協定によれば、米軍人・軍属が公務外で罪を犯した場合、日本側が現行犯逮捕して身柄を継続して確保できる。ところが相浦署は、現行犯逮捕した米兵をみすみす米軍に引き渡し、結局、飲酒運転の件はうやむやにされてしまった。これではまるで「植民地警察」だ。
(2005年6月15日発行 『SENKI』 1181号1面から)
http://www.bund.org/editorial/20050615-1.htm