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「それでも、郵政民営化は必要だ」。小泉純一郎首相が、自身をイタリアの天文学者、ガリレオ・ガリレイになぞらえて突入した衆院選。恐らく小泉首相以外は、誰もが自民惨敗を覚悟した選挙は、一カ月後、自民党の圧勝で終わった。まるで、最初は誰も信じなかったガリレオの地動説が、その後、真理として定着したのと同じような展開だ。小泉首相は、なぜ自民党を勝利に導くことができたのか。その、潮目を探った。
(政治部・金井辰樹)
■解散前
小泉首相は、郵政民営化関連法案をめぐる攻防が激化し始めた六月末以降、他の党幹部たちと違うことを考えていた。
執行部は、造反議員を何とか最小限に食い止めて法案を可決させようと奔走。マスコミも、国民の目も、自民党の「内ゲバ」に集中していた。
しかし、小泉首相は「静」を貫いた。自ら反対派説得に乗り出さない首相に不信感を持つ党幹部さえいたほどだ。
この時、首相が目を向けたのは野党第一党の民主党。「改革、改革と言いながら、政局のために民営化に反対し、対案すら出さない。許せない」と、敵意をむき出しにした。
政権発足当初は、民主党と連携して自民党内の「抵抗勢力」と対抗するような姿勢をみせたこともある小泉首相。しかし、先の通常国会での国会審議を進める中で、「本当の敵」は民主党だと確信を持つ。少なくとも、民主党を抵抗勢力と決めつけ、国民を味方にして選挙を打てば、勝機ありと判断していた。だから、反対派の「票読み」の成り行きには、他の幹部ほどこだわらなかったのだ。
■解散
法案が否決。解散が決まると、小泉首相はただちに、全選挙区に民営化賛成の候補を擁立するよう指示する。この方針は反対派への「刺客作戦」と物議をかもし、党内からも「民主党に漁夫の利をさらわれる」という懸念の声があがった。
だが、小泉首相にとって、全選挙区で擁立する候補は、むしろ民主党への「刺客」だった。
この首相の思いを当初は武部勤幹事長ですら十分に理解していたとはいい難い。小泉首相からの厳命を受け、作業は進めていたが、実際に実現できるか半信半疑だった。
ところが、次第に異変に気づく。急場しのぎのように実施した候補者公募に、八百六十二人もの応募があったのだ。
「郵政民営化の賛成か、反対かを問いたい」と、国民に直接語りかける小泉首相のメッセージは、従来の自民党では届かない層まで響いていた。武部氏は「自民党ではなく、新しい政党の幹事長になった」という錯覚をおぼえたという。
吹っ切れたように候補者擁立を進める武部氏。小泉首相は「君は(対立陣営に恨まれているから)防弾チョッキをつけないと危ないな」と言い、うれしそうに大柄な体を見つめた。
■公示後
選挙は、どちらかが有利と報道されると、不利な方に同情が集まるアンダードッグ(負け犬)効果が出る時と、有利な方に加担しようというバンドワゴン(勝ち馬)効果が出る時がある。今回の衆院選は、典型的なバンドワゴンだった。
これまで民主党支持者の多かった都市浮動層の中では、日を追うごとに自民党支持が広がった。都市住民ほど自民党が強くなるという「逆1区現象」は、今回衆院選のキーワードになった。
これまで、政治的動きを好まなかった企業も、こぞって「小泉構造改革」支持を打ち出した。
競い合うようなバンドワゴン現象が、自民党の歴史的勝利を生んだ。そして、その原点は小泉首相が党内の反対派ではなく、本来の敵、民主党を強く意識していたところに見いだすことができる。
小泉首相の唱える郵政民営化が、ガリレオの唱えた地動説のように真理なのかどうかは、まだわからない。しかし、一カ月前、郵政民営化反対派や野党、そしてマスコミが「自爆テロだ」と批判した「郵政解散」が、文句のつけようのない妙案だったことだけは、選挙結果が実証した。
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