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経済社会コラム#3:「小さな政府」という虚構
小泉総理の「構造改革」をなぜ国民が支持するのか。それは、構造改革を「官僚支配をなくして小さな政府を作る」ことだと国民が理解しているからでしょう。その面では、小泉内閣はよくやっていると思っている国民は多いようです。「新規国債の発行を30兆円以下に収める」という公約は守られていないものの、新規国債の発行は30兆円台にとどまっており、今までの総理と比べれば財政規律を守ることに真剣に取り組んでいるようにみえるからです。
しかし、「小泉内閣は財政再建には取り組もうとしているが、小さな政府を作ろうとはしていない」と言ったら、驚かれるかもしれません。しかし、そのことは数字で立証可能なのです。
財政の動向をみるときには、国と地方の間で資金のやり取りが行われているため、バラバラにみるのではなく、国と地方を合わせた日本全体の数字でみることが必要だと私は考えています。日本全体の数字を一番簡単にみることができるのは、GDP(国内総生産)を掲載している「国民経済計算」という統計です。ここには、政府が使ったお金の項目として、(1)公的固定資本形成、(2)政府最終消費支出が掲載されています。(この他にも政府在庫品増加という項目もありますが、ごく小さいので、ここでは無視します)。
公的固定資本形成とは、公共事業のことです。正確に言うと、公共事業費には土地代が入るのに、公的固定資本形成には入らないなどという微妙な差はありますが、中身はほとんど一緒です。国直轄だけでなく地方も含めた公共事業がどれだけ行われたかが、この公的固定資本形成をみると分かるのです。
小泉内閣になってから、公的固定資本形成はどれだけ減ったのか、直近の2004年度と就任前の2000年度と比べると32.3%の減となっています。特に2004年度の伸びはマイナス14.5%となっています。小泉内閣になってから、公共事業は劇的に減っているのです。
一方、政府最終消費の方はどうでしょうか。この項目は政府が使ってしまったお金です。公的固定資本形成が、建物や橋、空港などの資産となって後世に残るのに対して、この政府最終消費支出は、その場で消えてしまう性質のものです。大ざっぱに言うと、政府最終消費の6割程度が公務員の人件費で、残りが政府が使う経費です。公共事業費は、建設業者に渡るお金ですから、我々が普通にイメージする政府の大きさは、この政府最終消費支出の大きさということになります。
政府最終消費を直近の2004年度と就任前の2000年度で比べると5.4%増えています。年度毎にみると、伸び率は01年度2.5%、02年度0.6%、03年度0.5%、04年度1.7%となっています。小泉内閣が発足して、一度たりとも小さな政府への動きが現れたことはないのです。
「民営化して、公務員を減らす努力をしているじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、そこが小泉改革のマジックなのです。
例えば、国立大学などを独立行政法人に模様替えすると、公務員の数は減ります。だから一見行政改革が進んだようにみえるのです。ところが、民営化された後の人件費はどうするのかと言えば、国が独立行政法人に委託費を払うなどして、面倒をみるのです。負担の形態が、人件費から経費に変わっただけで、実態は何も変わりません。それどころか、独立行政法人になると、独自に給与を決められるようになるので、かえって負担が大きくなることも十分考えられるのです。
実際、総務省が7月29日に公表した2004年度の独立行政法人の役職員の給与水準によると、事務・技術系職員の平均年収は732万3000円(平均年齢43.2歳)でした。国家公務員の給与を100とした場合のラスパイレス指数(年齢構成が国家公務員と同じにして加重平均した時の給与水準)は107.1でした。平均的に言えば、独立行政法人の給与は国家公務員より7%高いのです。
民営化すればよくなるというのは、私は幻想だと思います。効率化をもたらすのは競争であって、経営形態ではないのです。だから、財政の効率化をしたいのであれば、いかに競争条件を整備するのかを考えるべきなのです。しかし、そうした地味な努力の積み重ねは評価されません。「民営化」という言葉に比べると分かりにくいからです。しかし、本当に改革が進んだかどうかは、数字に表れます。この4年間、政府を大きくしつづけてきた小泉内閣は、少なくとも小さな政府を目指してきたとは言えないのではないでしょうか。
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