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「選挙不信」を高めて並立制を葬り去る「高等戦術」なのか?
五十嵐仁氏の「転成仁語」― 改めて選挙制度を次のように論じています。(http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm)
(前略)この『毎日新聞』の翌日の「記者の目」にも、興味深い事実が明らかにされていました。青島顕社会部記者が紹介する、小選挙区比例代表並立制の導入に反対していた小泉首相についての証言です。
「新選挙制度の研究が必要 有権者側向いた議論を」という標題の下、次のように書かれています。
「純ちゃんは小選挙区比例代表並立制を忌み嫌って研究していた。それで制度の裏を知り尽くしていたんじゃないか」。神奈川県立横須賀高校時代からの友人という男性はそう証言する。
小泉首相は海部内閣時代に浮上した小選挙区制に反対し、反対派議員連盟の代表世話人を務めていた。91年に首相は後援会機関誌のインタビューにこう答えている。「小選挙区選挙で落選しても比例代表の名簿で上位に登載されていれば当選することになる。これは、有権者の判断よりも政党幹部の判断が優先することになる。(中略)選挙不信が生まれてきます。」
前述の友人が言う。「純ちゃんは家で麻雀をしながら『(一つの選挙区に1人を選ぶ過程で)党の権限が強くなりすぎ、公認が党主導になってしまう。重複立候補もばかげた話だ』と言っていた」
ここで、小泉首相が批判していた選挙制度の問題点は、すべて今回の総選挙で小泉首相自身が率先して実行したことです。その点では、「制度の裏を知り尽くしていたんじゃないか」という「高校時代からの友人」の証言には説得力があります。
しかし、同時に、選挙不信が生まれてくる、党の権限が強くなりすぎるという、かつて小泉さんが指摘していた問題点も、これまでになく明瞭になりました。
これについて、小泉首相はどう考えているのでしょうか。たとえ問題があっても、自らの政治支配にとって好都合であればそれを利用するということなのでしょうか。それとも、「選挙不信」を高めることによって、かつて反対したこの選挙制度を葬り去ろうという「高等戦術」を試みているのでしょうか。
今回の総選挙によって、小選挙区比例代表並立制の特性はものの見事に発揮されました。それとともに、この選挙制度に孕まれているカラクリや害悪も、かつてなく明瞭になりました。
青島記者は、「政党政治を推し進めるはずが、民意をねじまげる結果を招きかねない事態だ」との懸念を表明し、「新たな制度の研究が必要ではないか」と提案しています。
今から12年前に『一目でわかる小選挙区比例代表並立制』(労働旬報社、1993年)という本を書いて、小選挙区制にも並立制にも反対した私としては「何を今さら」と言いたいところですが、その言葉をぐっと飲み込んで、このような提案を歓迎したいと思います。「選挙制度はこのままで良いのか」という声を、是非、大きくしていっていただきたいものです。
この選挙制度を変えることは、ひょっとして、小泉首相の意図していることかもしれません。当初からこの選挙制度に反対し、「制度の裏を知り尽くしていた」小泉さんだからこそ、誰にでも分かるように、その問題点を赤裸々に提示して見せたのかもしれないのですから……。(後略)
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