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「小さな政府」競う自民、民主 見えない対立軸
2005年09月10日00時02分
最終盤を迎えた選挙戦で自民、民主の2大政党は、ともに税金の節約や公務員の削減などを掲げ、「小さな政府」を目指す方向で足並みをそろえる。巨額の財政赤字や少子高齢化の前に、政策の選択肢が狭まった現実を踏まえたものだ。しかし、「どのくらいの負担で、どの程度のサービスを政府が提供するか」という肝心の点は論戦でも見えてこない。
「小さな政府でいいと思う」。3月に情報系ベンチャー企業を立ち上げた経営者(37)は、そう話す。ネットを通じて知り合った議員がいる民主党を支持してきたが、今回は迷う。IT関連企業で若者の雇用が広がりつつある。「増税で邪魔しないで欲しい。年金のため消費税を上げる民主党では、大きな政府になるのでは」と心配だ。
社会保障を学び、来春、東北地方で地方公務員になる学生(22)も、「膨大な借金がある中、高福祉・高負担の大きな政府は立ちゆかない」と考えている、という。
国と地方の長期債務残高は770兆円を超え、歳出を切りつめなければ年金や医療は行き詰まる――。そうした危機感は、有権者に広がる。
自民党は政権公約で「『郵政民営化』で小さな政府をめざすことこそ、この国が抱える問題を解決する、唯一の道です」と訴える。民営化で郵政公社職員26万人が公務員でなくなれば「小さな政府」になると説く。
連立を組む公明党は政権公約で子育て支援や介護の充実を掲げる。「小さな政府」との表現は避け、「国民本位の効率的な政府」を掲げる。自民、公明両党の立場を生かすため、両党が8月末に結んだ「与党重点政策」は「小さくて効率的な政府」を目標とした。
実は、この「効率的な政府」という表現を使っているのが、民主党だ。
1日、日本テレビの番組。司会者から「岡田氏は『小さな政府』を打ち出しているが」と問われ、岡田氏は「効率的な政府です」と即答した。
それでも民主党は政権公約で3年間で10兆円の「無駄遣い一掃」を掲げる。自公両党も民主党も「小さな政府」を目指す方向では足並みをそろえているように見える。
政府の「大きさ」が、この選挙戦の対立軸にならないわけではない。
細田官房長官は4日、松江市での講演で「公共事業や社会保障の積極財政論者は郵政法案に反対した人とかなり一致する。それを(選挙で)大掃除する」と語った。
たしかに国民新党は公約で「政府による需要の追加、景気対策がぜひとも必要だ」と経済政策の面で「大きな政府」を目指す。新党日本は公共事業の削減を掲げるが、社会福祉充実を説く。共産、社民両党も社会保障の拡充を唱え、首相の「小さな政府」路線を正面から批判している。
一方、「小さな政府」を唱える与党も、歳出をどこまで切り込むのかはあいまいな点もある。
関係者によると、公明党は、与党の重点政策に「児童手当の拡充」を明記するよう求めたが、自民党側は了承しなかった。「小さな政府」路線との矛盾を恐れたためだが、結局は公明党側に配慮して「あらゆる観点から、その強化に取り組む」との表現を盛った。
岡田氏も先月9日の記者会見では「所得再分配はしっかりやった方がいい」と語り、社会保障の面で「大きな政府」に肯定的な姿勢を見せる。
「小さな政府」を目指しても、少子高齢化が進めば社会保障の充実は認めざるをえない。逆に厳しい財政運営を強いられるなか、「大きな政府」を掲げる政党も効率化を言わざるをえない。
千葉大の広井良典教授(社会保障論)は現状について「自民と民主が『小さな政府』を競う構造になり、違いが見えない」と指摘。「本来は、『自助』『小さな政府』を志向する小泉・自民党に対し、『公助』を体現する政党がまとまり、異なる選択肢を示すことが望ましい」と語る。
http://www.asahi.com/politics/update/0910/001.html
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