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http://d.hatena.ne.jp/swan_slab/20050912
2005-09-12
+ 駝 鳥 +:自民党圧勝の光と影〜有権者は何を選択したのか
う〜ん。国民のバランス感覚などひとかけらもない結果のようですね。
恐らく、国民は、大選挙区制(中選挙区制)=多党政治的なマインド(調整と妥協の政治プロセスを主とする)で投票し、政権政党の圧倒的支配という状況も是としたということなんでしょうか。二大政党を意識し勢力の均衡を意図した戦略的な投票をしたひとはあまりいなかったということでしょう。私は民主党支持者でもなんでもないし、むしろあまり好きな政党ではない。私はいわゆる無党派なんだけど、今回は民主党の議席を減らさないように意識して投票した。(そもそも、小選挙区制度のもとでは、有権者の政治信条に合致した政治家を選んで投票すること自体がもはや難しいので、多党政治的なマインドで投票することを諦め、戦略的な投票をするのが有権者の成熟した態度といわざるを得ない。しかし今回の選挙では、たまたま、多くの無党派層がにわか小泉ファンになれたおかげで、自分好みで投票という有権者の大選挙区制=多党政治的な欲求を満足させてしまったのだろう。)
野党の数が減るということは、ただでさえ多様な国民意思を吸い上げにくい傾向、つまり政策批判の多様性が失われた二大政党傾向にあって、国民は、ますます情報欠乏に陥ることは必至です。
二大政党制を意識するなら、与党と野党の勢力はギリギリのところで拮抗しているのがベターです。
というのも、政権政党が圧倒的多数を維持してしまえば、政権政党としては、ろくなフィージビリティスタディも経過しない拙速な法案が通しやすくなり、国民は、政権党の政策を鵜呑みにする機会がますます増大し、政策批判に接する機会そのものが質的にも量的にも失われるからです。
多党制とちがって、マニフェストの実現を目的とした二大政党制では、政権与党は他党をの調整と妥協のプロセスに時間を割かなくとも済むので、法案提出がスピーディになる半面、政策に対する批判を十分に煮詰める機会を持ちにくくなります。昨今のように官邸機能が強化され、内閣官房に政策立案権が与えられたリーダーシップの強い内閣制度では、個別の政策が、どの程度、多くの批判の洗礼をうけるか、という野党の批判能力が非常に重要になってくる。だからこそ野党は強くなければならないのです。
政権政党は政府の情報を独占しつづけますから、安定政権が長く続けば、ますます野党は政権担当能力を落としていきます。体力を落とした野党はますます国民の信頼を失い、政権から遠ざかればとおざかるほど政権担当能力への懐疑は深まります。
小選挙区制度において、多様な国民意思のマンデートを与える機会が失われておきながら、与党の政策に批判的な情報に接する機会を著しく喪失するという、これほど有害な結果はありません。
郵政解散といわれ、一つの政策についてあれほど国民的な関心は低かったにもかかわらず、なお国民的な議論が盛り上がったのは一体なぜでしょうか。
それは参議院で否決においこまれるほど賛否両論が拮抗していたイシューだったからです。
もし、今後、与党が2/3の安定多数で強引に法案を通すようになれば、国民はむしろ多様な情報に接するモチベーションや好奇心を失うでしょう。そうすると、国民はますますオルタナティブに目を向けなくなり、55年体制でそうであったように、国民が主体的に政権を選択するという動機を喪失してゆく。官僚による果実の再配分のみに関心を持つ時代ではなくなった。であればなおさら、こういう結果は望ましいとはいいにくい。
制度的には二大政党傾向になるはずなのに、政権政党が圧倒的支配を実現する害悪は、
1.国民に対する情報欠乏 2.国民の間の政治的関心の低下 3.野党のスパイラル的な弱体化という三つです。
今回の民主党の敗退の原因は、もちろん、民主党の戦略がダメだったことが一番大きいと思いますが、しかし、それにしても、政権政党にあまり勝たせすぎてはいけない、という有権者のバランス感覚がほとんど働かなかった選挙といえるのではないでしょうか。
いかなる討議体においても、権力分立や他律的な規制(チェックアンドバランス)、そして不協和音は、弱さではなく強さを現すものではないでしょうか。
日本は、他律規制ということが意識されにくい社会なのかもしれない。
ある程度予想された結果とはいえ、私はこの選挙結果にかなり失望しました。
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