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シバレイのblog 新イラク取材日記
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【9.11選挙】魔女狩りの政治学と漠然とした不安
「こうやって自由は死んでいくのね。万雷の拍手の中で」
― STARWARS EPISODE V より
「大衆もまた哀願するものよりも支配するものをいっそう好み、そして自由主義的な自由を是認するよりも、他の教説の並存を許容しない教説によって、内心満足を感ずるものである」
― アドルフ・ヒトラー『我が闘争』より
既に指摘があるように、今回の衆院選での自民党(小泉党)の圧勝は、小選挙区制の特性(欠陥?)によるものが大きいようだ。時事通信によれば、自民党の小選挙区での得票率では投票数全体の5割弱だったのに対し、議席占有率は7割強と、大きな開きがある(関連情報)。ここまで違いが大きいと「民意」を正確に反映するには、問題があるんじゃないか、とか思わざるを得ない。
ただ、もっと気になることある。次回の選挙で、小泉党が小選挙区制度により大敗する可能性もあるのだが、今回の選挙を観てると、問題は選挙制度だけなのか、とも思う。「国債発行額を30兆円以下にする」という公約を破棄しておきながら小泉シュショーは「これぐらいの約束を守らないことは大したことではない」と言い放ち、結局4年間で国債を170兆円分も発行し国家破産はもはや目前。そのツケは医療費などの削減、定率減税の廃止など庶民への負担増としてまわされる(しかも、それでも破綻回避は極めて難しい)ということが明らかなのに、無党派層、特に都市部の若年層は小泉党に投票した。「郵政民営化の是非を問う選挙だ」という小泉マジックにまんまとひっかかり、小泉政権の4年間を問うことなく、「白紙委任状」をシュショーに与えてしまったのである。たとえ、これから小泉政権が失政・暴政の限りを尽くしても、果たして日本において民主主義が正常に機能するのだろうか、次回の選挙でもまた同じ過ちを繰り返すのではないか、という不安がぬぐいきれないのだ。
近現代においては、独裁者が民衆の熱狂の中から「民主的」に生まれることもある。当時、世界で最も民主的な憲法とされたワイマール憲法の下でヒトラーが台頭し、最後には憲法そのものが民衆が支持した独裁者によって破壊されてしまったように。米国でも、イラク戦争開戦時、7割超という米国民がこの侵略戦争を支持し、戦争の大義が完全に崩れ去った後も、ブッシュ大統領は再選され現在もイラクでは戦闘が続いている。そして、今回、日本では「民主的」な選挙の結果として、衆院の全議席の3分の2以上を占め、あらゆる法案を可決できる事実上の小泉独裁体制が誕生してしまった。
民衆が独裁者を熱狂的に支持する時、共通するものがある。それは、人々の不安の「原因」として罪をかぶせられる対象、怒りをぶつけられる対象を民衆に与え、断罪することで独裁者は力を得るということだ。つまり、魔女狩りである。ヒトラーの時はユダヤ人、ブッシュ大統領はテロリスト、小泉首相の場合、「抵抗勢力」であり郵政民営化に反対する者達である。この時、人々にとって重要なのは、本当にユダヤ人だけが悪いのか、元々アルカイダと関係ないイラクに戦争をしかけて世界は平和になるのか、小泉シュショーの「改革」で人々の生活が良くなるのか、と問うことではない。小泉支持層が衆院の解散や「刺客」作戦を歓迎したように、崇拝する指導者が「魔女」に仕立て上げた者達に「裁きを下す」ことにこそ、人々は狂喜し万雷の拍手を送るのだ。それが本当に「魔女」なのかと問う者も「魔女の仲間」として糾弾する極端な善悪二元論が社会に蔓延り、それはマスメディアや現代においてはインターネットによっても拡大再生産されていく。
そう、今の日本は非常に危うい気がする。小泉党が圧勝し独裁体制が築かれたこと自体にも危うさを感じるが、それ以上に小泉党を勝たせた世相に対し、漠然とした不安を感じてならないのだ。
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