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今日の外来患者は多かった。混んでいるから一人一人短時間で要領よく・・・というのが出来ないのがこの仕事である。
今日、印象に残った患者さんの話を聞いてください。
肝機能障害を指摘されたといって来院した男性は、今日の腹部エコー(超音波診断装置)で脂肪肝を指摘された。詳しい血液検査も追加されたが、昨年の検査では問題となる異常はなく、当面は食事と生活習慣の改善という内容のアドバイスを行う。
30歳のその男性は体格もよく、標準体重より10kgオーバーしていたが、体重増加はこの1年位の間の現象だという。一緒に面接した妻はまだ若いけれどしっかりした人で、食事もよく考え工夫して作っている様子。
しかし詳しい1日の生活状況を聞いて驚いてしまった。
男性は朝3時に起床、朝食もとらずに仕事へ出かけ、12時頃妻手作りの弁当を食べる。出勤してから休む間もなく動き回り、昼食も食べ損ねてしまうくらいハードな中、なんとか20分位の昼食時間を確保する。その後もずっと身体を動かし続け、帰宅は夜の10時。
昼食から(帰宅後の)夕食まで間があるので、空腹を満たすため菓子パンを食べる毎日だったという。
労働時間と睡眠時間のアンバランス、あまりの非人間的な日常に絶句した。
「疲れがたまっているでしょう。他に不調はないですか?」
「最近食欲が無くなってきたと言うので、今日は無理矢理休ませてここに連れてきました。もう心配で」
と妻が答える。
「肉体的な疲れと職場の精神的な疲れでクタクタです」
と男性が付け加える。
「身を削って仕事されているのですね」
「まさにそうですね。最近では頭も痛くて・・・」
「このままこんな状態が続けば、過労死してしまいますよ。職場の中で改善してもらえないのですか?」
「はぁ・・・」とため息。
隣でやりとりを聞いていた妻は、涙ぐんでいた。
やりきれない。
私に出来ることは、食事内容の改善方法や生活習慣の見直しのアドバイスくらいである。彼の仕事や家族の生活に関してまでは立ち入ることは出来ない。聞いた限りでは、彼の職場は明らかな「労働基準法」違反である。
「労働基準監督署に告発したほうがいいですよ」と言いたかったが、彼もそのくらいのことはとっくに分かっていて今の仕事を続けている感じだった。
若いその夫婦にまだ子供はいない。しかも彼はサラリーマンでありながら、彼の保険証は「国民健康保険」。職場が社会保険に加入していないことを示している。年金も国民年金だろう。
これじゃ、労働者は「使い捨て」じゃないか。
話を聞いている間は、「食事指導どころじゃない」という言葉で頭はいっぱい。
「こんな大変な事を聞いてしまった私はどうすればいいんだろう」と。
「仕事のやり方を見直せば、元気になれると思います。それだけしか今は言えませんが」
そう言うのがやっとだった。
気がついたら、彼の妻と私はうなずきながら涙ぐんでいた。
2人が帰っていった後もまだ心にひっかかっている。
東京新聞のこの記事、景気回復と浮かれる能天気な人間へ突きつけてやりたい。
↓
町工場で聞く景気『踊り場脱却』
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050902/mng_____tokuho__000.shtml
景気回復というならば、働く人の労働環境を改善することに力点を置いて欲しい。
企業の収益が上がったというならば、労働者の社会保障の改善に責任をもってほしい。
労働者を使い捨てにして、健康な人間をボロボロにしてまで手にする営利と繁栄、そんなことを続ける経営者はいまに罰が当たる。罰が当たって欲しい。
今はただ、あの男性の仕事がもっとよくなることを願って・・・
投稿者:nanaya at 22:00
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