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下村健一
http://www.ken1.tv/message/message050912.html
ああ、《憂》政−−−強大なリーダー願望に走った日本国民
2005年9月12日
TBSの社員を辞して以来ここ5年、僕は開票速報の特番を、いつも自宅でじっくり観戦させていただいている。昨夜もそうしながら、自分の胸によぎった思いを、鮮烈なうちにここに書き留めておきたい。(朝8時記す)
まさかここまで、凄まじい事が起こるとは! TVに刻々映し出される事実展開を呆然と見つめながら、「信じられない…」と声に出してつぶやいてしまったのは、久し振りである。前回同じ体験をしたのは、4年前。奇しくもちょうど同じ、 《9月11日の夜の報道特番を見ながら》だった。
航空機の突入で、崩れ落ちるニューヨークの摩天楼。それは、その国(前回の場合は米国)の政権トップが、ものすごく強い権力を手中に収めることになる、きっかけのシーンだったという点でも、昨夜とそっくりだった。
あの日以来、ブッシュ大統領は、「我々側につくか、テロリスト側につくか」という極度に単純化した二者択一のスローガンを駆使して、国民の高い支持を取り付け、突っ走ってゆく。まったく同じように小泉首相も、今日から更に「改革、賛成か反対か」のフレーズを次々に繰り出して、高支持率を維持しながら走ってゆこうとするだろう。怖いぐらいに、似ている。
しかし、一時の熱狂は、時間の経過とともに必ず冷めてゆく。今、ブッシュ大統領の支持率は、ズルズルと下がっている。それを見ている小泉首相は、当然、同じ轍は踏むまいと考えているはずだ。
長期政権化で人気を落としてゆくよりは、公言している通りあと1年でスパッと辞めて、絶対避けて通れぬババ(消費税アップ問題の処理など)は次期首相に引かせる。かくて、次期首相がすっかり憎まれ役を負わされて人気がドン底になったところで、復帰待望論の中で満を持して再び次々期首相として返り咲く。
−−−物事を単純に考えることの天才である(とお見受けする)小泉さんが、こんなシナリオをも大雑把に思い描いている可能性は、ゼロでは無い気がする。
本稿に「《憂》政」というタイトルを掲げたのは、別に、反自民・親民主という意味ではない。別に何党だろうと、政界にあまりにも独走可能な巨大勢力が出現することに、僕は憂いを覚える。そして、好むと好まざるとに関わらず、この状況に有力な歯止めをかけることが出来る現実的勢力は、今の所、民主党しか存在しない。(その点まで、米国と同じ!) 上記シナリオに沿って言うならば、次期首相が倒れるタイミング(つまり、“次の次”)が、民主党が照準を定めるべき今度の機会なのかもしれない。
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