★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK14 > 358.html
 ★阿修羅♪
日本の所得格差指数、貧困率は何故高いのか(連合総研)
http://www.asyura2.com/0505/senkyo14/msg/358.html
投稿者 kerogaso 日時 2005 年 9 月 12 日 21:32:10: 9br6ZD/XKVfwo
 

(回答先: 日本人は騙されている 投稿者 kerogaso 日時 2005 年 9 月 12 日 20:29:30)

日本の所得格差指数、
貧困率は何故高いのか

連合総研 「視点」より
http://www.rengo-soken.or.jp/dio/no197/siten.htm

No197 2005年9月

日本の所得格差指数(ジニ係数)はOECD25カ国(含むメキシコ、トルコ、ギリシ
ャ)のうち第10位、貧困率の高さは第5位と高位グループに属し、また日本のこ
れら指数は90年代後半に増大している。2005年2月公表の「OECD諸国における所
得分配と貧困」と題した「OECD ワーキング・レポート22」(OECD Social,Em
ployment and Migration Working Paper 22. www.oecd.org/els/workingpaper
s)は以上のような興味深い国際比較分析を示している。

 日本の所得格差は、当初所得(税・社会保険料控除前、社会保障給付加算前の
所得)のジニ係数が80年代初頭から着実に上昇しており、税控除・社会保障給付
を含む「再分配所得」のジニ係数についても変動しつつも上昇傾向にあること
(「所得再分配調査」(厚生労働省:最新年発表04年6月)はよく知られている。
そしてこの上昇傾向は、人口の高齢化による高齢者世帯の増加や単独世帯の増加
などの要因が大きいとされてきた。今回のOECD発表「ワーキング・レポート」は、
日本を含むOECD諸国のジニ係数、相対貧困率について国際比較を行なっているが、
そのなかで日本の所得格差について新たな特色を映し出しており、以下にその論
点を紹介したい。

 「レポート」は、OECD各国の世帯収入調査(日本は「国民生活基礎調査」)か
ら個人ベースの等価可処分所得(所帯可処分所得を世帯人数の平方根で除して各
世帯員に割付たもの)を算出し、このデータをもとにジニ係数(ゼロと1の間の
値でその値が大きいほど格差が大きいことを示す)、および相対貧困率を計算し
てその水準と時系列トレンドの国際比較を行なっている。

 まず、等価可処分所得によるジニ係数(以下:100倍した%表示)の2000年値
を紹介しよう。この係数ではメキシコ(46.7%)、トルコ(43.9%)が例外的に
飛びぬけて高く、次いで米国(35.7%)、イタリー(34.7%)、ニュージーラン
ド(33.7%)、英国(32.6%)などが高位グループを形成し、日本(31.4%)も
このグループに分類される。一方、ジニ係数が低い国(27%以下)は、デンマー
ク、スウェーデンなどノルデック4カ国である。中位水準(27%〜30.5%)グ
ループは、ベルギー、フランス、ドイツなどのEU諸国とカナダ、オーストラリア
などとなっている。

 所得の第9十分位(上から10%位)の第1十分位(下から10%位)に対する倍率
も試算されている。日本のこの倍率は4.9倍であり、メキシコ(9.3)、トルコ
(6・5)、米国(5.4)、ポルトガル(5.0)に続く第5位となっている(24カ国の
単純平均4.2)。

 OECD諸国の可処分所得のジニ係数は、80年代半ばから90年代半ばにかけて25か
国中の17カ国が拡大傾向を示し、この期間には単純平均で約6%の増大であった。
その後90年代半ばから2000年においては、係数不変が10カ国、やや増大が9カ国
で計算可能20カ国の平均では1%増で、近年には所得格差は安定しつつあるとし
ている。しかし、そのなかで日本のジニ係数は、英国とともに両期間とも増大傾
向にある。

 次に貧困率を見ると、中位者の等価可処分所得の50%以下しかない者を貧困者
と定義し、その貧困率を計算・分析している。日本のこの定義の貧困率は15.3%
(人口比率)であり、メキシコ(20.3%)、米国(17.1%)、トルコ(15.9%)、
アイルランド(15.4%)に次いで5位であり、24カ国平均10.4%からは5%ポイン
トも高い。年齢階層別の貧困率でも、日本のそれは全ての年齢階層で24カ国平均
水準を上回っている。特に76歳以上(23.8%:8位)、66〜75歳(19.5%:7位)、
51〜65歳(14.4%:3位)、18〜25歳(16.6%:4位)では5%ポイント以上も上回
り、順位数では若年層および壮年層における貧困率の高さが目だつ。

 日本の可処分所得ジニ係数、貧困率が高いのは何故であろうか。この「レポー
ト」の分析から、以下二つの要因が指摘できる。その一つは、政府の社会保障給
付(児童手当・失業給付・生活保護など現金給付のみを分析)および税による所
得格差の縮小策が、日本は他のOECD諸国に比べ極めて貧弱なことである。税・社
会保障給付を含めない市場所得のみによる貧困率と、税・社会保障給付を含めた
可処分所得の貧困率の2つを比較した分析(原図14)を行なっているが、それに
よれば、市場所得の貧困率では日本は、フランス,ドイツ、ベルギー、デンマー
ク、イギリス、アメリカなど主要な欧米諸国よりは低い。しかし可処分所得にお
ける貧困率では、日本は米国を除いた他の諸国の貧困率を大きく上回る結果とな
る。つまり、ヨーロッパ諸国は、税および社会保障給付によって低所得者の可処
分所得を引き上げ、貧困率を引き下げている。一方、日本はその再分配政策が極
めて弱く、その結果として可処分所得の貧困率は高くなっているのである。

 二つめの要因は、日本における広汎な低賃金(パート賃金)の存在がある。子
どもがいる片親世帯の貧困率は、日本よりも米国、英国、カナダ、オーストラリ
アまた地中海諸国が高いが、働いている片親世帯の貧困率は、日本がトルコとと
もに60%以上で群を抜いて高い(米国でも約40%)。また、生産人口における貧
困層においても日本は2人働き世帯所属の貧困者がその4割弱、1人働き世帯所属
の者が3割強を占め、無業者は1割強である。一方他の先進国の貧困層では、2人
働き、1人働き世帯所属の貧困者の比率は大幅に小さく、無業層が中心となって
いる(原図12)。さらに高齢者の貧困層においても、日本の場合には約半数が働
いており、他の先進諸国には見られない特異な特色を見せている。すなわち、日
本ではパートなど低賃金労働が広汎に存在し、この勤労層が低所得層を形成し貧
困比率の高さを生み出している。

 このようにOECDの「レポート」の国際比較分析は、日本の所得格差の特色を描
き出しており、その要因の一つは政府の所得再分配政策の貧弱さ、二つにはパー
ト賃金など低賃金層の存在を示唆している。日本では、パート職と正規職との賃
金格差が近年においては拡大し続けている。日本における所得格差問題の解決の
ためには、パート賃金の格差改善が極めて重要になっていると言わなければなら
ない。  <三沢川>

 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ       HOME > 政治・選挙・NHK14掲示板



  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。