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マスコミ批評板のkokoponさんの『郵政、外資20%規制の議論経緯、読んで損はない』( http://www.asyura2.com/0505/hihyo1/msg/277.html )で紹介されている『「郵政民営化で350兆円が米国に奪い取られる」、デマ嘘っ八』( http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/200508121326.html )に関するコメントです。
まず、「郵政民営化で350兆円が米国に奪い取られる」という表現が扇情的なものであり、そのような論は、“日本のすべての金融資産が米国に奪い取られる”という論が成立しない限り成立しないことには同意する。
(完全民営化後の郵政金融会社は、現在の銀行や生命保険会社と同じ位置に立つだけの話だからである)
あるべき表現は、米国債やその他対外証券投資に振り向けられるようになる可能性があり、円レートの変動や購入債券のデフォルトがあったとき、“郵政金融会社”の財務を毀損したり、その度合いが大きい場合は預金のペイオフが実施される可能性もあるというものである。
米国債を含む対外証券投資は、円高が進行すれば利息受け取り・償還(売却)で為替差損を生じる。
米国債での運用比率が高い状況で米国連邦政府がデフォルトを宣言すれば、払い戻し不能や債務超過に陥る可能性がある。
このような問題は“郵政金融会社”に限ったことではなく、ひとのお金を預かって国際運用したり貸し出しをしている金融機関すべてについて言えることである。
「「郵政民営化で350兆円が米国に奪い取られる」というデマ」を書かれた人のウソは以下の点である。(ウソはデマに対応した物言いで、誤りといったほうが的確だとは思っている)
【引用】
「
===
郵貯と保険の旧契約は(郵政公社の期間に集めた郵貯・保険の約340兆円は)、政府保証を付けたまま公社継承法人に引き継ぐ。運用は郵貯・保険の新会社が行うが、公社勘定の運用から生じた損益は新会社に帰属させる。
===
例えば郵政公社が民営化されて、その民営化後の会社を丸ごと外資が買ったとしよう(←この前提自体為替の問題やらなんやらでかなり無理があるけど)、でもその会社の手元に340兆円は無い。これをどうやってアメリカが奪い取るの?公社継承法人に強盗でもしに行くか?そんなの無理だろ。」
[あっしら]
民営化が施行された時点で、郵政公社時点の債務(貯金・簡保)と資産(国債などの運用債権)は“公社承継法人”によって管理されることは正しい。(いわゆる旧勘定の分離である)
しかし、簡保はもっと長いが、郵貯は定額預金が最長で10年だから、“公社継承法人”が管理する郵貯絡みの債権・債務は、郵便貯金銀行の株式が全部売却される時点では基本的に消滅することになる。(だからこそ、移行期間を10年としている)
移行期間をざっとイメージすると、満期が到来した口座は資産(国債など)を郵便貯金銀行などに売却して払い戻し、払い戻しを受けた人がそのまま郵便貯金銀行に預け入れを続けると新勘定に移行されるというかたちで旧勘定が徐々に減少し新勘定が増加していく過程が見える。
同時に、民営化後に新たに郵便貯金銀行に預け入れたお金は、初めから新勘定で扱われるる。
このようなことから、郵便貯金銀行の株式が全部売却された時点では、“公社継承法人には郵便貯金残高に相当する200兆円は無い”と言ったほうが正しい説明になる。
だから、「その民営化後の会社を丸ごと外資が買ったとしよう」、「でもその会社の手元に340兆円は無い。」は、ウソということになる。
(もちろん、その時点で郵政金融事業が預かっているお金が現在と同じ340兆円という保証はない。解約・満期後に他の金融機関に預け入れる人もいれば、追加のお金を新勘定に預け入れる人もいるから、400兆円になっているのか、250兆円になっているかはわからない話である)
※ 念のため、郵政公社にしろ、公社継承法人にしろ、預かったお金は国債などの購入に使われているから、手元に100兆円単位のお金があるわけではない。手元にあるのは証券類である。
【引用】
「一方、この公社継承法人が保有する340兆円は郵貯・保険の新会社が運用する。しかしこの運用から生じた損益は新会社に帰属するので、例えば新会社を買い取った外資がデタラメな運用をしたとしても、公社継承法人の勘定にある340兆円が霧のように消えることは有りえない。それどころか、デタラメな運用によって生じた損は新会社に帰属するので、新会社を買収した外資は自分で自分の首を締める事になる。こんな自殺行為誰もやらない。逆にちゃんと運用して利益を出して税金を納めてくれるなら日本にとっても全くマイナスじゃない。」
[あっしら]
書いた人は気づいていないようだが、「公社継承法人が保有する340兆円は郵貯・保険の新会社が運用する」ということは、民営化後に外資が丸ごと買えばその会社の手元に預けられた340兆円に相当する資産があることを意味する。
前段で「公社継承法人に強盗でもしに行くか?そんなの無理だろ」と書かれているが、公社継承法人から強盗しなくても、手元に現金ではないが“340兆円”は存在するのである。
(預かったお金は国債などの債権に変わっているのだから、運用している会社の手元に現金ではないかたちで340兆円があると考えるのが正しい認識。公社継承法人は“帳簿”を管理するだけの組織なのである)
「デタラメな運用によって生じた損は新会社に帰属するので、新会社を買収した外資は自分で自分の首を締める事になる。こんな自殺行為誰もやらない」という思い込みは書き手が健全な意識の持ち主であることを示唆しているが、例えば、20兆円で買った会社の資産340兆円をネコババできるのなら、その会社がなくなってしまう自殺行為をやることに大いなる意味がある。
極端な例だが、とある国のA社が郵便貯金銀行を20兆円で買収し、預かっている資金でとある国のB社・C社・D社・・・が発行した社債を合計100兆円購入したが、そのすべてがデフォルトになってしまったとする。
世間は知らないとして、郵便貯金銀行を買収したA社が、社債を購入したB社・C社・・・と所有者が同じだとすれば、その所有者は、20兆円を使って100兆円を手に入れたことになる。差し引き80兆円の儲けである。
日本国内であればこのような詐欺は摘発できるだろうが、外国に在住する会社(人)が相手であれば、お金の動きの実態もわからず、捜査も外国権力機関任せということになってしまう。
このような話をそんなバカなと思う人は、歴史を知らないだけである。
(南海バブル事件など類似的な詐欺は数多く行われてきた。詐欺がバブルと説明されているだけである)
「逆にちゃんと運用して利益を出して税金を納めてくれるなら日本にとっても全くマイナスじゃない」という話も、機会があれば説明したいと思っているが、郵政金融事業を政府が握っているほうがずっとプラスである。
【引用】
「この議論をするとすぐ「長銀がハゲタカ外資からどんな目に合わされたか!」と恐怖心を煽る人がいるが、長銀は破綻していて誰も買い手がつかない状況だった訳で、今の郵政三事業と比較する事がナンセンス。逆に言えば「買い叩かれるような状況」まで放置しようとしている郵政民営化反対派の方がよっぽど外資を利する可能性が高い。」
[あっしら]
郵政三事業は、郵政金融事業がそれなりの規模で維持されている限り、「買い叩かれるような状況」になることはない。
郵便事業が単独になるほうが郵便事業会社が「買い叩かれるような状況」に陥る。
だからこそ、小泉内閣は、郵便貯金銀行と郵便保険会社の株式を全部売却することを日本郵政会社に義務付けているのに対し、郵便事業会社・郵便局株式会社やそれらの株式を保有する持ち株会社である日本郵政会社の株式売却については触れていないのである。
※ この問題を民主党が新聞広告で指摘して“騒動”が起きたばかりである。
長銀問題は、『Re: 【旧大蔵省金融局の本性】 『新生銀行』は“国際金融資本”への貢ぎ物 [再掲]』( http://www.asyura.com/2002/hasan7/msg/687.html )を参照してください。
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