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国勢調査、プライバシー意識向上 調査員から早くも悲鳴【東京新聞】Webになかった。紙からOCR処理。
東京新聞9月23日朝刊、ニュースの追跡。(末尾の写真も)
記事中、「国勢調査の見直しを求める会」代表・山本勝美氏の言、「国民には自分の個人情報を管理する権利がある。私生活の嫌なことを聞かれたくないというのは当然で、国がどうしてもやるというならもっと答えやすい内容に項目を厳選すべきだ」と指摘する。
プライバシーと言うのは自己の情報をコントロールする権利なのであるから当然である。
五年に一度の国勢調査が事実上、始まったが、現場の調査員からは早くも悲鳴が上がっている。近年のプライバシー意識の高まりやオートロックマンションの普及など、「国民皆調査」という建前が崩壊しそうな状況だ。「もっと調査される側のことも考えて」という意見も強まっている。
「国勢調査なんて簡単にできるんだろ、と思ってたが…。正直もう嫌ですね」
今回初めて、調査にあたっている新宿区内の町内会役員桜井基雄さん(六八)はこうため息をつく。一番困るのがオートロックやワンルームタイプのマンション。
リフォーム詐欺お年寄り慎重に
「オートロックだとそもそも入居者に会えない。集合型郵便受けには名札はゼロ。管理人も住み込みでなく通勤者だから入居者の名前、顔も知らない。だいたい家にいない人も多いから、夜の十時まで張り込んで、あっ部屋の電気がついたって急いで訪問したりね」
プライバシー意識向上 調査員から早くも悲鳴
まるで刑事の張り込みのようだが、若者を中心にプライバシー意識が強く、特にフリーターは職業について聞かれるのを嫌がるという。一方、お年寄りも「住宅リフォーム詐欺などの影響か、非常にうたぐり深くなっている。三、四回チャイムを押してものぞき窓からジーッと見られているのが分かる」。
東京都によれば、前回二〇〇〇年の調査では、「回答拒否」「不在」などの理由で、自ら調査票を書かず提出しなかった世帯は、全調査対象約五百四十一万世帯の5.9%に上った。調査票を提出しなくても、調査員が周辺の聞き込み調査を行うことで世帯主の名前などを把握できるため、総務省国勢統計課は「人口調査という最低限の調査漏れはない」と説明する。
だが、ある自治体関係者は「東京が約6%なのに神奈川、千葉が1%台なのはおかしい。潜在的な漏れはかなりあるのでは」と打ち明ける。
日本の国勢調査は一九二〇(大正九)年に始まり今回で十八回目。総務省は「行政施策の基礎資料となる国勢調査は絶対に必要だ」としている。実際、地方議員定数や地方交付税の配分割合などは法律で国勢調査結果を使うことを定めている。適用例はないが、回答を拒絶したり、調査員が調査内容を他言した場合は統計法に基づく罰則がある。
とはいえ、「勤務先の具体的な名前」など微妙な事項には答えたくないという人も多い。今回、総務省は初めて全世帯に整理用封筒を配布し、封をして調査員に渡す選択肢を認めたが、市民団体「国勢調査の見直しを求める会」共同代表の山本勝美氏は「封をして調査員に渡すことを周知徹底している自治体はまだ少なく、温度差がある。開封、整理作業にあたる自治体職員の事務量が増すため、本音は嫌なのでは」と話す。
項目に実態とずれ 「聞かれる側のこと考えて」
同会は前回調査時、電話相談を行ったところ、二千件の相談が集まった。「調査員が近所に調査票の内容を吹聴して回った」「内縁関係にあるが、申告したくない、恥ずかしいので引っ越しをした」といった深刻な内容も。一方、調査員からは調査の難しさを嘆く声が多かった。
山本氏は「国民には自分の個人情報を管理する権利がある。私生活の嫌なことを聞かれたくないというのは当然で、国がどうしてもやるというならもっと答えやすい内容に項目を厳選すべきだ」と指摘する。
関西学院大学の大谷信介教授(都市社会学)は「国勢調査に意義はあるが、現状は課題が山積み」と語る。
国民確認できず本当に役立つ?
「暮らし方の変化もあり世帯単位での調査は時代遅れだ。住居区分で「長屋」を残すなど調査項目に実態とずれがある。調査結果を使えるのは公務員だけと決まっており、一般国民は利用できない。さらに、国が政策立案に役立てると言っていても国民はチェックできず、本当に役立てているか分からない。抜本的に見直す時期に来ている」
参考
「国勢調査の見直しを求める会」
http://www.ringo.sakura.ne.jp/~kokusei/motomeru.html
「国勢調査の見直しを求める会」の掲示板
http://otd9.jbbs.livedoor.jp/1000004530/bbs_plain
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