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特報
2005.09.17
就職活動中の学生に聞く なぜ自民
「こちら特報部」は、自民党を歴史的大勝に導いた一因となった若者の意識を探るため、今週初め、フリーターらが集まる渋谷センター街や秋葉原で“雰囲気”をルポした。今回はその第二弾。シューカツ(就職活動)で社会人入りを目指す学生さんに聞いた。小泉自民を支持したワケは何ですか?
「二大政党といわれるが、自民党と民主党の違いは非常にあいまいだった。郵政民営化でも民主党は縮小論を唱え絶対反対じゃない。同じことをやるなら与党でいいと考えるのは普通じゃないですか」
不動産業界への就職を目指す埼玉県越谷市の法政大学法学部三年(21)は自民党に票を投じた理由を説明する。
「野党なら自民党の掲げる小さな政府に対し、大きな政府とか、小泉首相が国民に押しつける“痛み”に対抗する社会福祉制度の充実とか対立軸を訴えるべきだった」と振り返る。
テニスサークルにいたが、来月には会社主催の説明会が相次いで始まる。早ければ来年四月には就職先が決まる。今は就職戦線の嵐の前の静けさだ。
「民主党の岡田さん(代表)は日中、日韓関係にかなり配慮し、外交は良くなるかもしれない。しかし個人的には、相手国に屈しないことが重要。靖国問題でも小泉さんはブレないのがいい」
同じく不動産業界を目指す川崎市の青山学院大法学部四年(22)は新聞を熟読し、各党の政策を比較した末、自民党を選んだ。
■「改革を訴える政権党に驚き」
「今まで政権をとってきた党が自己改革を訴えるのに正直驚いた。昔からの因習、慣習や、汚職、暴力団との絡みから解放されることが重要。小泉首相の『自民党をぶっ壊す』という言葉を信じた。それに政権をとったことない民主党に任すにはあまりに信用できなかった」と明かす。
二百九十六議席の圧倒的大勝。「勝ちすぎたと思う。参院選でこの反動は絶対来るでしょう。でも勝ちすぎたから今度は民主という考えも間違っている。白紙に戻り、選挙の日にまた考えたい」
厚生労働省と文部科学省がまとめた大学卒業者の就職状況調査(四月一日現在)によると、今年三月に卒業を予定していた大学生五十五万二千人のうち、就職を希望していたのは三十六万七千人。このうち就職(内定)が決まったのは三十四万三千人だった。就職率は前年同期を0・4ポイント上回る93・5%だったが、二万四千人の働き先は決まらなかった。相変わらず就職氷河期は続いている。
国税庁などの国家公務員を目指すため公務員試験の予備校に通う東京都杉並区の明治大学法学部三年(21)の女子大生は「政治に関心が出てきた高校三年のころは森喜朗前首相が批判を集め自民党に対する不信感を感じていた。それが小泉首相の誕生で、自分自身の気持ちががらっと変わった」と強調する。
「コマーシャルでも岡田さんは、左右からいろんな言葉が出てきて何を言っているかさっぱり分からなかった。小泉さんは真ん中で改革を訴えうまかった。岡田さんはまじめな優等生。でも優等生は普通それまでのものを変えないでしょ。壊す、改革という言葉の対極イメージでもあった。民主党のあやふやさに政権政党としての信頼を感じることができず、かえって自民党を際立たせていた」
自公が連立し、全議席の三分の二にあたる三百二十七議席を確保したことには「公明党は創価学会が支持母体で政教分離の観点から問題があると思う。過半数を確保したなら単独与党になってほしいが、次の選挙の揺り戻しを考えればできないんでしょうね」
小泉首相が来年九月の任期いっぱいの退陣を明言する中、ポスト小泉をめぐり、政治状況の流動化も予想されている。
「自分は小泉党。だからそれ以降は、同様に改革を進めてくれる人でないと支持できない。民主党だって小泉さんみたいな人がバシバシやってくれたらそれでもいいと思う」
■「郵政から先が見えていない」
若者の心を強くひきつけた「改革」の二文字。評論家の室伏哲郎氏は「僕にも二十代の息子が二人いますが、小泉支持もいいところですよ。僕が反論しても『お父ちゃん、時代遅れだよ』って言われました」と、実感をにじませて話す。
室伏氏は「若い人たちは失業率の高さやニートの問題を肌で感じてきているので『日本は変わらなきゃいけない』と考えている」と一定の理解は示しつつも「しかし支持する論拠は薄い」とこう苦言を呈する。
「若い人たちは理論立てて考えないで、『改革』を文字通り受け取っているわけですよね。これから税金も年金も、ますます厳しさを増していくのに、小泉首相は一年後に、とんずら決めるわけですよ。『郵政民営化が改革の入り口』と言っているが、その先が見えないことに気付いていない」
民主党が若者の目には頼りなく映ったことも、自民党支持を高めたと言えそうだ。
内田満・早稲田大学名誉教授は「最も象徴的なのがスローガン。自民党の『改革を止めるな』の迫力に対し、民主党の『日本を、あきらめない』は、何を言っているのか、どんな日本にしたいのか見えてこない」。
他にも候補者がマンネリ化した民主党に対し、次々と若者が喜びそうな人材を送り込む自民党。「クールビズ」の小泉首相に対し、ネクタイを締めた岡田代表−などを挙げた。
改革は求める、しかし、岡田代表および民主党に国を委ねるのは不安。そんな若者の心理については、こう推察する。
「今までは、若者の無党派層は反自民だったんですがね…。経験がないけど、やらせてみようと考えるのが若者で、まだ危なっかしいから成熟を待とうというのは高齢者の考え。それが逆になっているのが不可思議といえば不可思議。改革するために政権を変えるのではなく、与党に変えてもらおうとするところに、今の若者の保守性を感じる」
一方、教育評論家の尾木直樹さんは「こう言うと若者は怒るでしょうが、(小泉戦略に)まんまと乗っかってしまったところに危うさを感じる」と嘆くが、「本来、若者は改革や前進が、本能的にぴったり合うものなんです。今の若い人はそういうことを口に出して言わないが、やっぱり改革を求めていることが確認できて、希望を見いだせた」と、若者の志向性に一定の評価を見せる。
「若者の改革志向がはっきり確認できたことで、大人が若者ときちんと向き合い、政治以外のあらゆる分野で共に改革を進めていける」というのだ。
尾木氏は「しかし、重要なのは『何が改革なのか』一歩踏み出して考えることで、改革によって、自分たちの生活がどうなるのか考え、これまでの(小泉政権の)四年間を検証する視点を持つことが重要だ」と強調する。
特報部が十三日の「20代のココロ」で紹介したように、今回の総選挙の出口調査によると、比例代表の全国十一ブロック別投票行動で、二十代前半は北海道を除く十ブロックで自民党が最多割合を示し、三十代、四十代より高い“自民寄り度”を示した。
若者の期待を一身に集めた小泉首相に尾木氏は、こう注文する。
「小泉首相は、これから若者の声を取り入れ、参画させて、改革に生かしてほしい。それをせずに、若者の期待が失望に変わった時が歴史的に見ても怖い」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050917/mng_____tokuho__001.shtml
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