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ユーラシア新世紀
2005/09/12
■「オレンジ革命」の変色
http://www.tbs.co.jp/newsi_sp/eurasian/back.html
昨年末、選挙結果の不正に民衆が決起した「オレンジ革命」の余韻が冷めやらぬウクライナで9月9日、全閣僚が更迭された。閣内不一致を収拾するためのユーシェンコ大統領の「ミニ・クーデター」であり、今後、民主化や親欧米外交が後退し、ロシア傾斜が強まりそうだ。
解任されたティモシェンコ前首相は「ユーシェンコ氏に裏切られたのはこれが3度目。大統領は側近グループの人質になっている。大統領派とは手を切る」と決別を宣言した。「ウクライナのジャンヌ・ダルク」といわれ、オレンジ革命の先頭に立ったティモシェンコ氏の離脱は、ユーシェンコ氏の内外の評価にダメージを与えそうだ。
後任のエハヌロフ首相代行は「ロシアのシベリアで育った生粋のシベリアっ子」と公言する親ロ派で、ロシアの影響力が強い東部を権力基盤とする。ティモシェンコ氏らが進めた民営化政策の中止を表明し、経済改革後退を示唆した。プーチン大統領らロシア指導部は直ちに「内閣改造を理解する」と改革派閣僚更迭を評価しており、何らかの連携があった可能性もある。
ウクライナは民主化政権誕生後、経済情勢は悪化していた。今年の経済成長率見通しは5・5%で、前年までの二桁成長から低下。インフレ率は年間10%以上で国民の生活苦は高まっていた。ユーシェンコ政権は欧州連合(EU)加盟を国家目標に据えたが、EU自体がフランス国民投票での欧州憲法否決に見られるように内向きとなり、ウクライナの加盟の見通しは遠のいた。中間派のリトビン国会議長は、経済停滞、政治的不安定、外交成果の欠如を挙げ、同大統領の指導力を厳しく批判した。
その中で、政権内は路線をめぐる対立や一部要人の汚職の噂で混乱し、オレンジ革命の立役者だったジンチェンコ大統領府長官が辞任。ユーシェンコ大統領は「権力機関内の対立や同志的精神の欠如」から内閣総辞職に踏み切ったと説明した。
ユーシェンコ大統領自身、最近は子息が高級車ポルシェを乗り回していることがメディアで批判され、支持率も低下している。キエフの外交筋は、「要人の汚職体質が抜けず、閣内は議論ばかりで改革は進まない。オレンジ革命は色あせた」と指摘する。エネルギー資源が乏しい欧州最貧国・ウクライナにとって、生みの苦しみが続いていたのだ。
その混乱に乗じて、エネルギー大国・ロシアが着々と影響力を行使している。ロシアはEU拡大に対抗して、旧ソ連圏諸国による「統一経済圏」構想を推進するが、ウクライナに対し、統一経済圏に加盟しないなら、特別価格による石油・ガス提供をやめ、国際価格で売却すると警告した。一挙に3倍に値上げとなり、ウクライナ経済に大打撃を与えるだろう。
ユーシェンコ大統領は本来、風見鶏型の戦術的政治家。ティモシェンコ氏のような改革・民主化の信念に乏しいとされる。目先の危機を乗り切るため、改革修正・ロシア寄りに方向転換しつつあるようだ。
オレンジ革命の失速はウクライナを基点に旧ソ連圏の民主化を図るブッシュ米政権の戦略にも影響が出そうだ。
旧ソ連圏では、アゼルバイジャンで11月に総選挙、カザフスタンで12月に大統領選挙が予定されている。グルジアのバラ革命、ウクライナのオレンジ革命、キルギスのチューリップ革命に続いて他の強権独裁諸国でも民衆革命によって民主派政権を誕生させるというのがブッシュ政権の民主化拡大戦略だが、肝心のウクライナの挫折は旧ソ連圏の民主化後退につながりかねない。
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